【第16回】MRI専門技術者認定試験 過去問

2021年出題、問題数50問

目次

第1部

1)隙間(エアギャップ)がある磁気回路を示す。エアギャップに糸で金属の小片を吊るしたところ、小片はわずか に右へ引き寄せられた。この実験系について正しいのはどれか.3 つ選べ。

1. 小片は銀である
2. 小片はチタンである
3. 小片は常磁性体である
4. 小片は負の磁化率をもつ
5. エアギャップを流れる磁力線の向きは左から右である

解答
1.×
2.○
3.○
4.×
5.○
解答の流れ
①レンツの法則により磁力線は左から右と判断(図では時計回り)
②小片は右に少し引き寄せられたことから常磁性体と判断(反磁性では極微小に反対方向もしくは動かないと思われる)
③常磁性体は問ではチタンのみなのでチタンと判断(銀は反磁性体)

2)1H の共鳴周波数が 127.8 MHz の MRI 装置において、水と脂肪の磁化が In-phase を繰り返す周期で正しいのはどれか。ただし、R:繰り返し周期[s]、C:ケミカルシフト[ppm]、γ:磁気回転比[42.6 MHz / T]とする。

1. R = γ / 3*C
2. R = 1 / 2*C*γ
3. R = 1 / 3*C*γ
4. R = 1 / 6*C*γ
5. R = 6*C*γ

解答
1.2.3.○4.5.
①共鳴周波数127.8MHzのMRI装置とは、磁気回転比γ(42.6MHz)で割って・・・127.8/42.6=3T、3T装置となる。
②3T装置のin-phaseは2.2msなため、in-phaseの繰り返し周期R=2.2ms=1/(3×3.5×42.6)・・・R=1/(3×C×γ)

ちなみにopposed-phaseの時は、、
②3T装置のopposed-phaseは1.1msのため、opposed-phaseの繰り返し周期R=1.1ms=1(6×3.5×42.6)・・・R=1/(6×C×γ)

3)他院の 1.5T MRA で小さな動脈瘤が疑われ、存在確認と大きさの変化の観察を兼ねるという依頼で検査が行なわれようとしている。どのような検査を行なうべきか担当の若手技師に聞かれました。回答として望まれるのはどれか。

1. 「MIP や VR を多めにつくれば、元画像はいらない」
2. 「3T の装置で行い、高空間分解能の MRA を行なうとよい」
3. 「1.5T で検査したので、大きさを見るため今回も 1.5Tで撮ったほうがよい」
4. 「いつも通りで大抵わかるので、一応画像を確認して写っていればそれでよい」
5. 「いつもの TOF に加え、PC-MRA の VENC を 15cm/s に設定したものを追加しておくとよい」

解答
1.×元画像は存在確認、大きさの変化を観察できる。
2.○1.5Tと比較して3TではSNRが高いため高分解能に撮像可能であり、より詳細に観察できる。
3.×可能であれば3Tが望ましい。
4.×「大きさの変化の観察」とのことなのでアーチファクトがないか、他院画像との撮像条件の違いや撮影角度の違いによる描出能の違いで動脈瘤が見えにくくなっていないかなどを確認すべき。
5.×中・前大脳動脈で流速40〜70cm/sでありVENCが足りなすぎる。VENCは最大血流速×4/3程度、15cm/sでは静脈が有意に描出される。

4)動脈瘤のコイル塞栓術後で瘤の頸部に血流の残余があることが前回の当院で行われた 1.5T MRA でわかり、経過 観察のために MRI 検査が行なわれるところである。開存内腔が大きくなったら再手術を検討するという。どのような検査を行なうべきか担当の若手技師に聞かれました。回答として望まれるのはどれか。

1. 「今回は MRA のみでよい」
2. 「3T の装置で MRA を行なうとよい」
3. 「MIP や VR を多めにつくれば、元画像はいらない」
4. 「大きさを見るため今回も同じ装置で撮ったほうがよい」
5. 「いつもの TOF に加え、PC-MRA の VENC を 15cm/s に設定したものを追加しておくとよい」

解答
1.×コイル塞栓術後の合併症に脳梗塞、脳出血、浮腫などがあるため血管以外の観察も必要。
2.×3T装置では磁化率アーチファクトが大きくなるためこのケースでは適さない可能性がある。
3.×瘤内の血流残余を観察するのであれば2次元で見られる元画像が有用となる可能性がある。
4.○同条件で比較ができるため。
5.×問3同様に静脈が有意に描出される。ちなみにPC-MRAは位相分散に強いとの報告があるためコイルやクリッピング後に有用になる可能性がある。

