【MRI認定 20】高速スピンエコー、12問

高速スピンエコー。

シーケンスとしては一番使用されているものであり過去に勉強された方も多いかもしれませんね。

今回は特徴を主に取り上げました。

目次

過去問からの出題

第5回-12

第5回-12
MRCPの撮像技術について、正しい文章を解答して下さい。

a.エコースペースの短縮は蠕動運動によるアーチファクト抑制に効果がある。
b.消化管信号の抑制に経口造影剤を使用した際、T1 強調画像では motion artifact が顕著になる可能性がある。
c.白内障、前立腺肥大、不整脈の患者には、鎮痙剤(ブスコパン)の使用はできない。
d.pneumobilia の診断には、横断像の撮像が有用である。
e.MRCP 撮像において single shot 系の高速 SE シーケンスを用いた場合、ハーフフーリエ法を用いないほうが、用いた場合と比べ遅い血流が描出されてしまう。

a.○エコーとエコーの間隔のこと。FOV大、スライス大、BW大、周波数小などで縮めることが可能
b.○
c.×白内障は関係ない、緑内障は禁忌
d.○ニューモビリア(胆管内ガス)、胆管結石と誤認しやすくAxで撮影すると石は沈み空気は浮くことから区別できる
e.×ハーフフーリエを用いた方が描出される

第5回-29

第5回-29
非造影 MRA について、正しい文章を解答して下さい。

a. 3D-TOF において下流の飽和効果を減少させるため、上流から下流方向に線形にフリップ角が増加する傾斜フリップ角法を使用した。
b. PC 法において目的血管の推定流速が 100cm/sec なので、その値を VENC に入力した。
c. Black blood MRAのdouble IRの一つ目を選択的IRとした。
d. Black blood MRA で TI を 1200msec に設定した。(1.5T)
e. 心電図同期併用のsingle-shot FSE系で、動静脈(冠状断)を高信号に描出するために、データ収集を diastole(拡張期)に合わせた。

a.○
b.×最大流速×4/3
c.×一つ目は非選択的
d.×
e.○おそらくFBI法のことで拡張期は動脈の動きも少なく静脈と一緒に高信号に描出される、収縮期では心臓から血液が排出され動脈は動くので静脈だけが描出される

第6回-5

第6回-5
Gd-DTPA 造影剤を用いたダイナミック造影検査について、正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1. 下垂体は高速 SE(spin echo)法 T1 強調像を選択する。下垂体腺腫は、正常下垂体より早期濃染する。
2. 頭部灌流画像は EPI(echo planar imaging)法を選択する。造影剤による脳局所の信号上昇を捉えた曲線から、脳血流パラメータを算出する。
3. 乳房は脂肪抑制を併用した 3D gradient echo(GRE)法を選択する。撮像条件は、空間分解能と時間分解能を両立するために 1 時相 1 分程度に設定する。
4. 肝臓は in-phase の GRE 法を選択する。肝動脈塞栓術後のリピオドールは、障害陰影とならない。
5. 膵臓は脂肪抑制を併用した T1 強調像を選択する。典型的な膵臓癌は動脈相で膵実質より高信号に濃染する。

a.×正常下垂体の方が早い
b.×信号低下
c.○
d.○
e.×膵実質の方が染まる

第7回-25

第7回-25
次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1.膝関節の MRI 検査は前十字靱帯を評価する際に、膝をやや屈曲させ撮影する。
2.マジックアングルの影響を少なくするために、SE もしくは高速 SE 法の TE を最短に設定する。
3.前十字靱帯を評価する際は、SE 法もしくは高速 SE 法を用いた PD 強調画像が適している。
4.半月板を評価するT2*強調画像は設定できる最短のTEで撮影を行う。またFAは90度を用いる。
5.半月板を評価する際は、SE もしくは高速 SE 法を用いた T1 強調画像を撮影し、PD強調画像および GE 法を用いた T2*強調画像は適していない。

