【第15回】MRI専門技術者認定試験 過去問

2020年9月出題、問題数50問

目次

第1部

1) 正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 円板状半月板は外側半月板に好発する。
  2. キーンベック(Kienböck)病は舟状骨の疾患である。
  3. テニス肘は主に尺側手根伸筋の起始部の疾患である。
  4. TFCC(triangular fibrocartilage complex)損傷は手関節尺側に好発する。
  5. SLAP 損傷(superior labrum anterior and posterior lesion)は股関節唇の上部に好発する。

 

解答
1.○円板状半月板は断裂しやすい。円盤半月板
2.×月状骨の血流が悪くなり骨壊死する。
3.×正式には「上腕骨外側上顆炎」。短橈側手根伸筋の起始部の疾患。腱への負担が原因。
4.○TFCC(三角線維軟骨複合体)、三角繊維軟骨・背側遠位橈尺靭帯・掌側遠位橈尺靭帯・尺側側副靭帯。TFCC損傷
5.×肩関節の上方関節唇損傷、上腕二頭筋の作用による。SLAP損傷

2) 正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 基底核や視床は灰白質である。
  2. 下垂体は血液脳関門が存在する。
  3. 脳の髄鞘化は2歳までにすべて完了する。
  4. 高濃度酸素を投与していると SWI(susceptibility-weighted imaging)で静脈を過大評価することがある。
  5. 高濃度酸素を投与していると FLAIR(fluid-attenuated inversion-recovery)で脳溝が高信号になることがある。

 

解答
1.○
2.×存在しない部位:松果体、下垂体後葉、視床下部、最後野、脈絡叢など
3.×シナプス形成:2〜3歳で最大に形成。樹状突起:5歳まで増加。髄鞘化(ミエリン化):20歳程度で完成。髄鞘化
4.×静脈内のデオキシヘモグロビン濃度が低下し過小評価となる
5.○

3) 正しい組み合わせはどれか。2つ選べ。

  1. 肝細胞 ——– 貪食細胞
  2. 肝区域 ——– Couinaud の分類
  3. クッパー細胞 —– 胆汁生成
  4. ミエリン鞘 ——- 肝動脈,門脈,胆管
  5. 肝右葉と肝左葉の境界 – Cantlie 線
解答
1.×貪食細胞:マクロファージ
2.○クイノーの分類:門脈の分枝を元にS1〜S8の区域に分類
3.×クッパー細胞:肝臓内の組織マクロファージ。胆汁は肝細胞で生成される。
4.×ミエリン鞘(髄鞘):神経細胞(ニューロン)の軸索の周りに存在。グリソン鞘:肝小葉を区画する結合組織、小葉間動脈、小葉間静脈、小葉間胆管が並ぶ。ミエリン鞘(髄鞘)
5.○Cantlie 線:胆嚢底と下大静脈を結ぶ線

4) 正しい記述はどれか。3つ選べ。

1. 左精巣静脈は左腎静脈に合流する。
2. 外腸骨動脈は大腿動脈に移行する。
3. 右椎骨動脈は大動脈弓から分岐する。
4. 後下小脳動脈は脳底動脈から分岐する。
5. 上腸間膜静脈は脾静脈と合流して門脈になる。

解答
1.○ちなみに右精巣静脈は下大静脈につながる。
2.○
3.×右鎖骨下動脈
4.×椎骨動脈
5.○
解説(脳動脈),解説(腹部血管)

5) ガドリニウム造影剤に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. T2 短縮効果がある。
  2. 腎機能障害があっても問題なく投与できる。
  3. 体内に沈着したガドリニウムは洗い出される。
  4. 脳内では基底核と小脳歯状核のみに沈着する。
  5. マクロ環状型は線状型のものよりも体内に沈着しやすい。

 

解答
1.○
2.×eGFRが30ml/min/1.73m2未満ではガドリニウム造影剤使用後のNSF発症の危険性が高いとされている。
3.×
4.○
5.×線状型の方が沈着しやすい。
解説

6) スピン量子数が 1/2 の核種はどれか。3つ選べ。

1. 1H
2. 2H
3. 23Na
4. 31P
5. 129Xe

解答
1.○
2.×1
3.×3/2
4.○
5.○
解説

7) 電磁誘導の微分方程式を以下に示す。V に関する正しい記述はどれか。3 つ選べ。 V は誘導起電力、A は比例定数、M は磁化、t は時間、𝜔0はラーモア周波数とする。