5)一般的な神経支配の組み合わせで正しいのはどれか。3 つ選べ。

1. 横隔神経—– 第 3~5 頚神経
2. 腕神経叢—– 第 3~7 頚神経
3. 大腿神経—– 第 2~4 仙骨神経 
4.骨盤内臓神経—– 第2~4仙骨神経 
5.坐骨神経—– 第4~5腰神経と第1~3仙骨神経

解答
1.○
2.×C5〜T1
3.×L2〜4
4.○
5.○
解説(デルマトーム)

6)正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 視神経は中脳から起こる
2. 外転神経は橋から起こる
3. 動眼神経は橋から起こる
4. 眼神経は三叉神経から起こる 
5. 上顎神経は顔面神経から起こる

解答
1.×間脳
2.○
3.×中脳
4.○
5.×三叉神経
①嗅神経-大脳
②視神経-間脳
③動眼神経-中脳
④滑車神経-中脳
⑤三叉神経-橋
⑥外転神経-橋
⑦顔面神経-橋
⑧内耳神経-橋
⑨舌咽神経-延髄
⑩迷走神経-延髄
11副神経-延髄
12舌下神経-延髄
解説(脳神経)

7)正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 骨の表面は骨膜で被われる
2. 心臓壁は心内膜・心外膜の 2 層からなる
3. 大動脈は内膜,中膜,外膜の 3 層からなる
4. 子宮は粘膜・筋層・線維膜の 3 層からなる
5. 髄膜は外側から軟膜・クモ膜・硬膜の 3 層からなる

解答
1.○外側から骨膜→皮質骨→骨髄
2.×外側から心嚢→壁側心膜→心膜腔→心外膜→心筋→心内膜
3.○
4.×外側から漿膜→筋層→粘膜
5.×外側から硬膜→クモ膜→軟膜

8)Dixon 法について正しいのはどれか。3 つ選べ。

1. Two point 法には 2 回撮像が必須である
2. Multi point 法は磁場の不均一性の影響を補正できる
3. Multi point 法では脂肪,鉄沈着の検出にも使用できる
4. 位相差が対称である three point 法は,ボクセル内の脂肪と水の比率が同量になると両者を判別できない 
5. 高速スピンエコー型は refocusing pulse の位置を変えることで同位相,逆位相の信号を取得している

解答
1.×GRE法では1回、FSE法では2回
2.○2PDでは磁場不均一の影響を受けるが3PDより磁場不均一の影響を除くことができるようになった。
3.○IDEAL-IQ、6つのTE。
4.○そのため非対象3PDが考案された。
5.×読み取りGの位置を変える。

9)1H-MRS について正しいのはどれか。3 つ選べ。

1. シミングは水抑制なしの励起で行う
2. 加算回数を増やすことでスペクトルの信号値が高くなる
3. PRESS と STEAM の局在化の精度は PRESS の方が良い
4. STEAM の 2nd RF と 3rd RF 間の時間(mixing time)は TE に依存しない 
5. アクティブシミングは局所磁場を補正する際に高次成分の補正を行う

解答
1.○
2.×ピークはプロトン密度に依存する。
3.×局在化の精度はSTEAMの方が良い。
4.○
5.○

10)スパイラルスキャンについて正しいのはどれか。3つ選べ。 

1. 流れや動きの影響を受けにくい
2. 渦電流の影響を考慮すべきである
3. 空間分解能が等方性な画素が得られる
4. 磁場の不均一性が画像全体へのボケの原因となる
5. 受信した信号を極座標系 k 空間に変換する必要がある

解答
1.○k空間中心の低周波成分が高密度でサンプリングされるため。
2.○
3.×
4.○
5.×極座標系で取得するので、受信した信号は直行座標系に変換しなければならない。
スパイラルスキャン

11)正しいのはどれか。3つ選べ。

1. 磁場勾配により位相差を生む
2. 送信バンド幅が同じ場合、スライス厚は磁場勾配に比例する
3. 読み取り傾斜磁場にて dephasing lobe が無い場合はハーフエコーとなる
4. 位相エンコードステップの最大勾配磁場の強度は位相差が±πを超えないように設定する
5. 位相エンコードステップの直後に位相を再収束させるために極性が反転した磁場勾配を印可する

解答
1.○
2.×スライス厚=BW/G
3.○dephasing lobeを付加することで中央にピークのある左右対称の信号ができる。しかし付加しなければ信号はその半分の形状となってしまう。
4.○超えると位相エリアシング(折り返し)となる。
5.×スライス選択傾斜磁場や周波数エンコード傾斜磁場では極性が反転した磁場勾配を印可する。

