Glymphatic system

今回は久しぶりにMRI認定ではない記事を書きます。

この記事を読んで「勉強になった!」という人はいないんじゃないかという内容ですが開いてくださったのでしたらどうぞ読んでください。

ふーんくらいにはなると思います。。

では、

 

Glymphatic systemとはわりと新しく立てられた仮説であり、グリア細胞(Glia)とリンパ系(lymphatic system)を合わせた造語です。

2012年に仮説は立てられたようで、2012年〜Glymphatic systemに関する文献が多数みられます。

個人的ではありますが、去年に僕が見た学会や勉強会でも数題とりあげられていました。

また、MRI応用自在(第4版)の脳神経の項でも扱われているため、MRI認定試験にもそのうち出題されかねないと思っています。

目次

Glymphatic system

Glymphatic systemとは、簡単に説明すると『脳の老廃物排泄機構』です。

脳以外の体にある老廃物は体液の移動に伴ってリンパ管に流入し、静脈系へ移動して排出されていきます。

しかし脳にはリンパ管がありません。

神経活動を維持していくためには老廃物等を適切に処理する必要があります。

ではどのように老廃物を排出するのか。

脳には脳脊髄液がありますが、これが脳内の動脈の血管周囲腔から細胞間隙内へと移動し、その後、静脈の血管周囲腔へ移動して排泄されるようです。

 

概要はこんな感じですがもう少し詳しく。

 

血管周囲腔とは血管壁とアストロサイトから伸びた足突起から形成される壁構造に囲まれた空間です。
が、、アストロサイトとは?足突起とは?

アストロサイトは日本語で星状膠細胞といい、アストロサイトの骨格が星のように見えたことが由来となっており、”膠”とはゼラチンや接着剤という意味があってニューロンとニューロンの間を埋めていることから来ていると思います。

アストロサイトは星のように見えますが実際には突起がたくさん枝分かれし網目状となっており、その網目状が作り出す空間にニューロンのネットワークが存在します。

また突起の一端には血管と接触しておりこれを足突起といいます。

で話を戻して、

Glymphatic systemは『動脈の血管周囲腔→細胞間隙→静脈の血管周囲腔』と脳脊髄液が移動する機構ですが、
ここにアクアポリン4(AQP4)という水チャネルが関わっています。

AQP4とはアストロサイトの足突起に分布しており、脳脊髄液の移動を促進させる働きをしています。
詳しくは血管周囲腔から細胞間質への抵抗を下げることで脳脊髄液中の物質が細胞間質に流入しやすくなることに寄与していると考えられているようです。

そしてAQP4をノックアウトしたマウスでは脳脊髄液の移動が障害されます。

(余談ではありますがAQP4ノックアウトマウスでは神経原性脳浮腫モデルでは浮腫の程度が軽く、血管原性脳浮腫モデルでは正常マウスに比べて回復が遅いそうです。)

また、この脳脊髄液の移動の駆動力は動脈拍動が担っています。

全てまとめると下図のようになります。



睡眠の関与

睡眠時にはこのGlymphatic systemが大幅に活性します。

睡眠時にはグリア細胞の容積が縮小し間質腔が広がることで、脳脊髄液が通過しやすくなるためです。

これは麻酔下でも睡眠時同様の効果があり、マウスの実験では覚醒時よりも睡眠時や麻酔下の方が2倍の速さで老廃物が除去されたと報告があります。

 

またGlymphatic systemはアルツハイマーとも関連します。

アルツハイマーは脳内にアミロイドβというたんぱく質が蓄積することで発症すると考えられていますが、
Glymphatic systemによってアミロイドβは排出されます。

睡眠不足などにより脳脊髄液中のアミロイドβが排出されなければアルツハイマー発症のリスクが高まる可能性があり、一晩の徹夜でもそのリスクとなりうることが報告されているそうです。

MRIによるGlymphatic systemの評価

MRIの記事にするつもりはありませんでしたが、Glymphatic systemを評価する上でMRIが用いられています。

造影剤を使用する方法

Gd造影剤を静注し数時間後にMRI(強T2強調FLAIR)を撮影します。

強T2強調FLAIRとは通常FLAIRよりもTRとTEを延長させた撮像法であり、長いTEにより脳実質の信号が抑制されます。そして脳脊髄液内の微量の造影剤を検出することができます。

例としてこの方法では、造影剤投与後4時間の画像では脳脊髄液が高信号となり造影剤の移行が分かり、24時間の画像では脳脊髄液の信号が低下して洗い出されたことがわかります。

動物実験ではGd造影剤を脳脊髄液腔に注入し脳実質の信号変化を観測するというものもあります。
人に対してのGd造影剤の髄液腔内投与は禁忌であり、投与量によっては昏睡、もしくは死亡などの重篤な副作用があります。
しかし欧米では少量の髄液腔内投与によりGlymphatic systemを評価しようという報告があります。

造影剤を使用しない方法

拡散テンソル画像を用いたDTI analysis Along Perivascular Space(DTI-ALPS)
analysis:解析、along:平行、perivascular:血管周囲、space:空間

脳の血管周囲腔に沿った水の動きを白質繊維の方向に沿って切り分けて評価します。

しかし欠点としてこの方法では脳のごく限られた部分でしか評価できません。

まとめ

脳にはリンパ系が存在しないためどうやって老廃物を処理しているのかというお話でした。

今回Glymphatic systemについてでしたが、排泄機構には他にも仮説があり、IPAD pathwayなるものがあります。

こちらはintramural peri-arterial drainage pathway(動脈壁内排泄路)といい
脳リンパ液が毛細血管周囲の基底膜に入り、これと連続している脳細動脈の基底膜を動脈とは逆方向の脳表へ進み、内頸動脈の頸部領域で基底膜を離れて頸部リンパ節に至るというものだそうです。

しかしGlymphatic systemもIPAD pathwayも仮説であり、どちらも問題点を抱えています。

神経変性疾患の病態解明や睡眠についての解明のため研究はいまだ続いております。

 

 

久しぶりの記事でしたがいかがでしたでしょうか。

僕自身詳しく知っている内容ではありませんでしたが、最近勉強会などでやけに見るなと思っていたところにMRI応用自在にも載っていたため記事としました。

いろいろ文献を読んでみましたが難しくそのため詳細は書けませんでしたが、個人的に勉強にはなりました。こんな仮説があるということだけでもわかっていただけたらと思います。

 

 

このブログは本来放射線技師の仕事全般について作っていこうと考えていたのですが、やけにMRI寄りの記事が多くなりすぎてしまいました。特に認定試験

来年度の目標としてMRI以外の記事も増やしていくつもりです。

また、10月頃には第17回MRI試験の回答も作る予定です。

試験受けた方々、お疲れ様でした。

試験勉強しんどかったのではないでしょうか、、頑張った分いったん休んでもいいと思います。

勉強だけが全てじゃないですからね。

でもブログは見に来てください!今後とも宜しくお願いします!

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