【第7回】MRI専門技術者認定試験 過去問

2012年出題、問題数40問

目次

第1部

1)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解3つ) 

1. 緩和現象は BPP 理論が基礎となっている。
2. T1 値は静磁場強度に比例して延長する。
3. T2 値は分子の運動周波数が大きいほど短くなる。
4. T2 緩和の原因は双極子-双極子相互作用による局所磁場揺動である。
5. 分子の運動周波数が共鳴周波数に最も近い場合に最短の T1 値になる。

解答
1.○
2.×延長するが比例はしない。
3.×運動周波数が大きいほど長くなる。
4.○
5.○
緩和のメカニズム

2)脂肪抑制法または脂肪検出法に関する説明について正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1.Dixon 法は位相差法とも言われ、水画像と脂肪画像を作成することができる。
2.造影剤投与後に撮影した脂肪抑制 T1 強調像が脂肪抑制不良であったため、STIR 法で代用した。
3.GRE 法による in phase 画像と opposed phase 画像を差分処理すると、水と脂肪の存在比率を算出できる。
4.副腎腺腫が疑われたので腫瘍内の脂肪組織を検出するために gradient echo 法による in phase / opposed phase の dual echo T1 強調像を撮影した。
5.各種脂肪抑制法のうち、pre-saturation pulse を利用する代表的な方法には CHESS法や binominal pulse 法がある。

解答
1.○
2.×STIRはIR法であり、脂肪であるかは関係なく脂肪のT1値と近いものを抑制します。造影により組織のT1値は変化するため造影前は脂肪のT1値から離れていたとしても造影後に脂肪と同じT1値となった場合STIRにより低信号となり脂肪との誤認となるため造影後には基本的にSTIRは使用しない。
3.×差分と加算
4.○opposed phaseで信号低下したら副腎腺腫。
5.×binominal pulse(2項パルス)はサチュレーションパルスではない。
解説(GRE)

3)Multi transmit 技術に関連する記述について正しい文章を選択して下さい。 (正解2つ)

1.3テスラ装置に用いられる RF の空気中での波長は約 27cm である
2.臨床におけるmulti transmit技術の採用による利点は画像均一性の向上や比吸収率(SAR)低減などである。
3.Multi transmit 技術は spin echo 法や fast spin echo 法などで有用な方法であり、gradient echo 法には必要ない。
4.B1 不均一の原因のうち standing wave effect(定常波効果)とは RF の入射波と反射波による合成波が体内で不均一な分布となる現象のことである。
5.B1 mapping とは送信された RF の撮影領域内における空間分布を測定し、送信 RFが最適な周波数となるように調整を行うことである。

解答
1.×空気中3T:2.3m、1.5T:4.7m 人体3T:27cm、1.5T:56cm RF波長
2.○
3.×gradient echo法でも有用。
4.○
5.×送信 RFが最適な位相となるように調整を行う。

4)次の記述について正しい文章を選択して下さい.(正解 2 つ) 

1.T1 は縦磁化が 36.8%まで回復する時間である。
2.T1 は磁場強度が高くなるほど短くなる。
3.T2 は横磁化が 63.2%まで減衰する時間である。
4.磁場の不均一は T2(T2*)を短縮させる。
5.MRI造影剤はT1 およびT2を変化させる。

解答
1.×63.2%まで回復する時間。
2.×基本的には延長する。
3.×36.8%まで減衰する時間。
4.○
5.○解説

5)還流 MRI の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)

 1.還流(perfusion)とは「毛細血管レベルの血流動態」を指す。
2.造影剤を使用して EPI 法で撮影する一般的な方法では、高濃度の造影剤の通過による T1 短縮効果による信号上昇を継時的に観察する。
3.脳血流量(rCBF)は脳血液量(rCBV)と平均通過時間(MTT)より次式で求めることができる。rCBF = rCBV / MTT
4.ASL(arterial spin labeling)法とは造影剤を使用しない還流 MRI の総称で、FAIR法や CASL 法などの手法がある。
5.ASL 法で血管内のスピンを反転(ラベル)してから撮影までの delay 時間(TI)は 1.5 テスラでは 1.5 秒程度、3 テスラでは 3 秒程度が標準的である。