12)正しいのはどれか。3つ選べ。

1. k 空間は複素共役対称の性質がある
2. k 空間を広くするほど FOV は狭くなる
3. ラジアルスキャンは直交座標系で観測する
4. パラレルイメージングにおける g 因子はコイル感度分布に依存する
5. k 空間は画像を構成する様々な空間周波数をもつ正余弦波のフーリエ係数を表す

解答
1.○複素共役対称(エルミート対称)
2.×k空間を広げる(広げた分マトリクス数増やす場合)→実画像のマトリクスサイズは小さくなりFOVは不変。しかしk空間のマトリクス数を変えずに広くした場合→実画像のマトリクスサイズは小さくなりFOVも小さくなる
3.×極座標
4.○
5.○
k空間

13)正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 受信バンド幅はサンプリング間隔に比例する
2. トランケーションはデジタルサンプリング数が有限であることに起因する
3. FOV を変化させずにピクセルサイズを小さくした場合,傾斜磁場強度が弱くなる
4. サンプリング時間はサンプリング間隔に周波数マトリクス数を除したもので示される
5. サンプリング周波数の半分よりも高い周波数を持つ信号をサンプルするとエイリアシングが起こる

解答
1.×BW=1/ΔTs
2.○トランケーション
3.×傾斜磁場は不変 FOV=BW/γG
4.×サンプリング時間Ts = サンプリング間隔ΔTs × マトリクス数N
5.○

14)高速スピンエコー法について正しいのはどれか。3 つ選べ。

1. ETL が大きい場合、T2 フィルタリングが起こる
2. 様々な TE でエコーが収集されるため TE 平均化がおこる
3. ブラーリングは k 空間の低周波成分に信号の低いデータを格納することによる
4. 再収束パルスは狭い送信バンド幅をもつため MT パルスとして作用することがある
5. 脂肪が高信号になるのは J カップリングによる信号低下が脂肪に作用しにくいためである

解答
1.○
2.○
3.×高周波成分に信号の低いデータを格納することによる。
4.×広い送信バンド幅を持つため。MT効果
5.○
高速スピンエコー

15)グラディエントエコー法について正しいのはどれか。3 つ選べ。 

1. Balanced SSFP は 3 軸の流速補正が成り立つ
2. 誘発エコー成分も受信信号として利用できる
3. スポイリングは残留横磁化の影響を排除できる
4. Balanced SSFP の信号強度は T2/T1 に反比例する
5. 傾斜磁場スポイリングと RF スポイリングは併用できない

解答
1.○
2.○
3.○
4.×T2/T1 に比例
5.×併用可能

16)正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. STIR 法は脂肪信号を特異的に抑制する
2. DE(driven equilibrium)パルスは横緩和を強調する
3. CHESS 法は共鳴周波数の差を利用して特定の組織だけを飽和させることができる
4. On-resonance 法での MT パルスは縦緩和時間の差を利用して結合水の磁化を飽和させる
5. 成人健常者の脳実質において,白質より灰白質のほうが MT パルスによる信号低下が大きい

解答
1.×非特異的脂肪抑制法であり、脂肪と同等のT1値を持つ組織を抑制する。
2.○
3.○
4.×横緩和時間の差を利用する。DEの原理に類似。MT効果
5.×白質の方がMT効果が大きい(ミエリンを多く含む組織に影響が大きい)

17)MR アンギオグラフィについて正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. PC 法は双極傾斜磁場による位相シフトを利用する
2. TOF 法は inflow 効果を利用して血流を高信号に描出する
3. PC 法において位相シフトがπのとき最大の信号強度を示す
4. PC 法において低い VENC 設定ほど,傾斜磁場の印加強度は弱くする必要がある
5. 3D-TOF 法における可変フリップ角法は,末梢血管の側のフリップ角を小さくする

解答
1.○
2.○
3.×πはVENCとなり、π/2が最大の信号強度となる
4.×双極傾斜磁場の印加強度と印加時間を調整し弱くする。
5.×流入側を弱くし流出側(抹消側)を強くする(TONE法、RAMPパルス)

18)乳房 MRI について正しいのはどれか。

  1. MRS は短い TE を使用すると良い
  2. 撮像は生理周期の後半に行うのが良い
  3. シリコンインプラントの共鳴周波数は脂肪より高い
  4. シリコンインプラントの評価には STIR に選択的水抑制を併用した T2 強調画像を撮像すると良い
  5. BI-RADS MRI では background parenchymal enhancement (BPE)の評価は造影後期相の画像で実施することが推奨されている
解答
1.×脂肪信号を排除するために長いTEとするTE=270ms程度
2.×月経周期の4〜1週でBPEの影響が強い(BPE:背景乳腺の染まり)。BPEは月経開始から2周目が最も低く、月経開始5〜12日目の期間に撮影するのが望ましい。
3.×低い
4.○
5.×早期相推奨。ちなみに乳腺ダイナミックの早期相は1分程度であるが、それではBPEが強く出る場合がある。この時さらに早い30秒ほどの超早期相でBPEが弱い状態で病変の染まりをとらえることができる可能性がある。