  1. Mに比例する。
  2. 𝜔0に比例する。
  3. z 軸成分は 1 である。
  4. x 軸成分は正弦波である。
  5. y 軸成分は正弦波である。

 

解答
?
1.○
2.×
3.○
4.○
5.×余弦波

8) 正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. 縦緩和時間 ≦ 横緩和時間
  2. 縦緩和速度 ≦ 横緩和速度
  3. J 結合はスピン-スピン結合とも呼ばれる。
  4. 縦緩和はスピン-スピン緩和とも呼ばれる。
  5. 横緩和はスピン-スピン緩和とも呼ばれる。

 

解答
1.×縦緩和時間 ≧ 横緩和時間。ちなみに純水のみ 縦緩和時間 = 横緩和時間 となる。
2.○
3.○
4.×スピン格子緩和
5.○

9) MR spectroscopy に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 代謝物の量はピーク高を計測する。
  2. T2 値の短い代謝物はピーク幅が広くなる。
  3. 代謝物のピーク値(ppm)は静磁場強度に依存しない。
  4. NAA(N-acetyl aspartete)は神経細胞の数が減少すると上昇する。
  5. PRESS(point resolved spectroscopy)法は STEAM(stimulated echo acquisition mode)法より TE を短くできる。

 

解答
1.×
2.○参考
3.○
4.×低下する。
5.×STEAM法はTEを短くできるためshort T2の代謝物測定に向いている
解説(MRS)

10) 受信コイルに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. Birdcage コイルは表面コイルとして用いる。
  2. 垂直磁場 MR 装置は solenoid コイルが用いられる。
  3. Loop コイルのコイル面は静磁場方向と直行するように配置する。
  4. Array コイルの信号強度は個々のコイル径が大きくなると弱くなる。
  5. LP(linear polarization)コイルの信号雑音比は CP(circular polarization)コイルの 2 倍である。

 

解答
1.×ボリュームコイルなどに用いられRF送信を行える。
2.○永久磁石にソレノイドが用いられる
3.×円形コイルの面は静磁場と並行に配置。
4.○
5.×信号は2倍だが、ノイズは√2倍となり、S/Nは√2倍となる

11) k 空間の充填方法を以下に示す。正しい記述はどれか。2つ選べ。

1. (a)は(e)よりも体動に強い。
2. (d)は(a)よりも撮像時間が短い。
3. (b)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい。
4. (c)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい。
5. (e)は(c)よりも圧縮センシング再構成に向いている。

解答
1.eはラジアルスキャンで体動に強い。
2.×dは部分エコー法、TEを短縮することが可能。撮像時間は変わらない。
3.×bはハーフフーリエ、撮像時間は短くなる。
4.○cはパラレルイメージング。
5.○ラジアルではインコヒーレンス性が高くCSとの相性が良い、GRASP(Golden-angle RAdial Sparse Parallel)など。
解説解説(圧縮センシング)

12) 脂肪抑制法に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 拡散強調画像には必要不可欠である。
  2. モーションアーチファクト低減に寄与する。
  3. Dixon 法の opposed phase 画像は脂肪組織が低信号になる。
  4. CHESS(chemical shift selective)法は低磁場装置に不向きである。
  5. STIR(short TI inversion recovery)法は脂肪の信号を選択的に抑制する。

 

解答
?
1.○位相方向に大きくケミカルシフトが生じるため必須。
2.○腹部領域などにおいて呼吸によるアーチファクトは高信号の皮下脂肪が目立つため、脂肪抑制は有効。
3.×脂肪と水が混在する場合低信号。
4.○
5.×T1値に依存するため脂肪でなくとも低信号になる場合がある。非選択的脂肪抑制法。
2つ選ぶ問だが1、2、4は○と考えられる。
解説(DWI)

13) 正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. SWI は位相画像にローパスフィルターを施す。
  2. Synthetic MRI は脂肪抑制画像を取得することができる。
  3. フーリエ変換は deep learning によって置換することができる。
  4. MR fingerprinting では撮像パラメータを撮像毎にランダムに設定する。
  5. CEST (chemical exchange saturation transfer) MRI は MT(magnetization transfer)効果を利用している。