解答
1.○
2.×T2*短縮効果
3.○
4.○
5.×磁場強度によらず適宜決める。1.5秒程度がよく用いられるが、バイパス術後や狭窄がある場合3秒ほどまで延長することもある。

6)3 テスラ装置の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ)

 1.比吸収率(SAR)は 1.5 テスラの約 2 倍になる。
2.磁化率効果は 1.5 テスラより約 2 倍大きくなる。
3.化学シフト(ppm)は 1.5 テスラの 2 倍になる。
4.強磁性体に加わる回転力(トルク)は 1.5 テスラの約 4 倍になる。
5.第 2 の化学シフトアーチファクトの強さは 1.5 テスラより強く現れる。

解答
1.× 2乗なので4倍 

SAR∝(σD(B0θR)2)/ρ
σ:電気電導度、D:デューティーサイクル、θ:フリップアングル、R:半径、ρ:密度
水分含有量の多い組織はσ電気伝導率が高くなる
2.○
3.×ppm表示では不変で3.5ppm
4.○
5.×変わらない。
解説(化学シフト)

7)次の記述について適切な撮像法を選択して下さい。(正解3つ)

 1.急性膵炎と慢性膵炎との鑑別に拡散強調画像を撮像した。
2.子宮内膜性嚢胞と類皮嚢腫との鑑別に STIR 法で撮像した。
3.クモ膜嚢胞と類表皮嚢胞との鑑別に拡散強調像を撮像した。
4.子宮体癌の進達度を見るため、Gd 造影剤による dynamic MRI を行った。
5.副腎腺腫瘍と転移性悪性腫瘍の鑑別に in phase と opposed phase の T1 強調像を撮像した。

解答
1.×どちらもhigh。
2.×脂肪抑制を撮影するのは正解だが、STIRはT1値によって信号低下させて脂肪特異性がないため。
3.○類表皮嚢胞でhigh。
4.○
5.○opposed phaseで信号低下すれば脂肪含有により副腎腺腫瘍。
解説(DWI所見)

8)基本条件:TR(繰り返し時間)= 4000ms 、TE(エコー収集時間)=100ms、加算回数=2回、マトリクス= 256×256、スライス数=10 枚、スライス厚=10mm、FOV = 300mm、バンド幅=130Hz / pixel、撮像シーケンスは spin echo 法を使用する。この条件で撮像した時の SNR について、次の記述で正しい文章を選択して下さい。(正解3つ)

1.スライス厚を 20mm に変更したときの SNR は 2 倍になる。
2.バンド幅を 65Hz / pixel に変更したときの SNR は 1/2 になる。
3.バンド幅を 260Hz / pixel に変更したときの SNR は 2 倍になる。
4.FOV を 150mm に変更したときの SNR は基本条件の 1/4 の SNR になる。
5.FOV を 150mm に変更したとき、スライス厚を 40mm すると同じ SNR になる。

解答
1.○
2.×√2倍
3.×1/√2
4.○
5.○


解説

9)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)

1.ガドリニウム金属は常磁性体である。
2.反磁性体の磁化率は温度と無関係である。
3.常磁性体の磁化率は 10-6~10-2 程度である。
4.強磁性体には残留磁化や磁化履歴現象がある。
5.反磁性体は磁場にさらされた時に磁場と反対方向に非常に強く磁化される。

解答
1.×強磁性体であるが常温では常磁性を示す。
2.○
3.○
4.○
5.×磁場と反対方向に弱く磁化される。

10)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ)

1.スティミュレイテッドエコーは T2*減衰を示す。
2.自由誘導減衰信号(FID 信号)は RF パルス印加後、反転傾斜磁場を印加することで発生する。
3.CPMG 法を用いたスピンエコー法は、一度に多数の TE の異なったスピンエコー信号が得られる。
4.CPMG 法を用いたスピンエコー法は、180 度パルスが不正確でも奇数番エコーは正確な T2 減衰を示す。
5.MR 画像は複素データを絶対値演算した画像になるため、絶対値演算後の雑音は平均値 0 以上のレイリー分布を示す。