19)心臓 MRI について正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 細胞外容積分画 (ECV)は装置の静磁場強度に依存する
  2. 肺体血流比 (Qp/Qs) はシネ MRI 画像を用いて算出する
  3. 遅延造影に PSIR 法を用いた場合,TI の設定は頻回に調節する必要はない
  4. 心筋の native T1 value は静磁場強度が同じであれば,異なる装置間でも直接比較することができる
  5. 駆出率 (EF) は (EDV – ESV) / EDV ×100 (%) で求める.ここで,EDV は拡張終末期容積,ESV は収縮終末期容積とする
解答
1.×静磁場強度によりT1値が変動するためnative T1では静磁場強度に依存する。ECVは造影剤投与以外の要因を基本的には排除できるため静磁場強度に依存しない。
2.×PC法を用いる
3.○
4.×同じ静磁場強度でも装置や撮像シーケンスにより計測されるT1値が異なるため予め施設や装置による正常値の検討が推奨される。
5.○『心臓が送り出した血液量(駆出量)EDV – ESV』を『左室の容積EDV』で除す=EF
ECV(細胞外容積分画)

20)膝 MRI を示す。図 a の白破線は b, c の撮像断面位置を示す。正しいのはどれか。2 つ選べ。
(不適切問題)

1. 図 a の黒矢印は前十字靭帯である
2. 図 c は脂肪抑制 T1 強調画像である
3. 図 b の白丸で囲まれた領域は腸脛靭帯である 
4. 図 c の白矢印の高輝度領域は半月板後角にある 
5. 図 c の白矢印の高輝度領域は半月板後節にある

画像がなく解答不可

21)アーチファクトに対する対策で正しいのはどれか。3 つ選べ。

1. 流れ—– Gradient moment nulling (GMN)の利用
2. 磁化率—– View angle tilting (VAT)の利用
3.ゴースト—– TRを短縮する
4. 化学シフト—– 受信バンド幅を広くする
5. トランケーション(打ち切り)—– 位相エンコード回数を間引く

解答
1.○GMN=FC、GMR、MAST
2.○読み取り時に周波数エンコード傾斜磁場とスライス選択傾斜磁場を同時に印加しシフトした信号を本来の位置に戻す方法。
3.×間隔狭くなる 間隔D=撮像時間(TR×Ny×NEX)/動きの周期
4.○
5.×エンコード数を増やす

22)シングルショット EPI に対するマルチショット EPI の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 撮像時間が短い
2. 磁化率アーチファクトが増加する
3. Readout 方向にも multishot 化できる
4. 動きによるアーチファクトを生じやすい
5. エヌハーフゴースト(N/2 ghost)を生じやすい

解答
1.×シングルの方が撮像時間が短い
2.マルチショットの方が低減する
3.○Readout方向にk-spaceを分割して信号収集を行うことで位相分散を抑えて歪みを低減できる。シーメンスのRESOLVE。
4.○
5.×生じにくい

23)SNR の測定について正しいのはどれか。3 つ選べ。
(不適切問題)

1. バックグラウンド領域のノイズは正規分布を示す
2. 表面コイルを用いる場合は SNR と画像均一性の評価を同時に行う
3. 比較的信号が均一でアーチファクトを含まない領域に ROI を設定する
4. 差分法を用いる場合は差分処理で負の値を 0 にするような閾値設定をする
5. バックグラウンド領域からノイズを求めるときは、ノイズを補正係数 0.655 で除す必要がある

解答
1.×レイリー分布
2.○
3.○
4.×0とせずそのまま負の値を用いる、0としてしまう装置では簡易法として空中雑音法を用いる
5.△空中雑音法かな、Noise=Nair/(2-π/2)0.5
しかし標準偏差から求めるのか、平均値から求めるのかの指定がない

24)2つのウェッジを重ねたスライス厚測定用ファントムの撮像方法を図に示す。次の文章でア~オに当てはまる語句の組み合わせで正しいのはどれか。

「角度Aは( ア )となることから、スライス厚TはW2を用いて( イ )と表される。同様にTはW1を用いて( ウ )とも表される。W1とW2の関係から回転角度θを求めることが可能で、仮に( エ )となった場合、回転角度が 0 度になるため回転の補正が必要なくなる。αが 25 度、θが 5 度、W1 が 10mm の場合、スライス厚Tは約( オ )となる」