 

解答
?
1.×静磁場不均一性に起因する低周波成分の位相変化を除去するためにハイパスフィルタを使用。
2.○1回のスキャンデータからT1値、T2値、プロトン密度の定量を行い、これらを用いて後からTR、TE、TIを設定することにより任意のコントラスト強調画像を作成可能(MAGiC)。脂肪抑制として後から脂肪のT1値に合わせてSTIRが作成可能。
3.○
4.○TRとFAを疑似ランダムに印加しTRごとに得られる軌跡をk空間に充填し画像を得る。
5.○

14) 受信バンド幅を広げたときの影響に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. サンプリング時間は延長する。
  2. 化学シフトアーチファクトは低減する。
  3. 撮像可能なスライス枚数は増加する。
  4. モーションアーチファクトは顕著になる。
  5. SNR(signal-to-noise ratio)は向上する。

 

解答
1.×短縮する。BW=1/ΔTs(サンプリング間隔)。Ts(サンプリング時間)=N×ΔTs。
2.○
3.○マルチスライス
4.×低減する。
5.×低下する。


解説(化学シフト)

15) 下図より各パルスシーケンスの撮像時間(1 スライスあたり)で正しいのはどれか。

 

解答
1.×
2.×
3.○
4.×
5.×

16)高速スピンエコー法にてTR 5000ms、ETL 15、Echo space 15ms、Matrix size 256×256のlinear収集で実効TE を 135msに設定したとき、撮像可能な最大スライス枚数はどれか。

1. 18
2. 20
3. 22
4. 24
5. 26

解答
1.×
2.×
3.○5000/(15×15)=22.2
実行TEは135msだが撮像可能枚数に必要な情報は最終エコーの時間(最後のTE)
最後のエコー時間は15×15=225ms
TR5000/225=22.22222 なので22枚。マルチスライス
4.×
5.×
解説(FSE)

17) Compressed sensing MRI に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 収集データを間引いて画像を圧縮する方法である。
  2. k 空間をコヒーレント(coherent)にサンプリングする。
  3. MRA や MRCP といったコントラストの高い画像に有用である。
  4. ラジアル法やスパイラル法などの非直交座標系にも応用できる。
  5. スパース性が高いとは画像におけるゼロ成分が少ないことである。

 

解答
1.×
2.×インコヒーレントにサンプリング。
3.○MRAやMRCPはスパース性が高い。
4.○
5.×ゼロ成分が多い。
解説解説(圧縮センシング)

18) EPI における歪み改善に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. TE を短くする。
  2. Echo space を短くする。
  3. 位相方向の FOV を小さくする。
  4. 位相方向のマトリクスサイズを小さくする。
  5. 周波数エンコード傾斜磁場の印加時間を短くする。

 

解答
1.×影響なし
2.○
3.○
4.×影響なし
5.○歪み係数=T/V T:周波数エンコード傾斜磁場の印加時間、V:位相エンコード傾斜磁場の面積
類似問題5-10

19) Parallel imaging に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. 比吸収率を低減できる。
  2. 周波数エンコードの信号収集を間引いている。
  3. 複数のコイルを間引く方向と直交して配置する。
  4. SENSE(sensitive encoding)法は事前にコイル感度マップを収集する。
  5. SMASH(simultaneous acquisition of spatial harmonics)法は信号収集した行から間引いた行を推定する。

 

解答
1.○
2.×位相エンコード方向
3.×SENSEにおいてコイルの配置に制限はないが間引く方向=位相方向は、コイル軸方向(コイル面に垂直)にした方が画質は良くなる。
4.○Calibration scanが必要
5.○

20) アーチファクトに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 魔法角アーチファクトは撮像断面を変更すると消失する。
  2. 化学シフトアーチファクトは脂肪信号が高周波側へシフトする。
  3. SE 法における拡張期偽同期現象は T1 強調画像で発生しやすい。
  4. 打ち切りアーチファクトは急に信号が変化する領域で発生しやすい。
  5. 折り返しアーチファクトは全方向(周波数・位相・スライス方向)に出現する。

 

解答
1.×静磁場に対して靭帯などが55°のときに高信号になる現象。断面を変更してもこの位置関係は変わらないため消失はしない。マジックアングル
2.×低周波側へシフト。化学シフト
3.×拡張期では流速がほぼ0となり拡張周期に一致すると止まった血液を撮像するので高信号となる。T2で発生しやすい。
4.○
5.○

