T2値

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用語

横磁化が36.8%まで減衰する時間。→T2値が大きいほど横磁化の減衰は遅いため信号は大きくなる。

解説

縦磁化に90°パルスを照射すると磁化は倒れ最大の横磁化となる。

これが信号の元となるが放っておくと減衰していき完全に無くなる。これがT2緩和または横緩和と言う。

この減衰過程で、36.8%まで減衰する時間をT2値と言う。

このことから、T2値が大きいと減衰する時間が遅くなるので信号は大きくなる。

T2の変動

T1値は静磁場強度により変動したが、T2値も静磁場強度により変動する。

しかし静磁場強度により延長するか短縮するかは一定ではなく、組織により異なる。
(T1値は静磁場強度が大きくなると延長する。)

強いて言うとT2値は静磁場強度が大きくなると短縮傾向にある。

認定試験でのポイント

T2は横磁化が36.8%まで減衰する時間。

他の緩和との関係も覚えておく。(T1値≧T2値≧T2*値)(T1緩和速度≦T2緩和速度≦T2*緩和速度)

過去問

18-問題 13 高速 SE 法について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. GRE 法に比べ磁化率効果を受けやすい。
2. ETL を増やすと撮像可能なスライス枚数は増加する。
3. k 空間の中央に充填するエコーの TE を実効 TE と呼ぶ。
4. T2 フィルタリングにより T2 値の短い組織が強調される。 
5. 印加される複数の再収束パルスにより MT 効果を生じる。

1.×FSEは磁化率効果に比較的強い。
2.×ETLは少ないほど撮像可能なスライス数は増える。
3.○
4.×T2値の長い組織
5.○

18-問題17 高速 SE 法について正しいのはどれか。

1. ETL が長くなると SAR は低下する。
2. ETL が長くなると撮像可能なスライス枚数は増加する。
3. 空間分解能は組織の T2 値に依存しない。
4. MT 効果により蛋白質などの高分子を含む軟部組織の信号は上昇する。
5. 頻回の再収束パルスによるデカップリング現象により SE 法に比べて脂肪の実効 T2 値は延長する。

1.×1TR内の180°パルスが増えるためSARは上昇する。
2.×減少する。
3.×FSEの後半の信号はT2減衰により低くなり、これによりブラーリングが発生しボケてしまう。
4.×MT効果により低下する。
5.○

17-問題 8 温度と MRI について正しいものを選べ.

1. 水の T2 値は温度の上昇に伴い延長する傾向にある。
2. 生体内のすべての組織は体温の上昇に伴い T1 値が延長する。
3. Chemical exchange saturation transfer(CEST)MRI に温度の影響はない。
4. Ice-water ファントム(0 °C)を用いると室温(25 °C)の水より ADC が高くなる。
5. MR spectroscopy による proton density fat fraction 測定では温度の影響はない。

1.○温度上昇に伴い相関時間τは短くなる(氷より液体の方が相関時間が短い)ためT2値は延長すると推測。
2.×水においては体温上昇に伴いT1値は延長する(体温低下に伴いT1値が低下する)が「すべての組織」というのが誤りか
3.×CEST化学交換飽和移動。pHと温度依存性がある。温度が上昇するほどCEST効果が大きくなり信号は低下する。
4.×温度が高いほど拡散係数は高くADC値は高くなり、温度が低いほど拡散係数は低くなりADC値は低くなると思われる。
5.×proton density fat fraction:プロトン密度脂肪率測定。肝臓の脂肪沈着を定量的に観察する。

14-1) 静磁場が強くなると起こる現象に関する正しい記述はどれか。2 つ選べ。

  1. T2 値は長くなる。
  2. 信号雑音比は大きくなる。
  3. 磁気回転比は大きくなる。
  4. ラジオ波の波長は長くなる。
  5. Magnetization transfer 効果は強くなる。

1.×磁場強度が強くなるとT2値は長くなったり短くなったりと様々。
2.○
3.×不変。ω0=γB0ラーモア方程式のγは磁気回転比であり核種により一定。
4.×磁場強度が強くなると短くなる。
5.○MT効果は√(T1/T2)に依存するようであり、T1延長に伴い効果は強くなる

14-2) 正しい記述はどれか。2 つ選べ。

  1. T1値≧T2値
  2. T2値>T2*値
  3. 脂肪のT1値 > 水のT1値
  4. 脂肪のT2値 > 水のT2値
  5. 大脳白質の ADC > 大脳灰白質の ADC

1.○縦緩和と横緩和は同時に始まるが横緩和が先に終了する(T1値>T2値)、ただし純水のみ同時に終了する(T1値=T2値)。
2.○外部要因も緩和に影響するT2*値は一番小さい。
3.×脂肪のT1値 < 水のT1値。T1WIのとき縦磁化の回復が早い(T1値小さい)脂肪が高信号。
4.×脂肪のT2値 < 水のT2値。T2WIのとき横磁化の減衰の遅い(T2値大きい)水が高信号。
5.×白質0.5~0.8×10-3mm2/sec < 灰白質0.8~0.9×10-3mm2/sec

13-1) 緩和時間に関する正しい記述はどれか。(正解 2 つ)

1. 縦緩和時間 ≧ 横緩和時間である。
2. T1 緩和はスピン-格子緩和とも呼ばれる。
3. T2 緩和はスピン-格子緩和とも呼ばれる。
4. スピン-格子緩和時間とは、縦磁化が初期磁化の 36.8%になる時間である。
5. スピン-スピン緩和時間とは、縦磁化が初期磁化の36.8%になる時間である。

1.○縦緩和と横緩和は同時に始まるが横緩和が先に終了する(T1値>T2値)、ただし純水のみ同時に終了する(T1値=T2値)。
2.○
3.×スピン-スピン緩和
4.×T1:縦磁化が63.2%まで回復する時間
5.×T2:横磁化が36.8%まで減衰する時間

7-1)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解3つ) 

1. 緩和現象は BPP 理論が基礎となっている。
2. T1 値は静磁場強度に比例して延長する。
3. T2 値は分子の運動周波数が大きいほど短くなる。
4. T2 緩和の原因は双極子-双極子相互作用による局所磁場揺動である。
5. 分子の運動周波数が共鳴周波数に最も近い場合に最短の T1 値になる。

1.○
2.×延長するが比例はしない。
3.×運動周波数が大きいほど長くなる。
4.○
5.○

7-4)次の記述について正しい文章を選択して下さい.(正解 2 つ) 

1.T1 は縦磁化が 36.8%まで回復する時間である。
2.T1 は磁場強度が高くなるほど短くなる。
3.T2 は横磁化が 63.2%まで減衰する時間である。
4.磁場の不均一は T2(T2*)を短縮させる。
5.MRI造影剤はT1 およびT2を変化させる。

1.×63.2%まで回復する時間。
2.×基本的には延長する。
3.×36.8%まで減衰する時間。
4.○
5.○

 

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