解答
1.× T2減衰
2.×反転傾斜磁場はいらない。
3.○
4.×偶数番
5.○

11)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)

1. 神経鞘腫は造影効果が低い。
2. 下垂体微小腺腫は早期造影 T1 強調像で、正常下垂体よりも造影効果は低い。
3. Creutzfeldt-Jakob 病(クロイツフェルト・ヤコブ病)では、拡散強調像で大脳皮質が高信号な場合がある。
4. 膠芽腫は造影 T1 強調像で dural tail sign が特徴的である。
5. 髄膜炎の造影 T1 強調像では脳表髄膜に造影効果が認められる。

解答
1.×高い
2.○
3.○
4.×腫瘍周辺が染まる。dural tail signで有名なものは髄膜腫。
5.○
解説(サイン)解説(DWI所見)

12)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)

1.比吸収率(SAR)は磁場強度に比例する。
2.磁化率効果は磁場強度に比例する。
3.J-カップリングは磁場強度に比例する。
4.化学シフト(Hz 単位)は B0 に比例する。
5.渦電流は電気電導率が高いほど大きい。

解答
1.× 磁場強度の2乗
2.○
3.×不変
4.○Hzでは比例、ppmでは不変。
5.○
解説(化学シフト)

13)拡散強調像について正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)

1.拡散係数は温度が高いほど大きい。
2.拡散係数は粘度が高いほど大きい。
3.拡散係数が大きいほど、拡散速度が速い。
4.b 値を大きくすると、拡散よりも毛細血管流の影響が強くなる。
5.同時に 3 方向に motion probing gradient を付加することによって、拡散の異方性をなくすことができる。

解答
1.○ 拡散係数D = kt / 6πηr(t = 温度、η = 粘度、r = 分子の半径)
2.×
3.○
4.×b値大きいほど拡散の影響が大きく灌流の影響は小さくなる。
5.○
解説(DWI)

14)1.5 テスラ MR 装置において、周波数エンコード傾斜磁場が 5mT/m のとき、最小 FOV が 30cm であった。この周波数エンコード傾斜磁場強度を 2 倍にしたときに得られる最小 FOV について選択して下さい。(正解 1 つ)

1.5 cm 
2.10 cm 
3.15 cm 
4.45 cm 
5.60 cm

解答
1.×
2.×
3.○FOV=BW/γより 30cm=BW/5・・・BWは150 FOV=150/(5×2)=15cm
4.×
5.×

15)3 テスラ MR 装置の開口部に アルミ板を置いたときにゆっくり倒れていく現象が見られた。この原因として最も関係の深い法則を選択して下さい。(正解 2 つ)

1.クーロン力
2.ローレンツ力
3.ファラデーの法則
4.フレミングの左手の法則
5.フレミングの右手の法則

解答
1.×電荷を帯びた2つの物体に働く力は電荷量の積に比例、距離の2乗に反比例。
2.×磁場中を運動する荷電粒子に作用する力。
3.○磁束が変化する時、誘導起電力はその変化率に比例し向きは変化を妨げる方向。
4.×磁場中の導体に電流を流すと力が発生。
5.○磁場中を導体が動くと起電力が発生。

16)関節の MRI について、正しい文章を選択して下さい。(正解1つ) 

1.肘部管症候群は、ガングリオンなどによる正中神経の圧迫が原因で起こり、T2 強調像の横断面で観察しやすい。
2.肩関節の棘上筋腱は肩の腱板で最も断裂しやすく、外転外旋位の脂肪抑制 T2 強調像の斜冠状断面が観察しやすい。
3.膝の十字靱帯断裂は、前十字靱帯より後十字靱帯で生じやすく、T2 強調像の矢状断面で観察しやすい。
4.足関節におけるマジックアングル現象は、靱帯や腱に対する高信号領域の出現があり、T2*強調像の矢状断面で問題となりやすい。
5.手関節のTFCC(triangular fibrocartilage complex)損傷は、手根骨と尺骨を支持している靱帯や腱鞘の損傷のことで、T1 強調像の冠状断面で高信号域として観察できる。