21) クロストークアーチファクトに関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. スライス間隔に依存しない。
  2. TR を短く設定すると低減できる。
  3. RF パルスの印加時間に起因する。
  4. スピンー格子緩和時間に起因する。
  5. 静磁場強度が高いほど出現しやすい。

 

解答
1.×狭いほど生じやすい。
2.×RFパルスを与える時間間隔(TR)が短いと十分に縦磁化が回復する前に次のRFパルスの影響によって信号強度が低下する。そのためT1WIの方が発生しやすくなる。TRは長い方が低減される。
3.○
4.○
5.○静磁場強度が高いほどT1値が延長し縦磁化の回復が遅れるため

22) メタルアーチファクト改善に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. TE を延長する。
  2. 空間分解能を高くする。
  3. 高磁場装置で撮像する。
  4. 受信バンド幅を広くする。
  5. 高速スピンエコー法で撮像する。

 

解答
1.×短縮する。
2.○
3.×より生じやすい。
4.○
5.○繰り返す180°パルスのため。
解説(FSE)

23) 画像評価に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. Parallel imagingでSNR測定をするには空中雑音法を用いる。
  2. 表面コイルを用いる場合、SNRと均一性の評価を同時に行う。
  3. 差分法を用いたSNR測定は装置付属の差分機能を使用する。
  4. CNR(contrast-to-noise ratio)が高くなると信号検出能は低下する。
  5. 空間分解能の評価は等間隔に並んだピンパターンから視覚評価を行う。

 

解答
1.×5定点差分法を使用する。
2.○表面コイルはSNRに位置依存性があるため同時に均一性の評価を行う必要がある
3.×使用しても良いが必ずしも装置付属の差分機能を使用する必要はない
4.×コントラストが良くなり検出能は上昇する。
5.○
解説(SNR測定)解説(均一性試験)解説(空間分解能測定)解説(CNR測定)

24) NEMA における歪みの性能評価法に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. 長方形ピクセルでも測定可能である。
  2. ファントムは円柱形もしくは球形である。
  3. 距離の測定間隔は45°以下で4 本以上とする。
  4. ピクセルサイズは最大保証範囲の1%以下とする。
  5. 測定値と実寸の誤差割合を算出し,最大誤差を表記する。

 

解答
1.×ピクセル形状は正方形。
2.×装置の保証範囲が立方体や球型であればそれと同じ形状と大きさをもつファントム。もしくは内部にリング、穴、ピンなど保証範囲の境界を定義できる構造物を含むものでも可。IECなら円柱形もしくは球形。
3.○
4.○
5.○
解説(歪み試験)

25)IEC 62464-1に準じたMRIの空間分解能測定ファントムとその測定用画像を以下に示す。正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. d/Lは2以上とする。
  2. (a)はLの10倍以上とする。
  3. (b)はスライス厚の2倍以上とする。
  4. この画像から得られるのはy軸に沿った空間分解能である。
  5. ROI 内の信号値と標準偏差から平均 MTF を測定することができる。

 

解答
1.×アクリル板を重ねたもの、d/Lは0.61〜0.70とされている。
2.○
3.○
4.× x軸に沿った空間分解能。
5.○
解説(空間分解能測定)

第2部

26)MRA(magnetic resonance angiography)に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 造影MRAのTEはopposed phaseが望ましい。
  2. TOF(time of flight)法はT1値の長い組織が高信号になる。
  3. FBI(fresh blood imaging)法は収縮期と拡張期の信号強度差を利用する。
  4. TONE(tilted optimized non-saturating excitation)法は流入側から流出側に向かってFAを小さくする。
  5. PC(phase contrast)法はVENC(velocity encoding)を超える流速を遅い流速として表現してしまうことがある。

 

解答
1.×非造影MRAはopposed phaseにして背景信号の抑制に努める。造影でopposed phaseにしてしまうとparadoxical suppressionが生じる可能性がある。
2.×TOFは短いTRとTE、大きいFAからT1WIとなる。T1値が短い組織で高信号。
3.○
4.×流入側から流出側に向かってFAを大きくする
5.○速度エイリアシング