1.○
2.× TEが短いシーケンスでマジックアングル出現する
3.○
4.× TE十数秒、FA2〜30°程度
5.×T1よりPDやT2*が適する

第10回-20

第10回-20
SE 法と比べた高速 SE 法の記述について正しい記述を選択してください。(正解2つ)

1.磁化率効果を受けやすい。
2.ブラーリング効果で細かい構造がぼける。
3.T2 フィルタリングによって T2 の長い組織を強調する。
4.MT 効果や T2 フィルタリングによって脂肪が高信号になる。
5.TE 平均化と MT 効果により軟部組織のコントラストが高い。

1.×磁化率効果は減少する
2.○
3.○
4.×脂肪が高信号になるのはMT効果とJカップリングによる
5.×コントラストは低下する

第12回-9

第12回-9
スピンエコー法と比較した場合、高速スピンエコー法の特徴を選択して下さい。 (正解 3 つ)

  1. 脂肪が高信号になる。
  2. 磁化率効果を受けにくい。
  3. 軟部組織のコントラストが低下する。
  4. 撮像可能マルチスライス数が増加する。
  5. T2 フィルタリングにより T2 値の短い組織が強調される。

1.○
2.○
3.○
4.×減少する
5.×T2値の長い組織

第12回-12

第12回-12
TR 3000 ms、TE 80ms、ETL 64、NEX 1、Nx 256、Ny 192、Nz 32 に設定した 3 次元高速スピンエコー法の撮像時間を選択して下さい。(正解 1 つ)

  1. 288秒
  2. 384秒
  3. 576秒
  4. 768秒
  5. 2,304 秒

1.○(TR*Ny*Nz)/ETL、2D FSEでは(TR*Ny)/ETL
2.
3.
4.
5.

第12回-17

第12回-17
シングルショット高速スピンエコー法を用いた T2 強調像においてブラーリングを低減する方法を選択して下さい。(正解 2 つ)

  1. TE を長くする。
  2. 長方形 FOV を使用する。
  3. パラレルイメージングを使用する。
  4. オーバーサンプリング法を使用する。
  5. プリサチュレーションパルスを使用する。

1.×低減されない
2.○位相エンコード数を減らすことでk空間全行を埋める時間が短くなりT2減衰の影響をなるべく抑えられる
3.○
4.×低減されない
5.×低減されない

第13回-49

第13回-49
頸動脈の black blood imaging に関する正しい記述はどれか。(正解 2 つ)

1. 呼吸性アーチファクトを軽減するため脂肪抑制を付加して撮像した。
2. プラークの性状を得るために拡散強調画像(b 1000s/mm2)を撮像した。
3. 2 次元データ収集 FSE 法で撮像する場合は心電同期もしくは脈波同期が必須である。
4. 3 次元データ収集再集束フリップアングル法で撮像する場合は心電同期もしくは脈波同期が必須である。
5. 3 次元データ収集再集束フリップアングル法で撮像する場合は血管走行に対して垂直に撮像断面を設定する必要がある。

1.○
2.×性状評価にDWIは用いらない
3.○
4.×同期は必要ない
5.×必要ない、TOFでは垂直が好ましい

第14回-17

第14回-17
スピンエコー法に対する高速スピンエコー法の特徴に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。 

1. 脂肪の信号が高くなる。
2. T1 コントラストが向上する。
3. T2 コントラストが向上する。
4. T2 値の長い組織の信号が強調される。
5. メタルアーチファクトの影響が顕著になる。

1.○MT効果とJカプリングによる
2.×
3.×TEが平均化されてT2コントラストは低下
4.○T2フィルタリングによる
5.×磁化率効果は減少する

第15回-16

第15回-16
高速スピンエコー法にてTR 5000ms、ETL 15、Echo space 15ms、Matrix size 256×256のlinear収集で実効TE を 135msに設定したとき、撮像可能な最大スライス枚数はどれか。

1. 18
2. 20
3. 22 
4. 24 
5. 26

1.
2.
3.○5000/(15×15)=22.2
4.
5.

