用語
Stejskal-Tanner 法:180°パルスを挟んでMPGを印加。渦電流の影響がある。
Twisted gradient pulse 法:2つの180°パルスを挟んで2対のMPGを使用。渦電流の影響が少ない。
解説
歪み
拡散強調画像(DWI)のシーケンスデザインのことです。
DWIは歪みやすいシーケンスであり、その画像歪みの原因は大きく以下の2つがあります。
EPI法由来による歪み
MPG印加で生じる渦電流による歪み
これら歪みはアーチファクトとなり画像へ悪影響を与えます。
この記事ではMPG印加による渦電流歪みについて扱います。
MPGと渦電流
①MPGを印加し磁場勾配が上がる時に渦電流が生じる。(ピンク矢印)
②渦電流は時間とともに指数関数的に減少する。
③磁場勾配を下げる時に反対方向に渦電流が生じ、②で残った渦電流と打ち消しあった結果、反対方向の渦電流(紫矢印)となる。
この渦電流はデータ読み出し時に残ったままだとアーチファクトの原因となってしまいます。
Stejskal-Tanner 法
DWIの基本的な構造をしており、180°パルスを挟んでMPGを印加することで双極傾斜磁場となっています。
この方法では発生した渦電流がデータ読み取り時に加算され、余分な外部磁場として作用するため画像上に歪みとして現れてしまいます。
Twisted gradient pulse 法
2つの180°パルスを挟んで2対のMPGが使用されています。
このことにより発生した渦電流は打ち消しあい、歪みの少ない画像が得られます。
しかしTEが延長します。
注意点
それぞれのシーケンスで撮像された画像は同じDWIでも見え方が違うため、経過観察など(脳梗塞の範囲や位置の経時的な観察)では統一した設定が望まれます。
問題
34)拡散強調画像法について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 見かけの拡散係数の単位は mm2/s
2. 低い b 値では強い MPG を印加する
3. 脳脊髄液の見かけの拡散係数は実質臓器より低い
4. Twisted gradient pulse 法では通常法より TE が延長する
5. Stejskal-Tanner 法では正負が異なる方向に MPG を印加する
1.○
2.×弱いMPG。
3.×
4.○MPG原因の歪み抑制法、渦電流を打ち消し合うようにMPGを印加
5.×スピンエコー の180°パルス前後に同じ大きさのMPGをかける
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