【MRI認定 5】k空間の充填まとめ、3問

何かと出題の多いk空間。

充填方法について図を用いて出題されたり、パラレルイメージングや高速撮像の問題の中で問われたりしています。

全て拾い上げていくと問題数が多くなってしまうため今回は充填方法についてのみ解説していきます。

目次

充填方法

k空間の特徴

k空間はエルミート対象といって上下左右の信号が関係し合っています。単純な線対象、点対象ではありませんが、偶関数の余弦波と奇関数の正弦波によりこの様な関係となっています。

そのため理論的には、第一象限(どこかの1/4)のデータさえあれば画像ができることとなります。

しかし、実際には磁場の不均一性や体動などが影響し性格なエルミート対象とはなっていません。結局半分とちょっとのデータが必要となってきます。

k空間の中心部は主にコントラストや大まかな画像の形状周辺部が画像の先鋭に関わっています。

またk空間と実画像の関係性ですが、
k空間が細かければFOVは大きくなります。(FOVを広げるとk空間は細かくなる)

k空間が大きければ実画像は細かくなります。(ピクセルサイズを小さくするとk空間は大きくなる)

要するにk空間の大きさや細かさは実際の画像のFOVとボクセルサイズに反比例しているということです。

基本

基本的な充填となります。

ここでphaseは位相エンコード方向、frequencyは周波数エンコード方向となります。

パラレルイメージング

基本の充填からすると位相エンコード方向の数が減り少しスカスカした印象ですね。

これは位相エンコードを間引いているからであり、パラレルイメージングのSENSEという技術です。

そして間引いた分撮像時間が短くなります

 

位相エンコード方向を間引くことによりk空間のΔkyは大きくなり、実空間での位相方向のFOVyは小さくなってしまいます。(周波数方向は変わらない)

FOVが小さくなるため折り返しが発生するのですが、各コイルの空間感度差を利用して最終的に折り返しのない画像を作り上げます。

EPI エコープラナーイメージング

矢印を見るとジグザグに移動していることがわかります。

周波数方向の磁場勾配を高速に連続反転して1度にk空間全ての信号を取得する超高速撮像です。そのため撮像時間が一番速いパルスシーケンスとなります。

このEPIはケミカルシフトが位相方向に発生したり、磁化率に弱い特徴を持っています。

応用としてDWIやfMRIなどに用いられています。

部分エコー法

周波数エンコード方向の半分とちょっとを実測し、残りは補正値で埋める方法です。

撮像時間=TR×Np×NSA であり、今回省略されたのはNf(周波数エンコード数)のため残念ながら撮像時間は短縮されません

しかしTEの短縮が可能となります。

SNRは1/√2=約70%ほどに低減します。

部分フーリエ法

位相エンコード方向の半分とちょっとを実測し、残りは補正値で埋める方法です。

上記部分エコー法とは異なり、位相エンコード数Npが半分近く省略されるため撮像時間は約半分となります。

SNRに関しては部分エコー法同様に1/√2=約70%ほどに低減します。

こちらは認定試験には出題されていません。

ラジアルスキャン

一定角度ごとに変化させ原点を通過するようにスキャンします。

k空間の中心は主に大まかな形状やコントラストを担い画像への影響が強く、その中心付近が高密度にスキャンされるため動きに強くなります

応用技術として圧縮センシングと組み合わせたGRASPという方法があります。



過去問からの出題

第5問-3

第5回-3
次のk空間のデータ充填方法を示した図において,正しい記述を選択してください。

日本磁気共鳴専門技術者認定機構 認定試験過去問

a.(1)は(2)よりも位相方向のFOVが大きい。
b.(1)は(4)よりも周波数方向のFOVが大きい。
c.(3)は(2)よりも撮像時間が短い。
d.(4)は(1)よりも撮像時間が短い。
e.(2)は(1)よりもSNRが高い。

解答
a.○(2)はΔkyが大きくFOVは小さくなる
b.×変わらない
c.○(3)は最速
d.×変わらない
e.×(2)はSNRが下がる
1,基本 2,パラレル 3,EPI 4,部分エコー

第10問-3

第10問-3
次のk空間のデータ充填方法を示した図において、正しい記述を選択してください。(正解2つ)

日本磁気共鳴専門技術者認定機構 認定試験過去問

1.(2)は(1)よりも SNR が高い。
2.(3)は(2)よりも撮像時間が短い。
3.(4)は(1)よりも撮像時間が短い。
4.(1)は(2)よりも位相方向の FOV が大きい。
5.(1)は(4)よりも周波数方向の FOV が大きい。

解答
1.× (2)はパラレルイメージングであり通常より1/(g√R)だけSNRが下がる
2.○ (3)はEPIであり最速
3.× (4)は部分エコー法であり撮像時間短縮とはならない、TEは短くできる
4.○ (2)は位相を間引きΔkが小さくなるためFOVが小さくなる
5.× 変わらない

第15問-11

第15問-11
k 空間の充填方法を以下に示す。正しい記述はどれか。2つ選べ。

日本磁気共鳴専門技術者認定機構 認定試験過去問

1. (a)は(e)よりも体動に強い。
2. (d)は(a)よりも撮像時間が短い。
3. (b)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい。
4. (c)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい。
5. (e)は(c)よりも圧縮センシング再構成に向いている。

解答
1.×eはラジアルスキャンで体動に強い
2.×dは部分エコー法、TEを短縮することが可能
3.×bはハーフフーリエ、撮像時間は短くなる
4.○cはパラレルイメージング
5.○GRASP(Golden-angle RAdial Sparse Parallel)など

まとめ

過去の出題は多くありませんが第15回で久々に出題されたことを考えると定期的に出題されるのかなという印象があります。

出題

第5回-3,第10問-3,第15問-11

参考書籍

MRI完全解説 P180

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