MRI認定試験過去問解説 第5回-23【高周波磁場】

高周波磁場の危険に関しての問題です。

目次

問題

高周波磁場の危険因子について、正しい文章を解答して下さい。

a. 送信コイル内に導電性の物質が存在すること。
b. 湿った衣服の着用。
c. マグネット内で頭部を振るなどの動作。
d. 人体の一部に導電性ループが形成された場合経皮的。
e. 人体を送信コイル表面に接触させて配置すること。

解答

a,b,d,e

解説

高周波磁場 (RF磁場)

RF(radio freqency)とは簡単にいうと電波のことであり、電波はその周波数帯によって分けられていてRFは広義の意味で高周波と呼ばれます。

高周波磁場とはRF磁場のことです。

記号はB1、単位はテスラ【T】が用いられます。

MRI勉強したての頃はB1とB0がよくわかりませんでしたが、B0は静磁場です。
『1.5TのMRI』『3TのMRI』の1.5Tとか3Tとかが静磁場です。

一方、B1はRFの磁場のことを指します。

例えばRFパルスによって磁化を90°や180°倒しますが、そのフリップアングルの式は θ=γB1t で表されます。
γ=42.58MHz/T(磁気回転比)、t:照射時間

要するに照射時間とRF磁場の強さでフリップアングルを決めることができるのです。
(γは変えられない値)

話を戻して、今回の問題はRFパルスによる影響を考えていけばいいと思います。

RFの生体への影響は「熱」「神経刺激」「遺伝への作用」などが考えられていますが、今のところ明確な物理的根拠と現象が観測されているのは「熱」だけです。

RFによる発熱をRF加熱と言いますが、大きく3つのRF加熱があります。

①誘導加熱
RFの振動磁場により導電体に渦電流が発生し、これが熱へと変換されて発熱します。
これはIH調理器と同じ原理で発熱し、誘導加熱はinduced heating、いわゆるIHということです。

②誘電加熱
誘電体(絶縁体)にRFを加えると、エネルギーの一部が熱へと変換されます。
こちらは電子レンジと同じ原理となります。

③ヒステリシス損失
強磁性体に特有の発熱

人体は導電体としての性質と誘電体としての性質があるのですが、RFパルスが低周波の時は導電体、高周波になると誘電体となり3Tくらいから導電体としての性質が現れてくるそうです。

今回の問題を解くカギは熱が発生するかどうかです。

a.送信コイル内に導電性の物質が存在すること。
b.湿った衣服の着用。

導電性とは電気を通す性質のことを言います。

導電性のものにはRFパルスにより誘導電流が流れ渦電流が発生し熱に変換されます。
①の誘電加熱ですね。

また湿った衣服も電気を通しやすく導電性となります。

よって危険因子ですね。

c.マグネット内で頭部を振るなどの動作。

マグネット内ということは静磁場内でということですが、頭を振ると何が起きるでしょうか。

何も起きないように感じますが、実は磁束が変化するため誘導電流が発生します。

それにより、めまい、ふらつき、磁気閃光、金属味などの一時的な影響の可能性があります。

ただしこれらは高磁場で可能性があり低磁場では問題にならないと思われます。また7TではMRIのガントリー内へ入る時、早いスピードで入るだけでこのような現象がでるそうです。

d.人体の一部に導電性ループが形成された場合経皮的。
e.人体を送信コイル表面に接触させて配置すること。

ループが出来てしまうと電流が流れ発熱の原因となります。例えば腰に手を当てるように輪っかを作るとループになり、特に皮膚と皮膚の接点では電気抵抗が高くなり発熱しやすくなります。

また人体がコイルに接触してもそこがループの役目となり同じく発熱の原因となります。

まとめ

RF加熱に関してでした。安全に関しての問題でRF、静磁場、傾斜磁場のそれぞれの影響について知っておく必要があり結構出題されるものです。他にも似たような問題があるので次は今回できなかった説明などを加えていこうと思います。

参考書籍・文献

MRI完全解説第2版 P508
MRI安全性の考え方 第2版 P98

 

解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。

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