【MRI認定 22】グラジエントエコー、11問

グラジエントエコーの問題ですが昔はよく出題されているようですが最近ではあまり見かけない印象があります。昔の問題ほど基礎的な問題が多く、最近は新技術や臨床系の問題が多くなってきたように感じます。

話がズレますが第10回から出題数が40→50問となったように新しい事が増えるにつれ今後も出題数が増えてもおかしくありませんね。

目次

過去問からの出題

第5回-13

第5回-13
脂肪抑制法について、正しい文章を解答して下さい。

a.CHESS 法は脂肪の周波数領域に選択的に RF パルスを照射し、その直後にデータ収集を行う。
b.STIR 法における反転時間は脂肪の T1 値を用いるのが一般的である。
c.水選択励起法はプレパレーションパルスを用いる手法である。
d.高速 GRE 法に脂肪選択反転パルスを用いることにより CHESS 法に比べ撮像時間の高速化が可能である。
e.脂肪選択反転パルスに断熱パルスを使用することでより均一に脂肪の縦磁化を倒すことができる。

a.×位相を分散させてから
b.×T1×0.693
c.×励起90°パルスを二項パルスに置き換える
d.×CHESS法の方がシンプルで早いと思われる
e.○

第5回-14

第5回-14
GRE 法(FE 法)について、正しい文章を解答して下さい。

a.RF スポイリングによるスポイルド GRE 法はグラディエントスポイリングと比べ、TR を短くできるのが特徴である。
b.コヒーレント GRE 法において、リワインダーグラディエントが機能しないと FLASH Band が顕著に現れる。
c.エルンスト角(αE)はcosαE =exp(-T1/TR)で求められる。
d.バランスド SSFP では 1TR 内の傾斜磁場による位相分散が 0 になるので、RF の位相が多少不正確でも問題ない。
e.バランスド SSFP ではダミーパルスの印加方法、印加数により画像コントラストが変化する。

a.○
b.○リワインダーとはフラッシュバンドの対策のために位相方向にかけるグラディエントのこと
c.× cosαE =exp(-TR/T1)
d.× RFの位相は正確でなければならない
e.○

第5回-18

第5回-18
次のシーケンスチャートに関する説明で、正しい文章を解答して下さい。

a. スピンエコー(SE)法のシーケンスチャートである。
b. TE はチャート内の T の 2 倍の時間である。
c.チャート内から180°パルスのみを取り除くとグラディエントエコー(GRE)法になる。
d. 流速補正用勾配が付加されている。
e. チャート内の A と B の面積は等しくなければならない。

a.○
b.×
c.×
d.○
e.○

第6回-5

第6回-5
Gd-DTPA 造影剤を用いたダイナミック造影検査について、正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1. 下垂体は高速 SE(spin echo)法 T1 強調像を選択する。下垂体腺腫は、正常下垂体より早期濃染する。
2. 頭部灌流画像は EPI(echo planar imaging)法を選択する。造影剤による脳局所の信号上昇を捉えた曲線から、脳血流パラメータを算出する。
3. 乳房は脂肪抑制を併用した 3D gradient echo(GRE)法を選択する。撮像条件は、空間分解能と時間分解能を両立するために 1 時相 1 分程度に設定する。
4. 肝臓は in-phase の GRE 法を選択する。肝動脈塞栓術後のリピオドールは、障害陰影とならない。
5. 膵臓は脂肪抑制を併用した T1 強調像を選択する。典型的な膵臓癌は動脈相で膵実質より高信号に濃染する。

a.×正常下垂体の方が早い
b.×信号低下
c.○
d.○
e.×膵実質の方が染まる

第7回-2

第7回-2
脂肪抑制法または脂肪検出法に関する説明について正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)

1.Dixon 法は位相差法とも言われ、水画像と脂肪画像を作成することができる。
2.造影剤投与後に撮影した脂肪抑制 T1 強調像が脂肪抑制不良であったため、STIR 法で代用した。
3.GRE 法による in phase 画像と opposed phase 画像を差分処理すると、水と脂肪の存在比率を算出できる。
4.副腎腺腫が疑われたので腫瘍内の脂肪組織を検出するために gradient echo 法による in phase / opposed phase の dual echo T1 強調像を撮影した。
5.各種脂肪抑制法のうち、pre-saturation pulse を利用する代表的な方法には CHESS法や binominal pulse 法がある。