解答
a.×尺骨神経の圧迫。
b.×外転させずに、中間位〜外旋位。腱板断裂
c.×前十字靭帯の方が断裂しやすい。
d.○マジックアングル
e.×T2*冠状断面。TFCC損傷
解説(デルマトーム)

17)膀胱腫瘍の T2強調像と拡散強調像から正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ) <写真あり>

1. 膀胱筋層の信号線が保たれているので表在性膀胱癌である。
2. 膀胱筋層の信号線が保たれていないので浸潤性膀胱癌である。
3. 病気分類で T1 であり、経尿道的膀胱腫瘍切除術の適応がある。
4. 病気分類で T2 であり、経尿道的膀胱腫瘍切除術の適応がある。
5. 病気分類で T3 であり、膀胱全摘除術の適応がある。

解答
画像がないため解答不可能
解説(DWI所見)

18) 撮像する際に SAR を低減させる正しい方法を選択して下さい。(正解 3 つ) 

1.TR を長くする。
2.FA を大きくする。
3.スライス数を少なくする。
4.エコー時間を短くする。
5.パラレルイメージングを利用する。

解答
1.○
2.× SAR∝(σD(B0θR)2)/ρ  θ=FA
3.○
4.×
5.○

19) 受信バンド幅について正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ) 

1.受信バンド幅とサンプリン時間は比例する。
2.受信バンド幅が大きくなると、化学シフトが小さくなる。
3.受信バンド幅が大きくなると、リンギングアーチファクトが大きくなる。
4.受信バンド幅が大きくなると、SNR は上昇する。
5.受信バンド幅が大きくなると、磁化率アーチファクトが小さくなる。

解答
1.×反比例
2.○
3.○トランケーションアーチファクト
4.× 1/√BW で低下する
5.○
解説(化学シフト)

20)下図は 27 歳の男性である。最も疑われる疾患を 1 つ選んでください。

1.多形膠芽腫
2.多発性硬化症
3.転移性脳腫瘍
4.脳膿瘍
5.結節性硬化症

解答
画像がないため解答不可能

第2部

21)化学シフトアーチファクトについて、正しい文章を選択してください(正解2つ)

1. TE を延長すると、化学シフトが発生しやすい。
2.スライス選択方向には、化学シフトは発生しない。
3.受信バンド幅を小さくすると、化学シフトは目立たなくなる。
4.スピンエコー法では、位相エンコード方向には化学シフトは発生しない。
5. 32KHz の受信バンド幅で 256 ピクセルの場合、3.0T の化学シフトは 3.6 ピクセル である。

解答
1.×
2.×発生する。
3.×BW狭い方が目立つ。
4.○
5.○1pixelあたりのBWを算出し、化学シフトがどれだけずれるかを計算する。
1pixelあたりのBW=32000/256=125Hz
3Tの化学シフトは、42.6MHz/T × 3T × 3.5ppm = 447Hz
447/125=3.576pixel
解説(化学シフト)

22)JIS Z 4951 で規定されている SAR(比吸収率)について、正しい文章を選択してください(正解2つ)

1. 第二次水準管理モードについては、SAR 上限値はない。
2. SAR 上限値は、検査室の周囲温度が 24°Cよりも低ければさらに高い値が許容される。
3. 頭部 SAR 上限値は、通常操作モードの値よりも第一次水準管理モードの値のほうが大きい。
4. 局所 SAR とは、一定時間及び患者の任意の身体組織 10g にわたって平均化した SARのことである。
5. SAR 決定方法にはパルスエネルギー法と熱量測定法があるが、パルスエネルギー法は、温度センサーを使用して人体等価な試験物の RF 照射による温度上昇値を計測し、SAR 値を算出する方法である。

解答
1.○
2.×変わらない。25℃以上では1℃上昇するごとにSARは0.25W/kg下げる。
3.×通常も第一次も上限値は3.2W/kg
4.○
5.×温度センサーシステムは熱量測定法。
解説(モード)