第15回-22

第15回-22
メタルアーチファクト改善に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. TE を延長する。
  2. 空間分解能を高くする。
  3. 高磁場装置で撮像する。
  4. 受信バンド幅を広くする。
  5. 高速スピンエコー法で撮像する。

1.×短縮する
2.○
3.×より生じやすい
4.○
5.○繰り返す180°パルスのため



まとめ

高速SEの前に、

そもそもスピンエコー法(SE法)とはどんな撮影か

90°パルスと180°パルスが組み合わせられたシーケンスであり、まず90°パルスを照射して縦磁化を倒し次に180°パルスで再収束させ信号を取得します。これによりk空間の1行が埋まります。

そしてまた90°パルスを照射し180°パルスを照射し、、、これを位相エンコードステップ数分行って画像の完成となります。
90°パルスから次の90°パルスまでの時間を繰り返し時間(TR)と呼びます。

撮像時間は、TR×位相エンコードステップ数×加算回数となります。

では高速SE法(FSE法)とは、
90°-180°パルスの後にさらに180°パルスを照射していき、次々と信号を取得する方法です。

90°パルスで縦磁化を倒すと磁化は次第にバラけていきます、それを180°パルスで反転させて再収束させ信号を取得します(SE法)がさらにバラけていきます。それをさらに180°パルスを照射して反転させて再収束させ信号を取得し、、、というのを続けていくこととなります(FSE法)。

今まで90°パルス1個につき1つの信号しか得られず位相エンコードステップ1行しか埋められませんでしたが、
FSE法では90°パルス1個につき180°パルス数だけ信号が得られそれだけ位相エンコードステップも埋められます。

この”180°パルスの数=信号数”がエコートレインレングス(ETL)といい、この数だけ撮像時間は短くなります。

FSEの撮像時間は、(TR×位相エンコードステップ数×加算回数)÷ETL となります。

 

では、早いならSE法じゃなくて全部FSE法でいいじゃんってなりますがFSE法には撮像時間が早いだけあり弊害もあります。

TE平均化

ここで、エコー時間(TE)についてですが90°パルス〜信号までの時間であり、

SE法ではどの信号も同じTEに対しFSE法では信号ごとにTEが変わってしまいます。

この場合、同じk空間にコントラストの違う信号が同居することとなってしまいます。

k空間の中心付近は画像コントラストに大きく影響を与えるため、k空間中心を埋めるTEを実行TEと呼びます。

上図FSE法ではTE5、TE1あたりが中心行を埋めておりますがあまりにも広い範囲の異なったTEを平均化するとコントラストの低い画像となってしまいます。

そこで5つのスラブに分けて各TEを振り分けていきます。(ETL=5として)

埋める順番としては上左図の通り、3行飛ばしで埋めて全部で4回の90°パルスでk空間全てが埋まる事になります。これだと中心付近はTE3で埋められており実行TEに近いコントラストが得られます。

これをマルチショットFSEといい、今回の場合は4ショットという事になります。

※実際にはk空間の埋め方も端から順にだったり中心から外側へ順にだったり、また位相エンコードステップ数ももっと多いですが今回は説明のために簡略化しております。

話がズレましたがFSE法の弊害(デメリット)としてTEが平均化することによりコントラストが低下します(特に軟部組織)。これはマルチショットで中心付近を同じTEで固めたとしても全TEは同じではないためコントラストは低下します。

T2フィルタリング

マルチショットのお話をしましたが、極端なことを言えばETLを位相エンコードステップ数と同じにすると一度の90°パルスで全行埋める事が可能です。(シングルショットと言いますが今回説明は割愛します。)

しかしそれだけETLが多いとSE信号はT2減衰しているため最後の方の信号はだんだんと微弱になりT2の長い組織の信号しか残っておりません。要するにT2の長い組織の信号が強調されることになりT2でフィルタリングしていることとなります。

これはもちろんマルチショットでも生じます。

あえてこのデメリットを生かし、液体成分(水)を強調させるシーケンスにHeavily T2WIがあります。

ブラーリング(ボケ)