1.○
2.×STIRはIR法であり、脂肪であるかは関係なく脂肪のT1値と近いものを抑制します。造影により組織のT1値は変化するため造影前は脂肪のT1値から離れていたとしても造影後に脂肪と同じT1値となった場合STIRにより低信号となり脂肪との誤認となるため造影後には基本的にSTIRは使用しません。
3.×差分と加算
4.○腺腫は微量の脂肪を含むのでopposed phaseで信号低下する
5.×binominal pulse(2項パルス)はサチュレーションパルスではない

第8回-26

第8回-26
Gradient echo(GRE)シーケンスについて正しい記述を選択してください。(正解3つ)

1.balanced SSFP の信号強度は T1/ T2 にほぼ比例するので hydrography に適する。
2.3 個の α パルスを異なった間隔で印加すると 3 個の FID と 5 個のエコーが形成される。
3.第 2 の化学シフトによると 1.5 T の磁場において TE=4.5ms,9 ms であれば水と脂質中のプロトンは逆位相になる。
4.balanced steady –state free precession (balanced SSFP)では 3(X Y Z)方向の流速補償が成り立ち、流入効果とともに血管内が高信号になる。
5.第 2 の化学シフトアーチファクトは、周波数あるいは位相エンコード方向とは関係ないので、どの方向にも現れ筋肉や腸管全体を取り巻くように描かれる。

1.× T2/T1
2.○
3.× 2.2:逆位相、4.4:同位相、6.6:逆位相、8.8:同位相
4.○
5.○

第8回-30

第8回-30
FLASH band に関して正しい文章を選択してください。(正解 3 つ)

1.T1 強調像で出現しやすい。
2.T1 の短い組織で顕著に出現する。
3.位相エンコード方向に平行に出現する。
4. 励起パルスのフリップ角が大きいほど出現する。
5.一般的には centric order に比べて sequential order で出現しやすい。

1.○
2.×T2の長い組織
3.×周波数方向
4.○
5.○

第9回-26

第9回-26
第8回-26と同問

第10回-23

第10回-23
グラディエントエコー(GRE)法について正しい記述を選択してください。(正解2つ)

1.TR を短縮すると SSFP になる。
2.Balanced SSFP の信号強度は T1/ T2 に比例する。
3.Ernst angle(エルンスト角)は、T2 と TR から得られる。
4.Balanced SSFP(steady-state free precession)は動きに強い。
5.スポイルド GRE では、縦磁化の影響を無視することができる。

1.○
2.×T2/T1
3.× cosαE=exp(-TR/T1)
4.○
5.×横磁化を消失させる

第10回-43

第10回-43
頸部血管の black blood image について正しい記述を選択して下さい。(正解 3 つ)

1.乱流や層流は flow void 効果に影響を与える。
2.可動性プラークの性状評価には4D 収集が有用である。
3.GRE 法では flow void の原理を利用して血液信号を抑制する。
4.出血を伴うプラークは T1 強調像にて胸鎖乳突筋と等信号である。
5.不安定プラークの性状評価には脂肪抑制パルスを付加することが有用である。

1.○
2.○
3.×
4.×高信号となる
5.○

第11回-48

第11回-48
第10回-43と同問

第12回-10

第12回-10
グラディエントエコー法(GRE)について正しい文章を選択して下さい。 (正解 3 つ)

  1. Ernst angle は T1 値と TR から求まる。
  2. DESS(dual echo in the steady state) は動きに強い。
  3. Balanced SSFP 法の信号強度は T1 値/ T2 値に比例する。
  4. スポイルド GRE は残留横磁化の影響を無視することができる。
  5. TR を短縮すると SSFP(steady-state free precession) になる。

1.○cosαE=exp(-TR/T1)
2.×弱い
3.×T2/T1
4.○横磁化をスポイル(消失)する
5.○



まとめ

グラジエントエコー(GRE)法は撮像時間が短いという特徴があります。

まず撮像時間とは、、

撮像時間=TR×Ny×NEX

で表されますが、Nyは下げすぎると空間分解能が低下しNEXでは下げすぎるとSNRが低下してしまいます。

そこでTRを短縮させることとなります。

しかし90°パルス直後、TRが非常に短いとまだ縦磁化は十分に回復しておらず結果として小さい信号(横磁化)しか得られません。

そこで90°未満のフリップ角(α°)を使用します。

90°パルスでは縦磁化を真横に倒してしまうので縦磁化は一度ゼロになり短いTRでは回復出来ず次のパルスの時には縦磁化はとても小さくなってしまいます。ですがα°だと縦磁化をちょっとしか倒さないため減少は少なくTRが短くても次のパルスにはある程度の縦磁化があります。

このα°パルスを続けていくとある一定のところで固定されます。

これを定常状態と言います。

 

