第17回MRI認定試験の分析

最新の過去問である第17回を調べることで、最近の出題傾向を探ろうと言う記事です。

解剖や臨床、法令などどこに重点が置かれているか。数ある参考書でも出題されやすいものはどれかなどをみていきます。

ちなみに第18回から実施時期が10月末に変更となるそうですね。

今回再受験される方はモチベーション保つのには良いですが初受験の方は準備を急がなくてはいけなくなりそうです。

第17回の過去問はこちらから。

目次

まずは一覧

磁気共鳴専門技術者認定機構でも以下のような出題基準が出されています。

日本磁気共鳴専門技術者認定試験出題基準 2019 年版

基本的には第1部に基礎的な部分であったり評価法が問われ、第2部に臨床的な部分や法令・安全が問われます。技術分野に関しては第1・2部通してどちらでも出題されるため割合も多くなります。

出題範囲はとても広く、そして内容は深いため基本的には山を張って挑む試験ではないと思います。正攻法で行くなら基礎から勉強して応用技術を学んでいくこととなりますが、勉強を続けていると途中でやっている事が正しいのかこのままで間に合うのか不安になることがあります。そこで、先に敵を知っておくことで自分の進捗状況を客観的に見られるかと思います。

今回は第17回について調べました。

大まかな設問の内容と解くのに参考となった書籍を一覧表にします。

 

去年から臨床現場での問題が出てきましたね。「後輩技師に聞かれた」とか「次に何を撮ればいいか」などなど。
またMRI画像をもとに答える解剖の問題も多かったかなと思います。より臨床に関係する出題傾向になっているんでしょうね。

書籍はMRI応用自在がとても参考となった印象です。いつもながら完全解説も参考となりましたが、明らかに応用自在から抜粋したであろう問題もあり近年の流れはこちらなのかと感じました。

では第1部と第2部に分けてみていきましょう。

第1部

いきなりMSについての臨床問題でした。MSの画像診断といえばMRIなのでチェックしなければならない疾患ですね。
過去問でも2年くらい前から出題され始めているので対策は重要だと思います。

次も臨床が続き、椎骨動脈解離と胆道膵疾患についてですがここもMRIではメジャーな検査部位なため落とさずにいきたいですね。

次は脊椎の解剖ですがここは知らないと解けません。

脳神経を答える問題はもし分からなければ”どこから出るか”を考えたらある程度絞れるのではないでしょうか。

そしてしばらく撮像原理や撮像技術的な問題が続いていきますが、思っていたよりMRI応用自在の領域から出題されていました。一昔前の過去問では基礎的な分野が多かったせいか完全解説やパワーテキストが役立っていましたが今回はそこまで多くありません。今回出た造影剤の緩和の公式などは完全解説ではありますが。

そして最後に評価について数問でした。

IVIMやproton density fat fractionなどせっかく出てきたので次の試験までにチェックしておきたいですね。

サラッとでしたが次第2部いきます。

第2部

初めは臨床技術的な問題が出ますがMRI応用自在にて乗り切りましょう。

その後、MRI画像の解剖の問題。過去にも肩関節や脳動脈・静脈が出題されたことがありました。今やMRIは全身どこの撮影も行うためピンポイントで対策するのはとても難しいです。日常業務にて撮影された画像を見返して解剖を確認するのが一番良いのではないでしょうか。

36問の出血についての問題ですが、しっくりくる組み合わせが無いように思います。僕は示された選択肢の中から自信のある回答は選べませんでした。
出血の経時変化は完全解説だけでなくともいろんな参考書やネットに情報がありますので必ずチェックしておきましょう。
またついでに梗塞の経時変化も確認できると良いです。

次に前立腺癌ですが、最近の出題傾向として撮像法・診断法を標準化したPI-RADSについて問われることが多くなってきているかと考えています。
他には膀胱のVI-RADS、乳腺のBI-RADSなどがありますがここは的を絞って対策できるのでチェックすべきかと思います。

今年の出題でDWIBSも出題され始めています。最新の撮像技術ではありませんが、取り入れている施設も増えており確認すべき撮像法です。撮影の意義や技術的な部分と、50問目に出た「全身MRI撮像の指針」もみておきましょう。

ASL、DSCにかかわらず脳血流関連の出題も多く感じます。39問目は応用自在から抜粋した選択肢でした。次回同じ問題が出ても解けるようにしっかり覚えましょう。

今年も臨床MRI安全運用のための指針が出ましたね。来年また出るかわかりませんが、わりと新しめの指針は出題されやすいので気を付けましょう。



まとめ

出題の流れとしては過去問の使い回しが少なく、毎年ちゃんと更新されている感じがします。

過去第5〜10回のあたりのように(わりと適当に言ってます)数年前の過去問から出題されることはほぼないのではないでしょうか。
今年のFLAIRとキアリ奇形は去年に出てますが。

また、QSM、MOLLI法などは単語からの推測が難しく知らないと選択する上で全く歯が立たなくなってしまいます。この辺は応用自在でかなり身につきますので、今回僕が応用自在を推し気味なのはこう言った理由からです。

勝手な感想ですが今年は不適切問題が少なく感じました。出血は難しかったですが他には不適切かと疑うような問題はありません。

今回は第17回でしたが過去にも似たような記事書いてますのでよろしければご参考にどうぞ。
MRI認定試験の出題傾向から選んだ…

最後に試験対策にオススメの参考書をあげて終わります。

参考書籍

MRI完全解説 (第2版)

これは近年の対策にもまだまだ必要そうです。

基礎から基礎まで、最初から最後まで基礎です。

似たものにパワーテキストがありこちらもとても良いです!パワーテキストは撮像原理な部分が強く、撮像法の解説やパラメータのトレードオフについて学べると思います。
しかし完全解説ではMRIはなぜ信号を取得できるのか、なぜ画像ができるのかと言った基礎はもちろん、SARや傾斜磁場の人体への影響、そしてそれはなぜ影響するのかというまあまあ根本から学べるので良いと思っています。

使わずに合格した方はいると思いますが、MRIを続けて行くなら試験後でもずっと使える書籍だと思います。
自分の勉強だけでなく後輩に教えたり、勉強会の準備だったりと。

ただ結構価格が高いのと重いので持ち歩きはしんどいです。買うなら筋トレだと思ってください。

MRI応用自在(第4版)

今年の推しです。

初学にはあまり向きません。

ただし試験対策には必須になるかと思います。

いろんな技術をネットやら勉強会やらで検索して調べるより、この本をとりあえずざっと一読すれば一通りの知識はつきます。そう考えると対策のコスパは良いです。

しかしこの本も高くて重い。完全解説と合わせると知識より先に筋力がつきます。

ざっとどんな技術が載っているか記載しますね。あまり書きすぎると注意くらうと思うのでほどほどに。

脂肪抑制関連IDEALやSPAIRなど。GRE法LAVAやVIBE、bSSFPは詳しく解説されてます。T2*関連MERGEやCOSMICなど。拡散強調像関連←詳しく解説されています。今回出題のIVIMも。SyntheticMRIやfingerprinting。今回出題のT1map関連。DWIBSについても。後半では臨床にのっとって解説があり脳血流なんかもここで説明されています。
初学に向かないと書きましたが臨床で役立つ内容なので意外と使えるかもしれません。

 

 

簡単ではありましたが以上分析でした。

 

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