1α-θW2×cos(α-θ)W1×cos(α+θ)W1=W28.7mm
2α+θW2×cos(α+θ)W1×cos(α-θ)2W1=W29.4mm
3α-θW2×tan(α-θ)W1×tan(α+θ)W1=W25.8mm
4α+θW2×tan(α+θ)W1×tan(α-θ)2W1=W23.6mm
5α-θW2×sin(α-θ)W1×sin(α+θ)W1=W25.0mm
解答
1.2.3.○4.5.
ア:ファントムの回転が無く回転角度θが0の場合、角度AはA=αである。ファントムが回転しθが増えるほどAはθだけ小さくなるのでA=α-θ。
イ:tan(α-θ)=T/W2 T=W2×tan(α-θ)
ウ:W1の角度を仮に角度Bとすると、回転角度θが0の時はB=α、しかしAとは逆に回転角度θが増すほどθだけ大きくなるのでB=α+θ。
そしてtan(α+θ)=T/W1 T=W1×tan(α+θ)
エ:回転角度が0度の時のW1とW2の関係を問われているので、W1=W2
オ:T=W1×tan(α+θ)より T=10×tan30°=10×1/√3=5.8


25)シングルショット EPI で得られた拡散強調画像を示す。この画像とアーチファクトについて正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 位相エンコードは RL 方向である
2. アーチファクトが原因で ADC 値が不正確になる
3. 周波数エンコード数はアーチファクトに影響しない
4. パラレルイメージングの倍速ファクターでアーチファクトの出現位置がかわる
5. アーチファクトは偶数エコー,奇数エコーの位相がそれぞれシフトすることが原因で発生する

解答
1.×アーチファクトはケミカルシフト、EPIでは位相方向に出現するためこの画像ではAP方向が位相エンコード。
2.○アーチファクト部ではADCは低下する
3.×周波数エンコード数を少なくすることで改善する
4.○位相エンコード方向のサンプリング時間によってケミカルシフトの位置が変わる
5.×エヌハーフのこと
※ケミカルシフトの場合、出現は1方向にしか出ないが、画像では2つの位置に出現している。そのためNハーフも考えられるがNハーフでは実質のシフトもみられる。結局アーチファクトの見た目からケミカルシフトと考慮。

第2部

26)多発性硬化症の MRI 所見として正しいのはどれか。2 つ選べ。 

1. Ovoid lesion
2. Dural tail sign
3. Open-ring sign
4. Eye-of-tiger sign
5. Salt and pepper sign

解答
1.○脳室周囲や皮質近傍に散在する卵円形病変
2.×髄膜腫
3.○リング状増強効果の途中が途切れている
4.×パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)の鉄代謝異常により大脳基底核に鉄沈着が見られる
5.×脳挫傷、CTにおいて浮腫による低吸収と出血の高吸収が混在
多発性硬化症(MS)のその他所見
T1 black hole・・・脱髄などによりT1で低信号
Spinal cord lesion・・・脊髄炎症
Callosal-septal interface lesion/ subcallosal striation・・・脳室壁と垂直方向に広がる脳梁内病変FLAIRで高信号
Enhancing lesion造影効果・・・BBBが破綻し造影効果がある
Isolated U-fiber lesion/juxtacortical lesion・・・皮質下白質(U fiber領域)に沿って広がる病変FLAIRで高信号
Tumefactive MS lesion・・・脳腫瘍のように見える
多発性硬化症

27)見かけの拡散係数が最も高値を示す病変はどれか。

1. 髄膜腫
2. 脳膿瘍
3. くも膜嚢胞
4. 悪性リンパ腫 
5. 急性期脳梗塞

解答
1.×T1T2:灰白質とほぼ等信号、DWI:軽度high、ADC:low
2.×DWI:high、ADC:low
3.○DWI:low、ADC:high
4.×DWI:high、ADC:low
5.×DWI:high、ADC:low

28)「左手が急に動かしにくくなった」患者の頭部 MRI の T1 強調画像を示す。診断上最も注意するべき部位を選べ。

1. a
2. b
3. c
4. d
5. e

画像がないため解答不可。

29)アーチファクトが発生している MR 画像を示す。正しいのはどれか。3つ選べ。
(不適切問題)

