MRI認定試験過去問解説 第5回-11【MRA】

MRAのTOF法とPC法についてです。頭部の動脈撮像には主にTOF法が使われPC法の出番は少ないと思いますが、この二つはセットでよく出題されますので特徴を覚えておきましょう。

目次

問題

MRAの特徴について、正しい文章を解答して下さい。

a.TOF 法は PC 法に比べ、磁場均一性への依存度が低い。
b.TOF 法は PC 法に比べ、断層面に平行な流れを描出しにくい。
c.PC 法は、特定の流速を強調できる。
d.PC 法は、流速と方向性の定量化ができる。
e.PC 法は TOF 法に比べ、患者の動きに影響されにくい。

解答

a,b,c,d

解説

PC法

原理を勉強するのって面倒でイヤですよね。僕はとても嫌いです。

ただ理解し始めてくると少しは楽しくなるのでちょっとだけ頑張ってみましょう。

なるべく分かりやすく説明するつもりです。

 

まずPC法は主に頭部静脈の描出に使用されます。また、パラメータをいじることで動脈を描出することも可能な手法です。

原理としては血流により位相がシフトすることを利用した方法となります。またそれだけではコントラストが不十分であるため血管内信号が高の画像から低の画像をサブトラクションすることで背景は差分され静脈のみの画像を作成することが出来ます。なのでphase contrast(位相コントラスト)法と呼ばれます。

ポイントとしては位相シフトサブトラクションです。

この2点を押さえておけばPC法の理解もメリットデメリットも見えてきやすいと思います。

位相シフト

まず位相シフトについてですが、シフトってどういう意味?と思われる方もいるかもしれませんね。

直訳で「移動する」や「動かす」という意味があるので位相シフトは位相が動く(ズレる)と思ってもらえたらいいんじゃないかと。
ついでにバイトや仕事で使われるシフトも同じ単語です。

そして位相シフトなのですが、次のことが重要です。

まず静止組織はその場から動きません。そして血液は生きている限り移動し続けます。

もし磁場勾配をかけたら周りの静止組織と比べて血液は移動した分だけ位相がズレることとなります。このズレを画像に反映させることで血管撮影ができるのです。

これが位相シフトの式で、磁場勾配GxがあるときにGx方向に流れる血液は
流速vに比例、時間Tの2乗に比例する位相シフトを受けます。

一応式を出しましたが見ただけでイヤになりませんか?
安心してください。式はなるべく使わずに説明していきます。

話を戻して、
同じ時間移動したとしても血流速度が違えば位相シフトも変わってきます。そのため遅い静脈と早い動脈ではもちろん位相シフトが異なります。

ちなみに位相は血液が移動しただけではシフトしません。磁場勾配があって初めて位相シフトします。

磁場勾配についてですがPC法では双極磁場勾配BPG(bipolar gradient)というものを印加します。
これは正と負の面積(正確には印加時間の積分)が同じ一対の磁場勾配です。

このような磁場勾配を印加するとどうなるかというと、
まず先ほど同じように磁場勾配を印加します。

すると血液は位相シフトを起こします。
次に反対方向に同じ強さの磁場勾配を印加させます。

今度は静止組織の位相が元に戻り、血液の位相は逆の方へと位相シフトを起こします。

このBPGは静止組織の位相に変化はもたらさず、動くもの(血液)に位相シフトを残す性質があります。

そして、この双極磁場勾配BPGの逆をもう1つ、全部で2つ印加し、BPG(A)を印加した信号とBPG(B)を印加した信号を別々に取得します。

ではそれぞれのBPGを印加したときについて説明していきます。

BPG(A)を印加した時の静止組織の位相シフトは0。
血液の位相シフトはΔφになったとしましょう。

今度はBPG(B)を印加した時、静止組織の位相シフトはこちらも0。
そして血液の位相シフトは-Δφとなります。

ここまで来れば面倒な原理もほぼ終了です!

あとはサブトラクションするだけだからです。

サブトラクション

BPG(A)では血液の位相シフトはΔφでありこの時の信号をSAとします。
同じくBPG(B)では血液の位相シフトは-Δφでこの時の信号はSBとします。

この2つを引き算します。

静止組織の信号はBPG(A)もBPG(B)も同じなので0となり血管と静止組織のコントラストがついた画像が完成します。

ですが、ここで一つ疑問が残ります。

移動して位相シフトしたものは全部画像になるのか。そうすると静脈も動脈も髄液なども画像になるのか。
次でお話しします。

速度エンコーディング

続きですが、血流が遅くて移動距離がとても少なかったとします。

そうなると位相シフトもごくわずかとなってしまい、画像に表すことが出来なくなってしまいます。

何が言えるかというと、速い動脈と同じ磁場勾配では遅い静脈は見えないということになります。

ここでもういちど式に登場してもらいます。

ここで位相シフトを大きくしたいのですがγとvは操作出来ません。そうすると残されたのは磁場勾配Gとその印加時間Tでありこの2つを大きくすると位相シフトも大きくなり遅い血流でも画像を作成出来ることが分かります。

ここで1つ注意があり、位相シフトが大きすぎるとかえって信号が低くなってしまいます。

90°の時に最も信号が高くなり、それを過ぎると今度は信号が下がってきます。そして0と180°のときに信号は最低となります。

そのために目的血管の血流速度が信号を強く出せるための磁場勾配と印加時間になるように調整しなければなりません。

ではPC法を使うとき何をいじればいいの?ってことになりますが、『VENC』というパラメータを調節することになります。

VENCとはvelocity encoding(速度エンコーディング)といい、Δφが180°(π)になる時のvを言います。

要するにVENCの半分の流速で最大の信号となるのです。

また、VENCの25%〜75%がコントラストよく描出できるそうです。

ではVENCはいくらに設定すればいいのでしょうか。
観察したい血管の最大流速を知っていたとします。それをコントラストよく見えるギリギリの75%にすれば目的血管の画像が得られるでしょう。VENCは100%なので設定すべきVENCの値は最大流速の4/3倍ということになります。

例えば、最大流速が15cm/sの静脈を観察したいとします。その4/3倍の20cm/sをVENCに設定すればその静脈はコントラストよく描出できることとなります。

以上がPC法の説明になります。

まとめです。

メリット
血流速度や流れの方向から定量性が高い。
VENCにより目的の血管を描出できる。
バックグラウンド抑制が良い。
並行に流れる血流も描出できる。

デメリット
撮像時間が長い。
動きに弱い。
乱流による位相分散に弱い。
VENCを設定するための血流速度を知っている必要がある。

まとめ

血管撮影についてでしたがPC法の説明のみでしたね。TOF法についてはこちらにざっくり説明書いてますのでよろしければご覧ください。これら撮像法は原理を知らずともある程度撮像出来てしまいますが、うまく撮れないときには原理を知ることで対処できる幅が広がります。また描出不良の原因が病変なのかの判断にもつながりますのでぜひ原理について考えてみてはいかがでしょうか。

出題に関してはまあまあ出ると思います。

参考書籍・文献

MRI完全解説第2版 P593
など

 

解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。

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