【MRI認定 13】画像均一性の評価について

均一性の出題は毎年1問くらい出題されています。

NEMAとIECの測定方法がありますが、今のところほぼNEMAについての出題なので、この記事ではNEMAをメインとして解説していきます。

IECもちょっと書いてますが多分1度しか(第9回-35)出題されてないかと。

目次

撮像条件

ファントム(NEMA)

頭部と体幹部の2種類の大きさのファントムを使用すること
※ファントムに関しては『SNR』と同じです。

頭部:最小寸法は撮像面内で直径10cmの円または保証範囲の85%のうち大きい方を満たすもの
体幹部:最小寸法は撮像面内で直径20cmの円または補償範囲の85%のうち大きい方を満たすもの

T1値<1200ms、T2値>50ms  (SNRも同じ)

撮像条件

シーケンス

シーケンス:SE法 (SNRも同じ)
TR:T1値 × 5 以上 (SNRでは3倍なので注意!無理やりですが“SNR”3文字→3倍、”均一性試験”→5文字→5倍と覚えました。)
TE:一般的に臨床に使用される範囲 (SNRも同じ)
スライス厚:10mm 以下 (SNRも同じ)
スライス:シングルスライス、Ax,Sag,Cor3断面 (SNRはAxial、シングルスライス)
matrix:128×128以上 (SNRは256)
FOV:面内においてRFコイルの最大径の110%を超えないこと (SNRも同じ)

測定条件

室温とファントム温度:22±4℃ (SNRも同じ)
ファントムRF受信コイルの中心に配置する (SNRも同じ)
ROI:画像断面の75%は少なくとも囲むこと (SNRも同じ)
表面コイルは使用不可 (SNRも同じ)
Parallel imagingは使用不可 (SNRも同じ)

測定方法

撮像された画像の雑音の影響を少なくするため9点ローパスフィルタ処理を行います。

画像のファントム領域の75%を含むROIを設定します。

ROIの最大信号値Smax、最小信号値Sminから、スパン(△)、中央値(Save)、不均一度(N)、均一度(U)を算出します。

グレースケールマップ

視覚的に画像均一性を確認することができます

画像のどこにどの程度の不均一があるかを5段階のグレースケールで視覚的に表したもの。

画像中心に400ピクセル程度のROIを設定し、平均信号値を算出します。

各ピクセルの信号値との差を5段階で表示します。

①平均信号値との差が +20%以上
②平均信号値との差が +10〜20%
③平均信号値との差が -10〜10%
④平均信号値との差が -20〜-10%
⑤平均信号値との差が -20%以下

ACR MR Accreditation Program (ACR-MRAP)

100ピクセル程度の小さい領域から均一性を測定します。

画像上から最も信号値の高いところを探し、そこに100ピクセル程度のROIを設定して平均値を算出します。(Smax

画像上から最も信号値の低いところを探し、そこに100ピクセル程度のROIを設定して平均値を算出します。(Smin

以上からPIU(peak deviation non-uniformity)を算出します。

標準平均絶対偏差(normalized absolute average deviation : NAAD)を用いた評価法

平均絶対偏差(absolute average deviation : AAD)
ROI内の各ピクセルの偏差の平均。極端に大きな偏差のピクセルがあってもその影響を受けにくく、高ノイズの影響が少ない。

NAADはAADを標準化するために測定ROI内の平均値で除したものです。

SNRが低い画像を評価する場合は、バックグラウンド領域を使用した以下の式にてノイズを補正します。

※認定試験については、これらの式は出題されたことがないので暗記する必要はないかと思います。

平均偏差(絶対偏差)と標準偏差
偏差とは各データから平均を引いたものです。
5人の体重のデータとします。
54 57 60 67 77 以上の平均は63kg
各データから平均を引きます。
-9 -6 -3 4 14
これらの絶対値をとり平均を出すと
9+6+3+4+14=36 36/5=7.2 ←平均偏差(絶対偏差)
今度は絶対値の代わりに2乗をして平均をとり√を取ります。
81+36+9+16+196=338 338/5=67.6 √67.6=8.2標準偏差

平均偏差は値のばらつき評価が弱くなります。
言い換えると飛び抜けた値(ノイズなど)の影響を受けづらいと言えます。

IECの測定方法

撮像条件に関して出題されたことはないので、特にマーカーは引いておりません。

認定試験のために暗記まではしなくていいのではと考えております。

撮像条件

シーケンス

シーケンス:SE法 (SNRも同じ)
TR:1000ms or T1値 × 3以上 どちらか大きい方を使用
TE:30ms or T2値×1/3 どちらか小さい方を使用
BW:100±3Hz
スライス厚:5mm 以下
スライス:シングルスライス、Ax,Sag,Cor3断面
matrix:256×256
FOV:頭部250mm、体幹部440mm 受信コイル最大径の110%を超えない

