【MRIの原理みたいなのその①】核種から飽和パルスまで

いろいろ記事にしなきゃとは思いつつもどこに手をつけて良いか分からず。選択肢が多いほど迷いが出てしまいます。。

そこで邪念が多い今だからこそ一度初心に帰って基礎的な記事にしてみようと思いました。

せっかく磁気モーメントの記事も作ったのでいい機会です。おそらく。

一回に終わらせるのではなく少しずつ進めるつもりです。内容の深さも考えていませんし、あまり続かないかもしれません。

みなさん楽しみに!と言うよりは暖かく見守っててください。そんな記事です。

目次

では

前回、磁気モーメントについての記事を書きましたがその続きとして書いていきます。

MRIの対象核種は1Hですが、他にどんな核種でも良いわけではありません。

磁気モーメントが大きい
天然存在比と生体内存在比が大きい

この2点を満たさなければMRIとして撮像することができないのです。

①は前回やったように1Hは陽子1つで構成されるため打ち消しあうことはなく大きな磁気モーメントを持ちます。
②の天然存在比とはその名の通り天然に存在している割合で、1Hでは99.985%、2Hが0.015%となります。一応トリチウムもごく僅かに存在します。
生体内存在比は人体に存在する割合であり、例え天然存在比が大きくて自然界にたくさん存在する核種だとしても人体になければ画像化できないですからね。

まとめると、②人体にたくさんある①磁気モーメントを検出する事でMR画像を作ることができます。

ではその磁気モーメントをどのように検出するか。

人体内の1H原子核磁気モーメントは様々な方向を向いており、これでは検出できません。
バラバラに置かれた棒磁石を想像してください。もしそれらを一気に揃えるとしたらどうしますか。大きな磁石を使えば揃いますよね。

そこで人体を外部磁場にさらします。そうすると磁気モーメントも磁石なので磁場方向を向くはずです。しかし実際は『少し傾いた角度』で磁場方向を向き、またその反対方向を向くものの2つに分かれます。

ここで、陽子(核子)は磁気モーメントだけでなくスピン角運動量Lも持っています。
L=√s(s+1)/ħ=(√3/2)ħ

磁場内にある時、その磁場方向のスピン角運動量Lは磁気量子数で規定されており、その規定値は「ħ/2」となります。

1Hのスピン角運動量はL=(√3/2)ħであり、「ħ/2」よりも長いので収まるためには『少し傾いた角度』をとらなければなりません。その時の角度は55°、反対方向のものは125°となります。

磁場方向を向くのをα群、磁場と反対方向を向くのをβ群と呼びます。

磁場という力が働いていても反対方向を向くβ群の方がα群よりもエネルギー準位は高くなります。

αとβ2つに分かれましたが、これらはこの向きを向いたまま静止しているわけではありません。

B0から受ける偶力とスピン角運動量により55°と125°を保ったまま歳差運動を行います。

実際どっち回りかはあまり重要じゃありませんので覚える必要はありませんが、55°と125°の角度を保ちながら歳差運動することは覚えましょう。

(歳差運動に関してはこちら→歳差運動の方向について考えてみたこと

また、この時の回転する速さ(角速度)ですが、ラーモアの式によって与えられます。
ω=γB0

 

このα群とβ群ですが、たくさんある1H原子核のうち約半数ずつα群とβ群に分かれます。しかし若干の差でα群の方が多くなるのです。

この両群に属する1H原子核数の相対比はボルツマン分布則で決まります。

これを3Tについて計算するとα群とβ群の個数の差は、
β群が10万個あったとしたらα群は10万2個。という10万個あっても2個の差しかありません。

これが1.5Tでは
β群が10万個あったとしたらα群は10万1個となります。

 

上記は全原子核数(Nα+Nβ)に対するα群に余計に含まれる原子核数(Nα-Nβ)の比を表すのですが、これを偏極率と呼びます。

編曲率は静磁場強度が高いほど温度が低いほど大きくなることがわかります。

1.5Tの偏極率:0.5×10-5
3Tの偏極率:1×10-5

↑認定試験で出たことあるので覚えましょう。

 

ここで図を変えて、、

磁場内ではα群とβ群に分かれますが、両群の間にはエネルギー差ΔEがあります。

ここでそのΔEに相当するエネルギーの電磁波を照射すると、エネルギーを吸収してα群からβ群へと遷移していきます。やがて両群の数は同数となるのですが、この状態を飽和といいます。

そしてこの飽和を作る電磁波のことを飽和パルス、いわゆる90°RFパルスと呼びます。

※モーションアーチファクトやフローアーチファクトを抑制するために信号を出さないようにあらかじめ照射するものにサチュレーションパルスというものがありますが、臨床で飽和パルスと言うと大抵このことを指します。今回の90°パルスは励起パルスとも呼ばれ一般にはこの呼び名の方が多いかもしれません。

まとめ

1.MRIに使われるための条件
①磁気モーメントが大きい
②天然存在比と生体内存在比が大きい

2.磁場へ晒すと
①磁気モーメントは55°と125°を向く
②歳差運動を始める(角速度はラーモアの式ω=γB0)
③55°はα群、125°はβ群

3.αβについて
①α群の方が少し多い
②1.5Tの偏極率:0.5×10-5 、3Tの偏極率:1×10-5
③編曲率は静磁場強度が高いほど、温度が低いほど大きくなる
④両群が同数になることを飽和、飽和させる電磁波を飽和パルスと呼ぶ

 



過去の出題

第17回-6
核磁気モーメントが最も大きくなるものを選べ。ただし、中性子は陽子よりも小さい磁気モーメントを有し、原子番号および中性子数をそれぞれ Z および N とする。

1. 大きいZ
2. 少ないN
3. ZとNが同数
4. ZとZ+Nが奇数
5. Z および Z+N が偶数

第5回-1
ω0 = γΒ0で表される関係について、正しい記述を選択してください。

a.磁気共鳴現象の基本を示し、ラーモア方程式とよばれる。
b.ω0は角振動数を表し、単位は 1/rad である。
c.γは磁気回転比と呼ばれる比例定数である。
d.γは静磁場強度によって異なる値を持つ。
e.Β0は磁束密度を表し、単位は Wb/m2 である。

第6回-15
次の記述について、正しい文章を解答して下さい。(正解3つ)

1.J カップリングは磁場強度に比例する。
2.ケミカルシフト(ppm)は磁場強度に比例する。
3.自由誘導減衰信号は RF パルスにより発生した横磁化により観測される。
4.一般に MR 信号は π/2 位相がずれた実部と虚部から成り立つ複素数データをもつ。
5.1H のスピン量子数は 1/2 で、磁場内に置かれるとエネルギー準位が2つに分かれる。

第9回-3
Boltzmann 分布則によって求まる偏極率について正しい説明を選択してください。(正解 3 つ)

1.絶対温度に反比例する。
2.磁気回転比に比例する。
3.プロトン密度に比例する。
4.静磁場強度に反比例する。
5.Hは静磁場強度1.5Tで0.5*10-5である。

最後に

いかがでしたでしょうか。

まだ縦磁化とか横磁化すら出てきませんでした。全然進みません。

一応大事な部分ですし認定試験でも問われるとこなので飛ばすわけにもいかないかなと思って書きました。

次回はいつ書くかそもそも続けるかわかりませんが。なのでタイトルも適当につけちゃった。

 

まず、よろしくお願いします。

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