27)TOF法にて内径 10mm、最大流速 80cm/secの血管を断層厚 5mm、Flip Angle 50°にて撮像する際、信号強度が最大になるTRとTEの組み合わせはどれか。対象血管のレイノルズ数は2000である。

  1. TR 6.25msec、TE 3.5msec
  2. TR 6.25msec、TE 5.25msec
  3. TR 12.5msec、TE 3.5msec
  4. TR 12.5msec、TE 7.0msec
  5. TR 25.0msec、TE 12.5msec

 

解答
1.○
まえおきとして、、
レイノルズ数Re=(ρvd)/μ  ρ:密度、v:流速、d:血管直径、μ:粘性率
Re<2100なら層流、Re>2100なら乱流、問題はRe2000のため層流と考えられ流速プロファイルは比較的安定していると仮定。
v=スライス厚/TRの時に断層面にある血液は全て入れ替わり強い信号を出す。
TEは短いほど位相分散による信号低下を抑えられる。

レイノルズ数については与えられているため計算はしなくて大丈夫です。
問題はTRを算出することで、単位などに気をつけて解きましょう。

28) 拡散イメージングに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 拡散強調画像は膿瘍内容が高信号になる。
  2. 水分子拡散の確率密度分布は生体内で正規分布しない。
  3. 完全な等方性拡散の FA(fractional anisotropy)値は1である。
  4. 水の ADC(apparent diffusion coefficient)値は実質臓器よりも低い。
  5. DTI(diffusion tensor imaging)の MPG(motion probing gradient)は 3 軸以上必要である。

 

解答
1.○
2.○
3.×0となる。異方性拡散が強いと最大値1に近づく。
4.×高い。
5.×6軸以上。
解説(DWI)

29) 造影検査に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 緩和時間の逆数を緩和能と呼ぶ。
  2. SPIO(superparamanager iron oxide)は T1 強調画像で活用する。
  3. 塩化マンガン四水和物は T2 強調画像にて陰性造影効果を示す。
  4. Gd-EOB-DTPA の血漿中の r1 値,r2 値は Gd-DTPA より高い値を示す。
  5. ガドリニウム造影剤 0.1mmol/kg 投与時の血中消失半減期はクレアチニンクリアランスが正常の場合約 30 分である。

 

解答
1.×緩和時間Tの逆数は緩和速度R。緩和能rは緩和時間を変化させる能力の大きさ。
2.×SPIOはr1:24、r2:85でありT2短縮効果が強く陰性造影剤として用いられているためT2WIもしくはT2*WIで撮像。
3.○塩化マンガン四水和物:ボースデル。T1で陽性、T2で陰性造影剤として使用可能。
4.○
5.×正常:1.5時間。軽度:1.5〜2時間。中等度:4時間。重度:10時間。重篤:30時間。
解説解説2

30)ASL(arterial spin labeling)法に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. Pulsed ASL 法は 2 種類の反転 RF パルスを用いて流入動脈を標識する。
  2. Continuous ASL 法は pulsed ASL 法と比較して撮像部位の MT 効果が目立つ。
  3. 標識する部位と撮像断面が離れていると局所血流量を過小評価してしまう可能性がある。
  4. 標識された血液が太い血管内に残ると脳実質の局所血流量を過大評価する可能性がある。
  5. RF パルスのプロファイルの精度が低下すると局所血流量を過大評価してしまう可能性がある。

 

解答
1.×1種類
2.○
3.○
4.○
5.×過小評価する。

31) 肝臓の MR elastography に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. 双極性傾斜磁場を用いる。
  2. 鉄沈着の強い症例に有用である。
  3. TE(echo time)は加振周波数に依存する。
  4. ずり弾性率は弾性体の伝搬波速度と密度から算出する。
  5. 心拍動の影響で左葉領域の測定値が不正確になることがある。

 

解答
1.○
2.×高度の鉄沈着は信号低下の原因となる。
3.×大きいほどTEは延長。
4.○v2=μ/ρ、伝搬速度v、ずり弾性率μ、密度ρ
硬いほど波の伝搬速度は速く、波長が長い。柔らかいほど遅く、波長は短い。ずり弾性率とは力を加えた時の変形のしにくさを表す。
5.○