23)次の安全性に関わる文章で、正しい文章を選択してください(正解2つ)

1.吸引力は磁場(コイル)中心部が最も強い。
2. SAR はフリップ角に正比例して大きくなる。
3.局所(四肢などの末梢)の SAR ほど高く許容されている。
4.傾斜磁場変動(dB/dt)は中心部より辺縁部の方が大きい。
5.1.5T から 3.0T になるとマグネットの中心付近の吸引力は√2 倍になる。

解答
1.×ガントリーの開口部で最も強い。
2.× 2乗
3.○
4.○
5.×変位力(吸引力)はB0に比例、トルク(回転力)はB0の2乗。

24)Standing wave effects に関して正しい文章を選択してください(正解1つ)

1.1.5 テスラ以下の比較的低磁場装置において問題となる。
2.B0 磁場の影響によって、信号が不均一となる。
3.磁化率の影響が起因となる。
4.大きな対象物において、問題となる。
5.パラレルイメージングの併用によって、除去可能である。

解答
1.×高磁場で問題となる。
2.× B1の影響
3.× Standing wave effects(定常波効果)、dielectric effect(誘電効果)。誘電率の差によってRF空間分布が不均一になる現象。
4.○
5.×パラレルイメージングは関係ない。パラレル送信、フェーズドアレイコイルの使用、誘電パッドの使用が有効。

25)次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1.膝関節の MRI 検査は前十字靱帯を評価する際に、膝をやや屈曲させ撮影する。
2.マジックアングルの影響を少なくするために、SE もしくは高速 SE 法の TE を最短に設定する。
3.前十字靱帯を評価する際は、SE 法もしくは高速 SE 法を用いた PD 強調画像が適している。
4.半月板を評価するT2*強調画像は設定できる最短のTEで撮影を行う。またFAは90度を用いる。
5.半月板を評価する際は、SE もしくは高速 SE 法を用いた T1 強調画像を撮影し、PD強調画像および GE 法を用いた T2*強調画像は適していない。

解答
1.○軽度屈曲させることでACL前縁と大腿骨顆間窩上縁が離れるので観察しやすくなる。なお屈曲させすぎるとACLが緩み鮮明に描出できなくなる。
2.× TEが短いシーケンスでマジックアングル出現する。マジックアングル
3.○
4.× TE十数秒、FA2〜30°程度。
5.×T1よりPDやT2*が適する。
解説(FSE)

26)パラレルイメージングファクターを 1 から 2 にして、FOV を 2 倍にした場合の SNR を選択してください。(ただし、ジオメトリーファクターは無視する)

1. 1
2. 2
3. 1.48
4. 2.86
5. 3.56

解答
1.×
2.×
3.×
4.○ (2×2)/√2
5.×


R:リダクションファクター(パラレルーメージングファクター) g:ジオメトリーファクター

27)スライス厚測定について、正しい文章を選択してください(正解2つ)

1.ウエッジ法で、2対のウエッジを使用するのは、画像歪みを補正するためである。
2.スライス厚の測定は、2対のウエッジか傾斜板を使用するのが、一般的である。
3.スライス厚に影響を与える因子として、傾斜磁場の不均一、RF パルスの不均一、静磁場の不均一などがあげられる。
4.基本的にウエッジの角度を α とした場合、スライス厚はスライスプロファイルの微分の半値幅 x sin(α)で求められる。
5.ウエッジの撮像は、大きな FOV と少ないマトリクス数で、高い SNR の画像を得る事が重要である。

解答
1.×回転補正
2.○
3.○
4.× 半値幅×tan(α)
5.×大きなFOV少ないマトリクス数では分解能が低下してしまうのでよろしくない。SNRは加算回数の増加などで補う。
解説(スライス測定)

28)通常みられる血管の分岐について、正しい文章を選択してください(正解2つ)