測定条件

アイソセンター±30mm
ROI:画像断面の85%を含む範囲

測定方法

第9回で一瞬出題されたことがあるので、なんとなく目を通すだけでいいかと思います。

評価方法はAADを用います。

設定したROI内の全てのピクセル値を使用して平均値とAADを求めます。

これより均一度と不均一度を求めます。

また、NEMAのようにグレースケールマップの作成もありますが、作成方法は若干異なります。

出題されなそうですので割愛しますね。

まとめ

グレースケールマップは5段階評価
PIU(peak deviation non-uniformity)は100ピクセル程度の平均信号値から評価する方法(ACR MR Accreditation Program)
NAAD(normalized absolute average deviation)は ROI 内の各ピクセル値の絶対偏差から均一性を評価する方法
スライス厚は10mm以下
TRはT1値×5以上

このあたりがよく出題されるところです。

基本的にNEMAについての出題となりますので暗記はNEMAだけでいいかと思います。

ただし第9回で一度IECも出たので、そこだけ確認しておきましょう。

過去問からの出題

19-問題 22 NEMAにおける均一性の評価について正しいのはどれか。

1. スライス厚は10mmより厚く設定する。
2. 不均一度は100×(Smax + Smin)/(Smax – Smin)で計算される。
3. T1値が400msのファントムを用いた場合、TRは1200msで問題ない。
4. 画像のノイズの影響を少なくするために9点ローパスフィルタ処理をおこなう。
5. NAAD(normalized absolute average deviation)はROI内の各ピクセル値の標準偏差から均一性を評価する方法である。

解答

1.× スライス厚は10mm以下。
2.×100×(Smax – Smin)/(Smax + Smin)
3.×T1値×5以上 この場合はTR=2000ms以上とする。
4.○
5.×絶対偏差から均一性を評価する方法。

18-問題24 NEMA における均一性の評価について正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. ファントム温度は 20±4°Cとする。
  2. 測定 ROI の平均値からスパンを求める。
  3. TR はファントムの T1 値の 5 倍以上に設定する。
  4. 不均一度を N としたとき均一度は 1/N で計算される。
  5. NAAD(normalized absolute average deviation)は ROI 内の各ピクセル値の絶対偏差から均一性を評価する方法である。

1.×22±4℃
2.×スパン=(最大信号値-最小信号値)/2
3.○
4.×100-N
5.○

17-問題 24 NEMA における均一性の評価について正しいものを選べ。

  1. スライス厚は 10 mm より厚く設定する。
  2. 不均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で計算される。
  3. T1 値が 500 ms のファントムを用いた場合、TR は 1500 ms で問題ない。
  4. ノイズの影響を少なくするために 9 点ハイパスフィルタ関数を畳み込んでもよい。
  5. Normalized absolute average deviation(NAAD)は ROI 内の各ピクセル値の標準偏差から均一性を評価する方法である。

解答

1.×10mm以下
2.○
3.×TR:T1値×5以上
4.×高周波ノイズの除去を行うため9点ローパスフィルタを使用
5.×絶対偏差から均一性を評価する方法。ノイズの影響を受けにくい。

16-43)NEMA における均一性測定について正しいのはどれか。2つ選べ。 

1. 画像フィルタを用いる
2. スライス厚は 10 mm 以下に設定する
3. FOV は RF コイルの最大径の 120%に設定する
4. 測定 ROI はファントム領域の 75%を含むように設定する
5. NAAD(normalized absolute average deviation)は絶対偏差から均一性を評価する方法であり、高ノイズ画像の影響を受ける

1.×使用不可
2.○
3.×110%を超えないこと
4.○
5.×高ノイズ画像の影響を受けにくい

第15回-23

第15回-23
画像評価に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. Parallel imagingでSNR測定をするには空中雑音法を用いる。
  2. 表面コイルを用いる場合,SNRと均一性の評価を同時に行う。
  3. 差分法を用いたSNR測定は装置付属の差分機能を使用する。
  4. CNR(contrast-to-noise ratio)が高くなると信号検出能は低下する。
  5. 空間分解能の評価は等間隔に並んだピンパターンから視覚評価を行う。

1.×測定位置により雑音が不均一となり基本的に測定対象外とされるが日本放射線学会では5定点差分法が提唱されている
2.○表面コイルはSNRに位置依存性があるため同時に均一性の評価を行う必要がある
3.×使用しても良いが必ずしも装置付属の差分機能を使用する必要はない ○としても良さそうな気もしますが消去法で×
4.×
5.○詳細評価にはMTFを評価することとなるが、簡便法としてピンの視覚評価がある