32)CEST (chemical exchange saturation transfer)イメージングに関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. B0 の不均一は画像に大きく影響する。
  2. プレパルスとして短時間の飽和パルスを用いる。
  3. CEST 効果を表す指標として MTRasym 値がある。
  4. 健常脳の MTR(magnetization transfer ratio)は白質より灰白質が高い。
  5. APT イメージングは可動性蛋白やペプチドに含まれるアミドプロトンを検出している。

 

解答
1.○
2.×長時間(500ms〜数秒)の飽和パルスを用いる。照射時間が長く、強度が強いほどCEST効果は大きくなる。
3.○Magnetization Transfer Ratio asymmetry
4.×MTR:MT効果の程度。MTR=((Mo-Ms)/Mo)×100%、Mo=off resonance pulse照射前の信号強度、Ms=off resonance pulse照射後の信号強度。健常者では白質の方が高い。
5.○
CEST

33) Aは中心溝である。正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. A は前頭葉と後頭葉の境界である。
  2. A の前方に一次運動野が存在する。
  3. B には一次聴覚野が存在する。
  4. B には一次視覚野が存在する。
  5. C にはブローカーの言語野が存在する。

 

解答
1.×前頭葉と頭頂葉の境界(中心溝)
2.○前方に一次運動野、後方に一次体性感覚野
3.×
4.○
5.○

図の領域は結構アバウトにやってます

34) 女性骨盤の T2 強調画像を以下に示す。正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. A は筋層である。
  2. B は junctional zone である。
  3. 子宮内膜は閉経後に委縮する。
  4. Junctional zone は月経時に描出不良となる。
  5. 子宮内膜は生理周期の増殖期に最も厚く描出される。

 

解答
1.× junctional zone
2.×筋層
3.○
4.○増殖期で徐々に明瞭化し分泌期で最も明瞭となる、筋層信号は月経で低信号→増殖期で徐々に高信号→分泌期で最も高信号となる
5.×月経期→増殖期→分泌期→月経期、月経で内膜が剥がれ薄くなり増殖期で徐々に肥厚し分泌期で最も厚くなる

35) 肩関節の T1 強調画像を以下に示す。正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. A の断面は b である。
  2. C は鎖骨である。
  3. C は肩峰である。
  4. D は棘上筋である。
  5. D は棘下筋である。

 

解答
1.○
2.×烏口突起
3.×
4.○
5.×
腱板

36) 頭部の T2 強調画像を以下に示す。矢頭(▽)のアーチファクトに関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

1. 増毛パウダーが原因である。
2. 歯科インプラントが原因である。
3. コイルの感度不均一が原因である。 
4. オーラ(Aura)サインと呼ばれている。
5. 磁化率アーチファクトと呼ばれている。

解答
1.○
2.×
3.×
4.○
5.○

37) 救急搬入された患者の画像を以下に示す。この患者の症状として最もふさわしいのはどれか。

1. 右上肢片麻痺
2. 右下肢片麻痺
3. 視覚野障害(半盲)
4. 意識消失呼吸不全
5. 構音障害(ろれつ困難)

解答
1.×
2.×
3.×
4.×
5.○

38) 男性骨盤の MR 画像を示す。正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 図 a は ADC マップである。
  2. 図bはT1強調画像である。
  3. この患者は生検を施行したほうが良い。
  4. 前立腺移行領域に前立腺癌が疑われる。
  5. 前立腺中心領域に前立腺肥大(BPH)が認められる。

 

解答
1.×DWI
2.×T2WI
3.○
4.×辺縁域
5.○

39) 正しい組み合わせはどれか。2つ選べ。

  1. 卵巣癌 ― Bridging vascular sign ― MRA 像
  2. 肝細胞癌 ― Corona sign ― 拡散強調像
  3. 動脈解離 ― Pearl and string sign ― FLAIR 像
  4. 前立腺癌 ― 神経血管束 ― T1強調像
  5. 子宮頸癌 ― Stromal ring ― T2強調像
解答
1.×漿膜下筋腫の所見。子宮と筋腫の間に造成血管のflow voidが見られ、T2やT1で観察される。
2.×内部はwashoutし癌周囲が濃染する所見。ダイナミック門脈相などで観察される。
3.×MRAによって椎骨動脈解離などでみられる。血管内腔の拡張と狭窄を反映し、真珠と糸に例えられた所見。
4.○前立腺の外側後方に小さな円形構造として描出。癌の進展により圧排、埋れて消失する。
5.○T2axialにおいて高信号の頸管上皮と粘液を低信号の頸部間質が取り囲む像。Stromal ringが断裂している場合腫瘍が頸部を超え浸潤していることとなる。
解説(サイン)解説(DWI所見)