上記でも書きましたが、後半の信号はT2減衰により低下していきます。

これら信号はk空間の中心には置けず端に配置することとなります。

k空間中心は大まかなコントラスト、k空間端は細かい仕上げを担っているため仕上げ部分の信号が低いということはボケの原因となります。

また最初のエコーと最後のエコーでは信号強度に大きな差があり同じk空間内に信号強度の異なる信号が同居しているため画像化した際にボケとなります。

ボケの度合いは組織のT2値によって違い、T2値の短い組織は後半で信号が下がり最初と最後の信号差が大きいためボケが目立ちやすくなります。
水のようなT2値の長い組織は後半でも信号があまり変わらず差が小さいためボケは目立ちにくくなります。

磁化率効果の減少

SE法は180°パルスを用いて位相分散を再収束させるためGREやEPIなどよりも比較的磁化率の影響を受けないシーケンスです。

FSE法では磁場不均一の位相分散が生じるより短時間に180°パルスを繰り返し、そして常に位相分散を再収束するためさらに磁化率に強くなります。

MT効果

MT効果とは高分子を含む軟部組織の信号を低下させる効果です。

例えば脳実質、筋肉、実質臓器、腫瘍などです。

この脳実質の信号低下を利用しMRAや造影検査などに利用されています。

MT効果を得る方法としてRF(MTパルス)を連続照射するのですが、FSEの連続180°パルスが同様の効果をもたらすため同じく脳実質や肝臓などの組織で信号の低下を生じコントラストも低下します。

逆に自由水(CSFや胆汁など)と脂肪ではMT効果が働かず相対的に信号強度は高くなります。

Jカップリング

脂肪にはメチル基やメチレン基などいくつかの基を構成する1Hがあります。

それらが磁気的影響を与え合い、共鳴スペクトルをとるとそれぞれのピークが分裂し周波数ズレを起こしているのがわかるのですがこのズレをJカップリング定数と言います。

脂肪でのJカップリングによる周波数のズレは5〜20Hzと言われております。

例えば10Hzの共鳴周波数の差があるとして位相差を考えてみます。

10Hz → 1秒間に10回、0.1秒間に1回
0.1秒=100ms毎に位相が合う(同位相)
その中間の50ms毎に逆位相となる

逆位相の時には脂肪の信号が低下します。

ここで、脂肪でのJカップリングによる周波数ズレが5〜20Hzにあるので
5Hz → 100ms毎に逆位相となる
20Hz → 25ms毎に逆位相となる

要するに25〜100msにTEを設定すると脂肪の信号が逆位相となり低下することとなります。

FSEでは実行TEは100ms程度になってしまうものの、繰り返す180°パルスの間隔は20ms程度とJカップリング定数よりも短いためカップリングが成立せずに脂肪の信号が低下しないままとなります。

 

FSEの特徴まとめ

長くなったためFSEの特徴をまとめると、、

①異なったTEで信号を取得するのでTEが平均化する。→コントラスト低下

②後半の信号ではT2減衰によりT2値の長い組織の信号が残りやすくT2フィルタリングとなる。

③最初と最後の信号には差があり画像化した時にブラーリング(ボケ)となる。

④短時間で連続する180°パルスにより位相分散が生じにくく磁化率効果の影響が小さい

⑤連続照射する180°パルスはMTパルスと同様の効果を与えMT効果が生じる。→脂肪や水が高信号、軟部組織は信号とコントラスト低下

⑥短時間で繰り返す180°パルスによりJカップリングが生じない。→脂肪高信号

 

*てーへん間違えた、時間が無い、手にフィットするブラはJカップじゃなかった。*
(TE平均化、MT効果、磁化率小、T2フィルタリング 、ブラーリング、Jカップリング生じない)

ここは読み飛ばしても大丈夫です。

出題

第5回-12,第5回-29,第6回-5,第7回-25,第10回-20,第12回-9,第12回-12,第12回-17,第13回-49,第14回-17,第15回-16,第15回-22

参考書籍

MRI完全解説
MRIパワーテキスト

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