【MRI認定 46】子宮の変化

子宮・卵巣は月経周期によりサイズや信号形態が変化します。

特に子宮に関しては、第10、11、15回に月経周期による問題が出ていますが最近では出題は少ないです。

第10、11回の解答に特化した記事となっています。

目次

解剖について

第15回-34

Bが筋層、Aがjunctional zone(筋層の最内層部)、その内側の高信号が内膜となります。

子宮は体部と頸部からなりますが、図では”く”の字に曲がった上が体部、下が頸部となります。

年齢による変化

子宮はホルモンの影響を受け形態が変化します。

新生児

母体由来のエストロゲンの影響により層構造が明瞭に認められます。

小児

生後1ヶ月の間に血中エストロゲン濃度は低下するため子宮は縮小し体部は小さく頸部が大きくなります→1:2(体部:頸部)。

生殖可能年齢

層構造が明瞭となり体部が大きくなります→2:1(体部:頸部)。子宮内膜の厚さは平均10mm。

閉経後

筋層と子宮内膜は萎縮し、子宮内膜の厚さは3mm以下となります。また層構造は不明瞭となります。体部が萎縮する→1:1(体部:頸部)。

月経周期について

月経周期は月経期、増殖期(卵胞期)、分泌期(黄体期)と3つの時期に分けられます。月経開始日から次の月経の前日までであり、約1ヶ月程度(教科書的には28日)で繰り返します。また、周期の14日目程度で排卵となります。

この月経周期に伴い、子宮の形態や信号強度は変化します。

月経期

子宮内膜は剥離し脱落します。そのため月経直後の内膜は1〜2mmと薄くなります。

junctional zoneは不明瞭となります。

筋層の信号強度は低信号となります。

増殖期(卵胞期)

子宮内膜は2〜3mmと次第に厚くなります。

junctional zoneは徐々に明瞭化してきます。

筋層は徐々に高信号となります。

分泌期(黄体期)

子宮内膜は3〜7mmと最も厚くなります。

junctional zoneは明瞭な低信号となります。

筋層も厚くなり、最も高信号となります。そのためjunctional zoneとのコントラストが鮮明となります。

 

僕は月経周期がなかなか覚えられなかったので久しぶりにゴロです。

*月額が増えたので分割払い*
月経期、増殖期、分泌期

*ランボルギーニにハイライトの黄色*
卵胞期→排卵→黄体期

月経周期と蠕動運動

子宮の収縮には2種類あります。

持続的収縮(sustained contraction)

子宮筋層の散発性収縮。3〜5分程度の間隔で規則性を持たず、筋層全層におよぶ持続性の収縮で10〜30分持続します。

T2WIでは一過性に低信号となり内膜側へ膨隆するため筋腫や線筋症などとの鑑別が問題となります。

子宮蠕動(uterine peristalsis)

子宮内膜筋層境界におけるさざ波様の動き。方向性を持ち、リズミカルに輪郭が変化します。

 

子宮蠕動の方向性、強さ、頻度は月経周期により変化します。

月経期

体部から頸部へ向かう緩徐な波の伝搬がみられ、sustained contractionを伴うことも多いです。

月経時の内膜の剥離と脱落に役立っています。

増殖期(卵胞期)

排卵期にかけて頸部から体部へと伝搬する波が観察されます。この頻度は徐々に増加し排卵期に最大となります。

精子の子宮底部への移送を補助すると考えられています。

分泌期(黄体期)

蠕動はほとんど観察されません。

初期妊娠の維持に役立つと考えられています。



まとめ

年齢による変化では、生殖可能年齢で最も層構造が明瞭化し、体部が大きく(2:1)、子宮内膜が厚く(10mm)なる。それ以外では体部は小さいです。

蠕動運動では、月経期、増殖期(卵胞期)で観察され排卵期で最も強くなる。分泌期(黄体期)ではほぼ観察されなくなります。

今回の記事で一番大事なのは月経周期による信号強度や内膜厚の変化だと思います。難しく考えずに、月経→増殖→分泌の流れで内膜は次第に厚くなり、junctional zoneは明瞭化し、筋層は信号が高くなると覚えましょう。

過去問からの出題

第9回-28
次の記述について正しい文章を選択してください。(正解2つ)

1.直腸の下 1/3 部では腹膜がない。
2.子宮頚部は子宮の下 2/3 部である。
3.尿管は 3 箇所にやや細い狭窄部をもつ。
4.前立腺は辺縁域・中心域の 2 つの領域からなる。
5.解剖学的に分けられる正常の左右の肝臓は、ほぼ同体積である。

第10回-5
月経周期における MRI 画像の表記について正しいものを選んでください。(正解2つ) 

1.月経期は子宮筋層の収縮は強く影響する。
2.排卵前期は junctional zone の蠕動の影響は少ない。
3.排卵前期は子宮筋層厚と子宮内膜の範囲は減少する。
4.黄体期は子宮筋層と子宮内膜ともに高い信号強度で示される。
5.卵胞期と排卵前期の間は junctional zone のボリュームの著明な変化はない。

第11回-23
10-5と一緒

第15回-34
女性骨盤の T2 強調画像を以下に示す。正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. A は筋層である。
  2. B は junctional zone である。
  3. 子宮内膜は閉経後に委縮する。
  4. Junctional zone は月経時に描出不良となる。
  5. 子宮内膜は生理周期の増殖期に最も厚く描出される。

第16回-7
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 骨の表面は骨膜で被われる
2. 心臓壁は心内膜・心外膜の 2 層からなる
3. 大動脈は内膜,中膜,外膜の 3 層からなる
4. 子宮は粘膜・筋層・線維膜の 3 層からなる
5. 髄膜は外側から軟膜・クモ膜・硬膜の 3 層からなる

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

目次