MRI認定試験過去問解説 第5回-9【NMR信号】

傾斜磁場やRF、信号についての問題です。

目次

問題

次の記述について,正しい文章を解答して下さい。

a. FOV 一定の場合、リードアウト傾斜磁場強度が強いほうが SNR は高い。
b. 同じ形状の RF の場合、印加時間を短縮すると励起周波数帯域は広がる。
c. スピンエコー法の 180 度パルスは横磁化成分のみを反転させる。
d. グラディエントエコー法の信号強度はピクセルサイズに影響を受ける。
e. スティミュレーテッドエコーを得るには4つの RF が必要である。

 

解答

b,d

解説

FOV

FOVと傾斜磁場Gとバンド幅BWには以下のような関係があります。

FOVが一定だとして、Gを大きくするとBWも比例して大きくなります。

SNRとBWは、SNR=√1/BWの関係があるのでBWを2倍にするとSNRは√1/2になります。

要するにBWが大きいほどSNRは低下します。

そのためFOV一定であれば、傾斜磁場強度を強くするとBWもつられて大きくなりSNRは下がります。

RF

まず、RFは特定の周波数帯域を均一に照射できなければなりません。

特定の周波数帯だけを均一に励起するというのを周波数スペクトルで考えるとAのような矩形が理想でありBのような形状では均一に励起できません。

理想の矩形となるRFを見つけたいのですが、RFは時間領域で、上の矩形(励起帯域)は周波数領域です。

ここでフーリエ変換を使います。

フーリエ変換とは時間tの関数f(t)を周波数ωの関数F(ω)に変換することで、時間で表している世界から周波数で表している世界に移動する感じです。
逆に周波数から時間に移動したければ逆フーリエ変換を行います。

理想である矩形を逆フーリエ変換すれば、理想のRFが見つかります。

実際に逆フーリエ変換を行うとシンク関数となります。
皆さんもMRIを勉強する上で一度は聞いたことがあるのではと思います。

シンク関数 Wikipedia参考

この形状のRF(シンク関数)を照射することで矩形である均一の励起帯域が得られます。また、これをバンド幅BWと言います。

BWとシンク波の周期Tには反比例の関係があり、T∝1/BWとなります。

シンク波の周期Tが短ければBWは広く、シンク波の周期Tが長ければBWは狭いのです。

180°パルス

縦磁化も横磁化もどちらも反転させます。

GRE法の信号強度

GREは180°パルスを使わないため、位相の再収束はできず信号はT2*減衰していきます。

磁場の不均一に敏感であり、ボクセル内での位相分散が信号強度へ影響します。

NMR信号

FID

励起パルス後に発生する片流れの信号です。磁場の不均一性によって減衰するのでT2*減衰です。
励起パルス後すぐ発生するため、励起パルスと重なり観察することはできません。

GRE グラジエントエコー

FIDを傾斜磁場により片流れから中央にピークのある信号にし観察したもの。
FIDと同じくT2*減衰します。

SE スピンエコー

90°パルスのTE/2時間後に180°パルスを打つことで発生します。
180°パルスのおかげで磁場の不均一による分散が再収束されるのでT2減衰します。

HE ハーンエコー

SEのように2つのRFパルスを使用しますが、180°パルスを使用しないものがHEです。
組み合わせは50°-65°でも90°-90°でも180°以外であれば発生します。

STE

3つのRFパルスを使用します。第1RFと第2RFの間の時間をAとすると、第3RF後A経った時に発生します。

まとめ

今回は原理の中でも実際の撮影に近い話となりました。試験だけでなく実践に活かせるところでもあります。さらっとした説明になってしまいましたが試験で度々見かけるのでぜひ覚えましょう。

参考書籍・文献

MRI完全解説第2版 P122,527
など

 

解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。

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