ECV細胞外容積分画

目次

用語

心臓検査における、T1マップ(造影)。

解説

T1 マッピング

心臓検査における遅延造影は、局所的な心筋線維化を鋭敏に検出できる検査法として有用。

しかし正常心筋と病変部の造影剤濃度の違いをあくまで相対的に評価するためびまん性の心筋線維化や軽度の心筋線維化の評価は難しい。

→ 正常心筋が少ない場合や異常が軽度の場合は、正常部と病変部の造影剤濃度の違いを評価するのが大変

上記のような遅延造影MRIの弱点を克服できる心筋性状評価方法がT1mapping。

T1mappingとは、組織固有のT1値をピクセル毎に定量評価しマップ表示する方法。

心筋組織性状を客観的かつ定量的に評価できます。

心臓のT1 マッピング【NativeT1 と ECV】

T1mappingを用いた心臓検査は2つの方法があります。

①造影剤を用いない NativeT1
②造影剤を使用する ECV(細胞外容積分画)

今回はECV(extra cellar volume fraction)についてです。

ECVは造影前後の心筋組織と左室内腔血液のT1値を測定し、ヘマトクリット値で補正して定量的に計測します。

ECVは造影前後のデータを用いるため、造影剤投与以外の要因を排除できます。
(NativeT1では静磁場強度、装置、撮像シーケンスにより変動。)

ECVは得られる数値の普遍性が高いため、施設、装置ごとの正常値の検討は必ずしも必要ではありません。
(NativeT1では正常値の検討をしておくべきである。)

しかし、造影剤投与量や撮像タイミングにより変動する可能性がある。

びまん性線維化、アミロイド沈着などに有用。

まとめ

心筋組織性状を客観的かつ定量的に評価できる。

造影剤投与以外の要因による影響を受けない。(静磁場強度による違いなど)

問題

17-29) 正しいものはどれか。2 つ選べ。
MP2RAGE:magnetization-prepared 2 rapid gradient echo、MOLLI:modified Look-Locker inversion recovery、ECV:extracellular volume fraction

1.MP2RAGE法はT2 mapを得ることができる。
2. MOLLI 法は saturation pulse を利用している。
3.ECVを求めるには造影前後のT2 mapが必要である。
4. Look-Locker 法での T1 値測定には T1*効果が問題である。
5.Dualflipangle法によるT1 mapはB1の影響を受けやすい。

1.×T1 map
2.×T1 mapを得る方法。IRパルスを用いて1回の息留めで心拍同期させたデータを収集。
3.×T1 map
4.○MOLLI法ではSSFPが用いられるが熱平衡状態より低い定常状態となり早い回復を見せる(T1*)。T1値の過少評価の原因と考えられている。
5.○

16-19)心臓 MRI について正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 細胞外容積分画 (ECV)は装置の静磁場強度に依存する
  2. 肺体血流比 (Qp/Qs) はシネ MRI 画像を用いて算出する
  3. 遅延造影に PSIR 法を用いた場合,TI の設定は頻回に調節する必要はない
  4. 心筋の native T1 value は静磁場強度が同じであれば,異なる装置間でも直接比較することができる
  5. 駆出率 (EF) は (EDV – ESV) / EDV ×100 (%) で求める.ここで,EDV は拡張終末期容積,ESV は収縮終末期容積とする

1.×静磁場強度によりT1値が変動するためnative T1では静磁場強度に依存する。ECVは造影剤投与以外の要因を基本的には排除できるため静磁場強度に依存しない。
2.×PC法を用いる
3.○
4.×同じ静磁場強度でも装置や撮像シーケンスにより計測されるT1値が異なるため予め施設や装置による正常値の検討が推奨される。
5.○『心臓が送り出した血液量(駆出量)EDV – ESV』を『左室の容積EDV』で除す=EF

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