40)下図はJISZ 4951:2017の傾斜磁場出力上限値を示している。正しい組合せはどれか。横軸(ts、eff)は実効刺激持続時間(ms)とする。

 

解答
1.○
2.×
3.×
4.×
5.×
A:心臓刺激、B:第一次水準管理操作モード、C:通常操作モード
解説(モード)

41)一般的名称永久磁石式全身用MR装置の薬機法上における位置づけとして正しいものはどれか。3つ選べ。

1. 設置管理医療機器
2. 高度管理医療機器
3. 内臓機能検査用器具
4. 特定保守管理医療機器 
5. 放射性物質診療用器具

解答
1.○
2.×
3.○
4.○
5.×
類似問題14-26

42) 下表は JIS Z 4951:2017 の固定パラメータオプション:ベーシック(FPO:B)の上限値を示している。( )の中に入る正しい組合せはどれか。

 

解答
1.○
2.×
3.×
4.×
5.×
類似問題14-29

43) 以下の記号に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. A は MR 適合を示している。
  2. A は MR 画像に影響がないことを示している。
  3. B は添付文書を参照してほしいことを示している。
  4. B は MR 撮影室入り口に掲示しておくべきである。
  5. C は取扱説明書を参照してほしいことを示している。

 

解答
1.○MR Safe:いかなるMR環境においても既知の危険性を持たない物品。
2.×画像に影響を及ぼす可能性はある。
3.×MR Conditional:条件付きで使用可能。
4.×
5.○
解説(標識)

44) 正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 短期 SAR とは任意の2分間の SAR 上限値として規定されている。
  2. SAR は静磁場強度に比例し,高周波磁場強度の2乗にも比例する。
  3. 成人に高周波照射4W/kg で体内深部温度 1°C上昇が規格上の考え方である。
  4. SAR×検査時間で示す最小エネルギー量がリスクマネジメントにより制限される。
  5. MR 装置は 140dB より高いピーク音圧レベルの騒音を生じてはならないと規定されている。

 

解答
1.×10秒間。
2.静磁場強度の2乗に比例。
3.○
4.×最大エネルギー量がリスクマネジメントにより制限される。
5.○
解説(騒音),解説(モード)

45) クエンチに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. ヘリウムガスは毒性かつ引火性である。
  2. 永久磁石型 MR 装置でもまれに発生する。
  3. MR 室(撮像室)内のドアは内開きであることが望ましい。
  4. ヘリウムガス排気口の付近には警告表示板などを設置して注意喚起すべきである。
  5. 緊急減磁装置作動時に磁場が 20mT になるまでの時間は取扱説明書に記載されている。

 

解答
1.×毒性も引火性もない。
2.×超電導にするために液体ヘリウムを使用するため超電導装置のみクエンチの可能性がある。
3.×外開きまたはスライド式が望ましい。
4.○
5.○磁石中心の磁場強度が20mTに低下する時間を記載しなければならない。
解説(クエンチ)

46)JIS Z 4952:2012 「磁気共鳴画像診断装置-第 1 部:基本画質パラメータの決定方法」に規定されている項目はど れか。3つ選べ。

  1. 比吸収率
  2. 信号ノイズ比
  3. 2 次元幾何学的歪
  4. 末梢神経刺激出力
  5. ゴーストアーチファクト

 

解答
1.×
2.○
3.○
4.×
5.○
基本画質パラメータの決定方法に規定されるものは、信号ノイズ比、均一性、2次元のスライス厚及びスライスプロファイル、2次元幾何学的ひずみ(歪)、空間分解能、ゴーストアーチファクト、(上記項目についての不変性試験)
類似問題13-29