1. 眼動脈は内頸動脈から分岐する。
2. 外頸動脈は椎骨動脈から分岐する。
3. 右総頸動脈は胸部大動脈より分岐する。
4. 左椎骨動脈は左鎖骨下動脈から分岐する。
5. 後下小脳動脈(PICA)は脳底動脈から分岐する。

解答
1.○
2.×総頸動脈
3.×腕頭動脈
4.○
5.×椎骨動脈
解説(脳動脈),解説(腹部動脈)

29)Truncation artifact について正しい文章を選択してください(正解2つ)

1.EPI では発生しない。
2.位相エンコード方向にも周波数エンコード方向にも出現する。
3.FOV 外にある被写体の部分信号が、FOV 内に移籍されるアーチファクト。
4.フーリエ変換 MRI において、時間的な制限のため無限に高い周波数成分で近似できないため発生する。
5.Nyquist 理論によれば周波数の1周期あたり1回以上のサンプルを収集するとその波の周波数を正しく認識できる。

解答
1.×発生する。
2.○
3.×折り返しアーチファクト。
4.○
5.× 1周期あたり2回以上のサンプリングが必要。

30) 1T 装置で傾斜磁場強度 0.5gauss/cm、FOV20cm、受信バンド幅 42.57kHz の時、傾斜磁場強度を変えずに FOV を 10cm にするための受信バンド幅を次のうちから選択してください。

1. 6.52KHz
2. 21.28KHz
3. 42.57KHz
4. 59.6KHz
5. 87.12KHz

解答
1.×
2.○FOV=BW/γより 傾斜磁場強度が変わらないのであればBWも半分となり42.57kHz/2=21.28KHz
3.×
4.×
5.×

31)筋と存在部位の関連で正しいものを選択してください(正解2つ)

1.梨状筋-頚部
2.円回内筋-前腕
3.ヒラメ筋-腰部
4.棘下筋-肩関節
5.ハムストリング-足関節

解答
1.×仙骨-大腿骨
2.○上腕骨-尺骨
3.×腓骨-踵骨
4.○肩甲骨-上腕骨
5.×(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)大腿骨や脛骨などに付着する

32)次の安全性に関わる文章で、正しい文章を選択してください(正解2つ)

1. MR 検査室の出入口は2箇所設けた方が安全性がよい。
2. ケーブルがループを形成してなければやけどの危険性はない。
3. クエンチの時、検査室に入る前に必ず酸素濃度計を確認する。
4. 検査中の身体の露出が少ないとやけどの危険性が高まると考えられている。
5. 医療器具の MR 装置対応について私たちが最も遵守するのは添付文書である。

解答
1.×避難経路は増えるが強磁性体持ち込みの危険性が高まる?
2.×患者の皮膚がケーブルに接触していると火傷の危険性がある。
3.○
4.×露出は少ない方がやけどの危険性は下がる。
5.○

33) SSFP(steady state free precession)でのブラックバンドアーチファクトについて正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)

1. 縞の間隔は TR に反比例する。
2.スライス厚を薄くすると軽減できる。
3.対処法の1つに Phase Cycle 法がある。
4. このアーチファクトは、磁場の不均一に起因する。
5.off-resonance での磁化の信号強度の上昇が、ブラックバンドを発生する。

解答
1.○
2.×関係ない。
3.○
4.○
5.×オフレゾナンスの位相差により信号を打ち消し合い発生。
解説(SSFP)

34)下の MRCP 像で正しい文章を選択してください(正解は2つ) <写真あり>

1.a は Santorini 管である。
2.b は Wirsung 管である。
3.c は腹側膵管である。
4.a は総胆管と胆嚢管が合流したものである。
5.a は Vater 乳頭部に開口する。

解答
画像がないため解答不可能

35)保守点検やその関連事項について正しい文章を選択してください(正解は2つ)

1.緊急減磁装置の動作確認のため定期的にマグネットをクエンチさせて点検する。
2. 検査室の RF シールド性能はシールド材料の性能で決まるので低下することはない。
3. RF 受信コイルのケーブル接続部や絶縁被覆の損傷は高周波やけどの原因になることがある。
4.超伝導マグネットの冷媒ヘリウムは、冷凍機で冷却されていれば蒸発しないので減ることはない。
5.ヘリウム排気管や排気口に詰まりや閉塞があるとクエンチ時に検査室内に気化したヘリウムが漏れることがある。