第14回-13

第14回-13
NEMAにおける均一性測定に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. スライス厚は 10 mm以上にする。
  2. スパン Δは(Smax-Smin)/2 である。
  3. TR は信号発生物の T1 値の 3 倍以上にする。
  4. データ収集マトリクスは 256×256 以上にする。
  5. 撮像画像に 9 点ローパスフィルター処理を行う。

1.×10mm以下
2.○
3.×TR≧5×T1
4.×128×128以上
5.○高周波ノイズの除去を行う

第12回-4

第12回-4
NEMA の画像均一性評価法について正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

  1. スライス厚は 10 mm以上にする。
  2. 均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で算出する。
  3. 画像のマトリクスサイズは 128×128 以上が推奨されている。
  4. 表面コイルを使用する際は適正な感度補正処理を必ず施行する。
  5. NAAD(normalized absolute average deviation)は絶対偏差から均一性を評価する方法であり、ノイズの影響を受けにくい。

1.×10mm以下
2.×これは不均一度の式
3.○
4.×
5.○

第11回-35

第11回-35
NEMA における画像均一性評価法で正しい文章を選択してください。(正解2つ)

1.均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で算出する。
2.表面コイルを使用する際は、感度補正処理が必要である。
3.スパンは、ROI 内ピクセルの最大信号値と最小信号値の平均である。
4.NAAD(normalized absolute average deviation)は絶対偏差から均一性を評価する方法である。
5.PIU(peak deviation non-uniformity)とは、100ピクセル程度の平均信号値から評価する方法である。

1.×不均一度の式
2.×
3.×スパン=(Smax-Smin)/2、SAVE=(Smax+Smin)/2
4.○
5.○(ACR-MRAP)

第10回-34

第10回-34
性能や精度に関連する事項について、正しい文章を選択してください。(正解2つ)

1.受信バンド幅が狭いほど SNR は大きくなる。
2.画像の均一性には、傾斜磁場の直線性が大きく影響する。
3.画像の幾何学的なひずみと静磁場の不均一性は大きく関係する。
4.不変性試験は、不具合が起きた場合に問題箇所を特定するために行う。
5.スライス厚の評価には、信号が発生しない材料の大きさが異なるピンやプレートをいくつか並べたファントムを使用するのが一般的である。

1.○
2.×RFや正磁場不均一などが影響する、傾斜磁場の直線性が影響するのは画像歪み(空間直線性)
3.○
4.×機器の性能が設定基準を満足することを確認するため、機器の構成要素の性能変化を早期に発見するために行う
5.×スライス厚にはくさび板などを用いる、ピンを用いるのは歪み試験

第10回-36

第10回-36
NEMA における画像均一性評価法で正しい文章を選択してください。(正解2つ)

1.均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で算出する。
2.スパンは ROI 内の最大信号値―最小信号値である。
3.ファントム撮像の TR は、ファントム内容物の T1 値の 5 倍以下である。
4.PIU(peak deviation non-uniformity)とは、100ピクセル程度の平均信号値から評価する方法である。
5.NAAD(normalized absolute average deviation)は絶対偏差から均一性を評価する方法で、高ノイズ画像に影響されにくい。

1.×不均一度の式
2.× Δ=(最大信号値―最小信号)/2
3.×5倍以上
4.○ACR-MRAP
5.○

第9回-35

第9回-35
画像均一性の測定法について、正しい文章を選択してください。(正解3つ)

1.NEMA ではファントム温度は 22±4°Cである。
2.NEMA ではスパンと中央値から不均一度と均一度を算出する。
3.IEC の測定方法は平均絶対偏差から算出するためノイズの影響を受けにくい。
4.NEMA のグレイスケールマップは平均値からの信号差によって9段階に割り振る。
5.NEMA のグレイスケールマップは雑音の影響を少なくするため、Gaussian フィルタを加える。

1.○
2.○
3.○
4.× 5段階
5.×9点ローパスフィルタ

第6回-37

第6回-37
 性能評価について、正しい文章を選択してください。(正解2つ)

1. 差分法の SNR 算出式は、SNR=(S / √2) / N である。
2. NEMA では、ファントム温度を、25°±4°に規制している。
3.撮像 TR は、ファントムの T1値/4より小さくする必要がある。
4.画像均一性の測定は、完全に均一な場合、NEMA では全均一性は0になる。
5.Parallel MRI での SNR 測定では、空中で雑音を測定するのは望ましくない。

a.× SNR=(S×√2)/ SD
b.×室温とファントムは22±4℃
c.× SNRとスライス厚はTR≧3×T1、均一性はTR≧5×T1
d.○
e.○日本放射線学会では5定点差分法が提唱されている



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