1. 被検者の着衣を確認する必要がある
2. 撮像室外からの電磁波侵入が疑われる
3. 被検者がヘアピンをつけている可能性がある
4. Herringbone (multiple spikes)アーチファクトを認める 
5. 傾斜磁場コイルを固定する部品が緩んでいる可能性がある

解答
1.○静電気が発生しやすいものがないか
2.ジッパーアーチファクト
3.メタルアーチファクト
4.○データエラーによる
5.○傾斜磁場コイルの振動が関与する
Herringbone artifact

30)頭部 FLAIR 像を示す。正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 反転時間(TI)が不適切である
2. 造影剤による信号増強を認める
3. クモ膜下出血症例に観察されるものと同様の信号変化を認める
4. 3D FLAIR を撮像することで脳脊髄液の信号抑制不良を改善できる
5. マルチスライス枚数を増やすと脳脊髄液の信号抑制不良を改善できる

解答
1.×適切である。不適切ではCSFの信号が高くなるため。
2.×FLAIRは造影しても正常組織には造影効果はほぼみられず髄膜炎などがある場合に造影効果がみられる。
3.○橋前槽と中脳水道が高信号。
4.○ 2D撮像ではIRパルスを受けずに撮像面に流入する可能性がある。
5.×IRパルスがCSFに複数回印加しnull pointから外れる可能性がある。
解説(マルチスライス)

31)図 a のように撮像された喉頭レベルの脂肪抑制 T2 強調横断像(CHESS 法)を図 b のように改善する方法として正しいのはどれか。
(不適切問題)

1. TE を短くする
2. エコートレイン数を減らす
3. マルチスライス枚数を減らす
4. CHESS パルスの強度を上げる
5. CHESS パルスの周波数帯域を広くする

解答
1.
2.
3.
4.
5.○

32)大後頭孔レベルの頭部 T2 強調画像を示す。病変の有無をより明らかにする追加撮像で適切と考えられるものはどれか。

1. T1 強調横断像
2. T1 強調矢状断像
3. T2 スター強調横断像
4. プロトン密度強調横断像 
5. プロトン密度強調矢状断像

解答
1.×
2.○キアリ奇形
3.×
4.×
5.×

33)高速スピンエコー法について正しいのはどれか。2 つ選べ。 

1. 磁化率効果が増大する
2. ブラーリング効果が減少する
3. T2 コントラストはスピンエコー法よりも低下する
4. J カップリング効果の増大により脂肪が高信号になる
5. 磁化移動効果により実質組織間のコントラストが低下する

解答
1.×減少する。
2.×増大する。
3.○
4.×Jカップリングが生じず脂肪が高信号。
5.○
高速スピンエコー

34)拡散強調画像法について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 見かけの拡散係数の単位は mm2/s
2. 低い b 値では強い MPG を印加する
3. 脳脊髄液の見かけの拡散係数は実質臓器より低い
4. Twisted gradient pulse 法では通常法より TE が延長する 
5. Stejskal-Tanner 法では正負が異なる方向に MPG を印加する

解答
1.○
2.×弱いMPG。
3.×
4.○MPG原因の歪み抑制法、渦電流を打ち消し合うようにMPGを印加。
5.×スピンエコー の180°パルス前後に同じ大きさのMPGをかける。
Stejskal-Tanner 法/Twisted gradient pulse 法

35)DSC(dynamic susceptibility contrast)灌流画像について正しいのはどれか。2つ選べ。

 1. Ktrance が計測できる
2. エコープラナー法が用いられる
3. ガドリニウム造影剤の T1 短縮効果を利用する
4. Deconvolution 法では動脈入力関数(AIF)の設定が必要である
5. 組織血液量(V)は平均通過時間(MTT)を組織血流量(F)で除した値である

解答
1.×Ktrance=造影剤が血管外細胞外腔へ漏出する移行速度定数、脳腫瘍の鑑別に用いられる(DCEで得られる)
2.○
3.T2*短縮効果
4.○
5.× V=MTT・F

36)MR アンギオグラフィ(MRA)について正しいのはどれか。

  1. PC 法は速度エンコードの設定が必要ない
  2. TOF 法ではエコー時間を短くすることで背景信号の抑制をしている
  3. Balansed SSFP 系シーケンスは血流が速い方が血流の信号強度が高くなる
  4. 下肢静脈を 2D-TOF 法で撮像する際には呼吸補正を行うことで画質が向上する
  5. 非造影MRA法である心電図同期併用3D高速スピンエコー差分法では収縮期の画像から拡張期の画像を差分することで血管像を得る
解答
1.×速度エンコードの設定が必要。
2.×TEをout of phaseにして脂肪信号を抑制。
3.○血流が遅いほど飽和されやすいため。
4.×呼吸補正の効果はほぼ無いと思われる。脈波や心電図同期が有用。
5.×拡張期(動脈・静脈)-収縮期(静脈)=(動脈)