47) 令和元年 8 月 1 日付で厚生労働省医薬・生活衛生局から発令された「植込み型医療機器等の MR 安全性にかかる 対応について」に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. ASTM や ISO に基づく MR 検査に関する安全性評価をしていない植込み型医療機器を販売してはならない。
  2. MR Conditional とするため ASTM の試験規格に基づく MR 安全性評価を実施した場合は B1+rms の値を記載する。
  3. ISO 等の ASTM 以外の試験規格により MR 検査に関する安全性評価をした場合は別に厚生労働省に審査申請を行う。
  4. MR Safe とする場合は【使用上の注意】の[重要な基本的注意]の項に「一般的な MR 検査による影響はない」と記載する。
  5. MR Unsafe とする場合は【禁忌・禁止】の項に「MRI 検査は禁忌とする」と記載のうえ MRI 装置が併用禁忌であることも記載する。

 

解答
1.×原則MR検査に関する安全性評価を行うこととなっているが、行なっていない場合「本品については、試験によるMR安全性評価を実施していない。」と記載する。
2.×
3.×MR検査を実施可能な撮像条件等を『使用上の注意』の『重要な基本的注意』の項に記載する。
4.○
5.○

48) 令和元年 8 月 5 日付で日本磁気共鳴医学会から発令された「臨床 MRI 安全運用のための指針」に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

1. 造影剤の使用削減を求めている。
2. 安全管理のために入室者制限を設けるように求めている。
3. メンテナンス関係者にも安全管理体制の整備を求めている。
4. 安全管理チームに磁気共鳴専門技術者を含めることを求めている。
5. 安全管理責任者に関連団体の安全性講習会に参加するように求めている。

解答
1.×使用削減は求めていない、同意書の取得や副作用についての対応・教育など。解説
2.×
3.○金属持ち込みを防止する教育及び管理体制の整備。
4.○
5.○

49) MRI 検査時の安全性に対する判断について最も正しいのはどれか。

  1. 酸化鉄を含む刺青も装置が改善されて安全に MRI 検査が可能になった。
  2. 妊娠初期の妊婦に対する MRI 検査は胎児への影響が大きいので禁忌である。
  3. 授乳中の患者への造影 MRI 検査は母乳から造影剤が漏出されるので禁忌である。
  4. 添付文書の記載事項を遵守しない場合は特段の理由がない限り刑事罰則が適用される。
  5. ステントの空間磁場勾配の制限値が 680gauss/cm の場合,最大空間磁場勾配が 800gauss/cm の MRI 装置では検査ができない。

 

解答

1.注意すべき。
2.禁忌ではない。
3.禁忌ではない。解説
4.○添付文書は医療安全の観点からも法律に準ずる重みがあると考えられる。
5.最大空間磁場勾配はガントリ開口部の磁力線が最も急峻に曲がっているところで測定された最大値であり開口部の中心付近では磁場勾配は小さくなるため中心付近を通過してガントリ内に入れば検査は出来る可能性がある。しかし問の情報だけでは判断し難い。

50) 以下の MRI の危険因子に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 吸引は静磁場によって起こり、中心部が最も強く働く。
2. 発熱は誘導電流によって起こり、ボアの端の方で大きく発熱する。
3. クエンチによって液体窒素が気化しても静磁場強度は保たれる。
4. 騒音はフレミングの法則に従って静磁場からのローレンツ力によって発生する。
5. 末梢神経刺激は変動磁場によって起こり、撮像部位から離れた部位で発生する。

解答
1.×ガントリ開口部の辺縁。
2.×
3.×クエンチ後、徐々に磁場は低下する。
4.○
5.○
解説(クエンチ),解説(騒音)
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コメント

コメント一覧 (3件)

  • いつも参考にさせてもらっています。
    くわしく書かれているので、とても参考になります。
    ありがとうございます。
    質問なのですが、37の脳出血の画像ですが、構音障害がでるのはわかるのですが、右の麻痺もでてきそうに思うのですが、どうでしょうか?
    検討違いな質問でしたら、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

    • ご質問ありがとうございます。
      92様のご質問の通り、左の橋梗塞のため右半身に麻痺などの症状が現れる可能性があります。
      そのため選択肢1と2も正解と考えたいところですが、上肢や下肢と限定することは難しく、提示された選択肢の中では5が最も妥当かと考えました。
      検討違いなんかではないと思いますよ。
      今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

      • 早速の返信ありがとうございます。
        「最も」だから、答えは一つですね。
        問題文にしっかりとひっかけられました。
        今後も参考にさせてもらいます。
        こちらこそよろしくおねがします。

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