ここまで励起パルス(90°とかα°とか)の話しかしていませんが、再収束パルスはどうしているか。

SE法では180°パルスを使用していました。

GRE法では再収束パルスは用いずに信号を得るために傾斜磁場を用います。

α°パルスを照射後にはFIDが発生しますが、これを傾斜磁場の反転により信号の取得を行います。

①マイナスの方向に傾斜磁場をかけることでまずは位相を分散させます。
②その後プラス方向に同じ大きさの傾斜磁場を同じ時間かけると位相は再収束します。
③ここからさらに同じ時間続けることで位相はまた分散し始め、中央にピークのある両流れの信号が取得出来ます。

この通りGREは180°パルスを用いず、T2*減衰するシーケンスとなります。

そのためGREにはT2WIはありません。(例外はありますが、)

 

GREの大まかな概要は終わりましたがまだまだ解説は続きます。
もしかするとSEやEPIなどと比べて一番ややこしいシーケンスだと思います。

過去にも一度GREについて書いた記事があり、そこからちょっと抜粋していきます。

先ほどの定常状態から、TRが十分に長ければ次のRFパルスまでに横磁化が減衰して無くなりますが、TRが短くなると次のRFパルスまで横磁化が残ることとなります。

横磁化が残っている状態でパルスを打つことでハーンエコー(HE)やスティミュレイテッドエコー(STE)が発生します。

※SE(スピンエコー)は90°励起パルス-180°再収束パルスで発生しましたが、HE(ハーンエコー)は再収束に180°以外のパルスを使って得られる信号です。またSTE(スティミュレイテッドエコー)は三つのパルスを用いて得られる信号となりますどちらもSE系の信号のため今回はまとめてSEとします。

さらに間隔を短くすることでFIDとSEが融合したSSFP(定常状態自由歳差運動)という状態となります。

GREはスポイルドGREコヒーレントGREの2つに大きく分けられます。

スポイルドGREはこの横磁化を消失(spoil)させて撮像する方法、コヒーレントGREは横磁化をそのままにしSSFPの状態で撮像する方法です。
それぞれ”in-“や”un-“の否定的な接頭語をつけてインコヒーレントGRE(=スポイルドGRE)、アンスポイルドGRE(=コヒーレントGRE)などとも呼ばれます。ややこしいですね。

スポイルドGRE

スポイルには①傾斜磁場を使う方法、②RFを使う方法の2種類があります。

グラジエントスポイリング

傾斜磁場を用いる方法です。

信号取得後に強い傾斜磁場をかけることで横磁化を消失させます。

そしてFLASH bandという残留横磁化を消さなければなりません。

以上から信号とRFの間に傾斜磁場を印加するのでTRが長くなり、傾斜磁場の多用により渦電流が発生する、スライス位置に制限があるなどの特徴があります。

①TR長い
②渦電流
③スライス制限

RFスポイリング

励起RFパルスの位相をTRごとに変えて横磁化を消す方法です。

グラジエントスポイリングに比べて確実性が高く、スライス面の制限がありません。

 

FLASH band

フラッシュバンドとはアーチファクトの一つであり位相分散帯とも呼ばれます。

周波数方向に伸びる高信号であり、生じる場所はFOVの中心で一番強く他に位相の端など数本現れます。

原因は残留横磁化であり、横磁化が大きくなるともちろんフラッシュバンドも強く現れることになります。
そのため、フリップ角が大きいほどT2の長い組織ほど目立ちます。また、sequential orderの方が目立ちます。

※sequential order:k-spaceの埋める順番のことで端から埋めるものです。別名linerなどとも呼ばれます。これと対象に中心部分から埋めるのをcentricと呼ばれます。

リワインダーとはフラッシュバンドの対策のために位相方向にかけるグラディエントのことです。またコヒーレントGREでは横磁化の再収束の役目もします。

エルンスト角

組織からの信号強度が最も強くなるフリップアングルのことです。

GREでは短いTRを使用するためにFAを小さくしますが、TRが長くなるほどFAは大きい方が強い信号強度が得られます。
また組織のT1値が短いほどFAも大きい方が信号強度が強くなります。

上記がエルンスト角の公式となります。

そして

SSFPを利用するコヒーレントGREについてはまた別記事にします。なので『過去問からの出題』でもSSFPは取り上げませんでした。

また、今回説明しきれなかったdual echoについても別記事にします。

すみません僕にはキャパオーバーで1記事にまとめられませんでした。

出題

第5回-13,第5回-14,第5回-18,第6回-5,第7回-2,第8回-26,第9回-26,第10回-23,第10回-43,第11回-48,第12回-10

参考書籍

MRI完全解説 P239

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