解答
1.×クエンチしない。
2.×穴や隙間ができるとシールド性能は低下する。
3.○
4.×少しずつ減る。
5.○
解説

36)超急性期の脳梗塞を検査するうえで、正しい文章を選択してください(正解は 3 つ)

1.虚血による細胞外液浮腫を捉えるために拡散強調画像を撮影する。
2.超急性期の脳梗塞を否定するために FLAIR 法を撮影する場合がある。
3.ADC map は通常は b 値 1000mm2/sec の画像のみで作成できる。
4.造影剤を用いた灌流画像を撮影して、拡散強調画像の病変範囲を比較することがある。
5.拡散強調画像で脳梗塞を認めることができなかった場合、超急性期の脳梗塞を完全に否定することができる。

解答
1.○
2.○
3.×2つのb値が必要。
4.○
5.×発症直後の超急性期ではDWIでも検出出来ない。
解説(DWI所見)

37) クエンチに関して、正しい文章を選択して下さい。(正解1つ)

1.ヘリウムガスが漏れ、大気中の酸素濃度が 25%以上になると呼吸困難となる。
2.ヘリウムガスは床付近にたまる。
3.ヘリウムガスは毒性があるため注意が必要である。
4.クエンチは液体ヘリウムに浸した磁石の線材が過度に熱せられることによって発生する。
5.精度管理のため、定期的にクエンチを行なうことが必要である。

解答
1.× 18%未満
2.×軽いので天井にたまる
3.無毒、しかし酸素濃度が下がるので注意。
4.○
5.×クエンチは不要。
解説

38) MR 装置に使用される冷媒(ヘリウム及び窒素)の特性について、正しいものを解答して下さい(正解 4 つ)

1.無臭
2.不燃性
3.非毒性
4.気化した場合、周囲に低温霧を生じる。窒素の霧は急速に床に降下する。
5.室温(20°C)では、1L の液体ヘリウムからは約 50L のヘリウムガスが発生し、1Lの液体窒素からは約 30Lの窒素ガスが発生する。

解答
1.○
2.○
3.○
4.○
5.×どちらも約700倍に気化膨張
解説

39) 女性骨盤領域の MRI について、正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1.卵巣腫瘤性病変内に巨視的脂肪成分が存在すれば、成熟奇形腫と診断できる。
2.出血性嚢胞と子宮内膜腫の鑑別には、脂肪抑制 T1 強調画像が有用である。
3.MRI は、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌や膣癌の病期診断に有用である。
4.卵巣捻転の MRI 所見としては、卵巣の腫大、付属器腫瘤への子宮の偏位、腹水の存在、捻転し壊死した卵巣の造影濃染などがあげられる。
5.子宮筋腫と子宮腺筋症はともに子宮筋層に発生する病変で、ともに T2強調画像では低信号で、単純 MRI のみでは両者の鑑別は困難である。

解答
1.○
2.×内膜症性嚢胞と成熟嚢胞性奇形腫の鑑別に有用。
3.○
4.×早期では静脈のみうっ滞し動脈血は保たれるが、進行すると動脈からの血流も遮断され造影されなくなる。
5.×鑑別可能。子宮筋腫:T2WI低信号、境界明瞭。子宮腺筋症:T2WI低信号、境界不明瞭。

40)小脳橋角レベルでの T2 強調反転像である。A から C の部位と名称で正しいものを 選択してください(正解1つ)<写真あり>

1. A‐聴神経 B‐顔面神経 C‐外転神経
2. A‐顔面神経 B‐聴神経 C‐外転神経
3. A‐滑車神経 B‐聴神経 C‐外転神経
4. A‐聴神経 B‐顔面神経 C‐三叉神経
5. A‐顔面神経 B‐聴神経 C‐三叉神経

解答
画像がないため解答不可能
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