出題は大きく分けるとMRSの特徴についてもしくはMRSの読影についてとなります。
全て取り上げると多くなってしまうため今回はMRSの特徴についての記事とします。
過去問からの出題
第9回-7
第9回-7
7)MRS ピークについての正しい説明を選択してください。(正解 2 つ)
1.幅は横緩和時間に反比例する。
2.高さはプロトン密度に比例する。
3.右側のピークが共鳴周波数は高い。
4.幅はシミング精度が良くなると広くなる。
5.静磁場強度とケミカルシフト(ppm)は比例する。
1.○半値幅FWHMはT2に反比例します。
2.○ピークの高さはプロトンの数によるため密度に比例します。
3.×左に行くほど高くなります。
4.×シミング精度が良くなると幅は狭くなります。
5.×比例しません。Hz表記では比例関係となり例えば水と脂肪のケミカルシフトでは1Tで150Hz、1.5Tで225Hz、3Tで450Hzとなります。ケミカルシフトの計算問題で使うため覚えておくと楽です。
(3.5ppm×共鳴周波数)
第10回-11
第10回-11
11)臨床での1H-MRS について正しい文章を選択してください。(正解 3 つ)
1.信号強度は STEAM 法より PRESS 法の方が小さい。
2.領域選択の精度は,PRESS 法に比べ STEAM 法が優れる。
3.水や脂肪の信号を抑制することで代謝物のピークが得られる。
4.STEAM 法は PRESS 法に比べ短い TE での信号取得が可能である。
5.PRESS 法は、1つの 90°パルスと2つの 180°パルスを用いて stimulated echo を発生させる。
1.× STEAM法の信号強度はPRESS法の半分です。
2.○領域選択はSTEAMが優れます。
3.○抑制のためにCHESSパルスを使用します。
4.○TE=13程度まで短かくすることが可能で短いT2の代謝物測定に使用。
5.× PRESS 法 90°-180°-180° spin echoを発生、STEAM 法 90°-90°-90° stimulated echoを発生
第10回-33
第10回-33
第9回-7と同問
第12回-3
第12回-3
3)MRS ピークについて正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ)
1. プロトン密度が高いほど、高くなる。
2. 横緩和時間が短いほど、幅は広くなる。
3. シミング精度が高まると、幅は広くなる。
4. 静磁場強度が高いほど、分離精度は悪くなる。
5. ケミカルシフト(ppm)の値が低いほど、スペクトルの左側に出現する。
1.○ピークの高さはプロトンの数によるため密度に比例します。
2.○半値幅FWHMはT2に反比例します。
3.×シミングが悪いとピーク半値幅が大きくなり分解能が低下します。
4.×高磁場ほどSNRが高くピークの半値幅は狭くなります。
5.×スペクトルは左が高く、右が低いです。
第12回-18
第12回-18
18)1H-MRS の特徴について正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ)
- STEAM 法はスピンエコー信号を計測している。
- PRESS 法は STEAM 法に比べて信号雑音比が良い。
- PRESS 法は T2 値の短い代謝物質の計測に適している。
- 長い TE による計測でなければ評価が難しい代謝物として mIns、Glx、GABA 等 がある。
- Chemical shift imaging(CSI)法は各代謝物の代謝画像(metabolic image)を作成できる。
1.×ステュムレイテッドエコー信号を計測、PRESS 法がスピンエコー信号
2.○STEAM 法のSNはPRESS 法の半分
3.×TEを短く出来るSTEAM法が向いています。
4.×短いTEでなければ評価が難しい、NAA、Cr、Cho、lacは長いTEでも認められる
5.○MRSによる各代謝物の分布を二次元的にカラーマップ表示する
第15回-9
第15回-9
MR spectroscopy に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。
- 代謝物の量はピーク高を計測する。
- T2 値の短い代謝物はピーク幅が広くなる。
- 代謝物のピーク値(ppm)は静磁場強度に依存しない。
- NAA(N-acetyl aspartete)は神経細胞の数が減少すると上昇する。
- PRESS(point resolved spectroscopy)法は STEAM(stimulated echo acquisition mode)法より TE を短くできる。
1.×
2.○
3.○
4.×減少する
5.×STEAM法はTEを短くできるためshort T2の代謝物測定に向いている
まとめ
MRS
水と脂肪に隠れた代謝物のピークを検出する手法です。
そのため水と脂肪の信号を抑制させる必要があります。
MRSの見方
縦軸:信号強度、高さはプロトンの数を反映します。→プロトン密度に比例
半値幅FWHMは横緩和時間(T2)に反比例します。
シミングが悪いと半値幅が大きくなり分解能が低下します。
高磁場ほど半値幅は狭くなり分解能は向上します。
横軸:化学シフト、左へ行くほど共鳴周波数は高くなります。
単位はppmとHzで表され、Hz表記とした場合は磁場に依存してピークの値が異なってしまうため基本的にはppmで表記されることが多いです。
水と脂肪のケミカルシフト
ppm単位では3.5ppmで磁場によらず不変
Hz単位では1T:3.5ppm×42.6MHz×1T=約150Hz
1.5T:3.5ppm×42.6MHz×1.5T=約225Hz
3T:3.5ppm×42.6MHz×3T=約450Hz
領域選択方法
①PRESS法
90°-180°-180° spin echoを発生
SNRが高い、SARも高い
②STEAM法
90°-90°-90° stimulated echoを発生
short TEでの測定に有効
90°RFはプロファイルが良いため領域選択の精度が優れている
TE
短いTEでなければ測定できない→mIns、Glx、GABA
長いTEでも測定可能→NAA、Cr、Cho、lac
出題
第9回-7,第10回-11,第10回-33,第12回-3,第12回-18,第15回-9
参考書籍
MRI応用自在 P31
MR撮像技術学 P323
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