37)灌流画像検査について正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、ASL: arterial spin labeling、CASL: continuous ASL、PASL: pulsed ASL とする。

1. CASL は局所脳血流量(rCBF)が算出できる
2. PASL は CASL よりラベリング効率が高い
3. ASL のラベリングパルスは頸動脈ステントの影響を受けない
4. 造影剤を用いた脳の灌流検査では希釈理論によって定量値が算出される
5. Gd 系造影剤を用いた脳灌流画像では、造影剤の T1 短縮効果を利用した解析法が一般的である

解答
1.○
2.×CASLがラベリング効率高い。CASL:組織に流入する血管に対しRFパルスを連続的に照射、PASL:領域選択的 RF パルスを用いて流入するスピンをパルス状に照射。
3.×ラベリング不良により血流低下のように見えてしまう。
4.○DSCでは動脈入力関数(AIF)を設定しでコンボリューション法により定量値が算出される。
5.×DSCではT2*短縮効果、DCEではT1短縮効果

38)正常解剖の頭部 MRI を示す。矢印 a,b の脳神経はどれか。2つ選べ。 

1. V 三叉神経
2. VI 外転神経
3. VII 顔面神経
4. VIII 内耳神経 
5. IX 舌咽神経

解答
1.×
2.×
3.○a
4.○b
5.×
解説(脳神経)

39)正常解剖の骨盤部 MRI を示す。矢印 a~e と解剖名の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 精巣—– e
2. 内尿道口—– d
3. 尿道海綿体 —– c
4. 前立腺移行域 —– a
5. 前立腺辺縁域—– b

解答
1.×精のう
2.○
3.○
4.×前立腺辺縁域
5.×前立腺移行域

40)磁気共鳴画像診断装置に関連する日本産業規格(JIS)はどれか。

1. JIS Z 4701
2. JIS Z 4951
3. JIS T 14971
4. JIS T 0601-1-2
5. JIS Z 4751-2-44

解答
1.×
2.○
3.×
4.×
5.×

41)次の文章で(ア)、(イ)に当てはまる語句の組み合わせで正しいのはどれか。

「(ア)時間の等価騒音レベルが(イ)dBA を超える場合は、聴力保護具を適切に使用するべきである。これは、患者が騒音にさらされる時間が概ね(ア)時間以内でありかつ、毎日ではないことを考慮した結果である」

11140
2299
32140
4199
51120
解答
1.×
2.×
3.×
4.○ピーク音圧レベルは140dB
5.×
解説(騒音)

42)以下の標識とその記述について適切な組み合わせはどれか。

  1. (a)MR 条件付適合 (b)能動的植込心臓デバイス装着者の立入禁止 (c)非電離放射線警告
  2. (a)MR 非適合 (b)能動的植込心臓デバイス装着者の立入禁止 (c)強磁場警告
  3. (a)強磁場警告 (b)金属製体内植込物保有者の立入禁止 (c)MR 条件付適合
  4. (a)MR 条件付適合 (b)金属製体内植込物保有者の立入禁止 (c)強磁場警告
  5. (a)MR 条件付適合 (b)能動的植込心臓デバイス装着者の立入禁止 (c)強磁場警告
解答
1.×
2.×
3.×
4.×
5.○
標識

43)NEMA における均一性測定について正しいのはどれか。2つ選べ。 

1. 画像フィルタを用いる
2. スライス厚は 10 mm 以下に設定する
3. FOV は RF コイルの最大径の 120%に設定する
4. 測定 ROI はファントム領域の 75%を含むように設定する
5. NAAD(normalized absolute average deviation)は絶対偏差から均一性を評価する方法であり、高ノイズ画像の影響を受ける

解答
1.×使用不可
2.○
3.×110%を超えないこと
4.○
5.×高ノイズ画像の影響を受けにくい
均一性試験

44)静磁場による力学的作用(吸引力・回転力)の測定について正しいのはどれか。2つ選べ。 

1. 偏向角の測定では糸の張力の影響を受ける
2. 偏向角の測定はマグネットの開口部付近で行う
3. 回転力の測定はマグネットの開口部付近で行う
4. 回転力の測定は対象物を静磁場と平行に設置する
5. 力学的作用が重力よりも小さい場合,MRI 検査に適合すると判断する

解答
1.×張力の影響は受けない。
2.○
3.×アイソセンターで行う。
4.×回転力は対象物の長軸が静磁場と平行になるように働くため、静磁場に対して対象物の角度を変えて測定する。
5.○偏向角45°未満で適合。

45)条件付 MRI 対応ペースメーカについて正しいのはどれか。2つ選べ。 

1. オーバーセンシングが起こると頻脈になる
2. MRI 検査時は必ず生体モニタを装着しなければならない
3. ペースメーカの MRI 対応モードは自己脈より短く設定する
4. ペースメーカ手帳の表紙には必ず適応磁場強度が記載されている
5. ジェネレータのみを MRI 対応機種に交換すると条件付 MRI 対応になる

解答
1.×ペーシング機能を過剰に抑制し徐脈もしくは脈が打たれなくなる。
2.○
3.○
4.×記載あるものもないものもある。
5.×リードもMRI対応である必要がある。

46)変動磁場(dB/dt)について正しいのはどれか。3つ選べ。 

1. 末梢神経刺激と心臓への刺激が問題となる
2. 末梢神経刺激は撮像領域の中心で最大となる
3. 心臓への刺激は,期外収縮や不整脈を誘発する
4. 患者の体格には寄らずに電場の大きさは一定である 
5. ファラデーの法則により人体に電圧・電流が発生する

解答
1.○
2.×傾斜磁場コイルの端で最も磁場変動が大きく撮像中心から離れたところで影響が大きい。
3.○
4.×体の大きさに左右される。
5.○時間変化磁場により誘導電位・渦電流が発生する。

47)MRI 検査に伴うクエンチについて正しいのはどれか。

1. 検査室内の空調を停止させる
2. ヘリウムガスは白い煙として観測される
3. 放出されたヘリウムガスは床面から充満していく
4. 検査室内の圧力が高くなり押しても扉が開かないことがある 
5. 検査室内の酸素濃度が 16%まで低下した場合、昏睡が生じる

解答
1.×空調は排気システムとは別なので止めても止めなくても大して変わらないと思うが、特別止める必要はない。ちなみに排気は大事。
2.×白い煙ではない、ヘリウムは無色である。リーク時の場合には霧状で出現。
3.×天井から充満する。空気の比重は1.0g/L、ヘリウム0.14g/L。
4.○
5.×16%程度から酸欠症状が出始め10〜8%くらいで昏睡。

48)騒音について正しいのはどれか。3つ選べ。 

1. 等価騒音レベル dB(A)で表す
2. 撮像条件によって変わらない
3. 撮像断面によって変わらない
4. 耳栓やイヤーマフなどで 99 dB(A)以下に下げなければならない
5. 傾斜磁場コイルがローレンツ力によって装置を振動させることで発生する

解答
1.○
2.×条件変更により傾斜磁場も変化するため音は変わる。
3.×断面位置や角度が変化すると、傾斜磁場も変化するため音は変わる。
4.○
5.○
解説(騒音)

49)本邦の臨床現場で使用されている造影剤について正しいのはどれか。3つ選べ。 

1. 排泄経路は全て尿中である
2. 投与方法は、静脈内投与と経口投与に大別される
3. 常磁性を示す金属の Gd イオン、Mn イオンと Fe イオンが用いられている
4. 腎機能の指標として eGFR(estimated glomerular filtration rate:推算糸球体ろ過値)がある
5. eGFR が 30mL/min/1.73m2 未満の慢性腎障害、急性腎不全の患者は全ての造影剤の使用が原則禁忌である

解答
1.×EOBでは約40%が糞中排泄。
2.○
3.○
4.○
5.×NSF(腎性全身性繊維症)発症の危険性が高いため別検査で代用すべきとされており禁忌ではない。また、経口造影剤は使用可能。

50)日本磁気共鳴医学会から発令された「臨床 MRI 安全運用のための指針」について正しいのはどれか。3つ選べ。 

1. 安全管理チームに磁気共鳴専門技術者を含めることを求めている
2. 造影剤に関する講習会に年 5 回程度、定期的に参加することを求めている
3. 非常時の安全管理として災害への対応へのマニュアルを備えることを求めている
4. 安全性に関する講習会に定期的(少なくとも 5 年に 1 回)に参加することを求めている
5. 検査室内に立ち入る修繕作業者への金属持ち込みを防止する教育を整備することを求めている

解答
1.○
2.×少なくとも2年に1回の参加。
3.○
4.×少なくとも1年に1回の参加。
5.○

 

注)「複数の回答肢がある問題」や「正答率が低すぎた問題」があったため試験作成員会で審議した結果,以下の4問を不適切問題としました。問題 20、問題 23、問題 29、問題 31

 

解答に関して私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

年々素直な問題が少なくなっていますね。

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