MRI認定試験過去問解説 第5回-18【PSD】

パルスシーケンスに関しての問題です。

目次

問題

次のシーケンスチャートに関する説明で、正しい文章を解答して下さい。

日本磁気共鳴専門技術者認定機構 認定試験過去問

a. スピンエコー(SE)法のシーケンスチャートである。
b. TE はチャート内の T の 2 倍の時間である。
c.チャート内から180°パルスのみを取り除くとグラディエントエコー(GRE)法になる。
d. 流速補正用勾配が付加されている。
e. チャート内の A と B の面積は等しくなければならない。

解答

a,d,e

解説

パルスシーケンス図(pulse sequence diagram)

パルスシーケンスを図として表したものをPSD(pulse sequence diagram)と言います。

一番上の「RF励起」はもちろん励起パルスのことで、90°と180°が用いられているのでこの図はスピンエコーであることが分かります。

TEは90°パルスを照射してからエコーが発生するまでの時間です。90°パルス照射後、位相はばらけてきますがTE/2後に180°パルスを照射することで位相が収束しエコーを得ることができます。

2つ目から4つ目までは「○○勾配」とあります。
これは磁場勾配を印加していることとなります。主な役目としては位置情報を付加することです。

それぞれの磁場勾配には方向があり、「スライス選択勾配」は体軸方向に、「位相エンコード勾配」は縦に、「周波数エンコード勾配」は横方向に印加されます。

またこれら磁場勾配は変更することも可能で、撮影断面が矢状断となれば「スライス選択勾配」は横方向となり、
またモーションアーチファクトを避けたり、折り返しアーチファクト防止のために「位相エンコード勾配」と「周波数エンコード勾配」を入れ替えることもできます。

話を戻して、、

二つ目に「スライス選択勾配」とあります。
これはそのままスライスの位置や厚さを選択するためにかけられる傾斜磁場ですが、RFパルスと同時にかけられます。そしてその時は他の傾斜磁場と被らないようになっています。

90°パルスは位相を揃えるのですが、「スライス選択勾配」のはじめの部分により位相が分散しているところに90°パルスを照射して一度位相が揃います。しかし磁場勾配は印加され続けているのでまたdephase(分散)します。ここで反対極性に同じ面積(黒の面積)の磁場勾配を印加することでまたrephase(再収束)します。
一方180°パルスではその性質から位相を反転させるため同方向の磁場勾配でも最終的に位相が揃います。

三つ目に「位相エンコード勾配」です。
印加のタイミングはRFと「周波数エンコード勾配」の間になります。
図ではシマシマになっていますが、TRごとに高さを変えて印加することを表現しています。なのでいちいち表してるととんでもない長い図になるためにまとめてシマシマにしてると考えればいいと思います。

四つ目に「周波数エンコード勾配」です。
信号取得時に印加するため読み出し勾配とも呼ばれます。
こちらも反対極性に印加されていますが問題の図では少し複雑なため別な図で説明していきます。

はじめに負の極性に印加することで一度位相を分散させて正の極性に印加し再収束させます。収束したからこれでヨシっではありません。そのまま印加し続け再度分散させていき対称性の良い両流れの信号を作ります。これはエルミート対称性に強く関わってきます。もしここで分散させなければ信号は片流れとなりS/Nが低い画像となってしまいます。

流速補正についてですが、血液など流れのあるものは位相シフトしてしまうため位相がずれてアーチファクトを発生させます。これを抑制する技術が流速補正です。

簡単に説明するとGxを『 1:-2:1 』の割合で同じ時間印加すると流れによる位相シフトが0になります。もちろん静止組織の位相シフトも0となるのでこれによる悪影響はありません。ただし流速補正によりESpの延長など何らかの形でかえって画像に影響を与えてしまう可能性はわずかにあります。

問題ではおそらく上記の部分が流速補正であり、続けて信号取得のための磁場勾配かと思います。

GREになるか

180°パルスをなくすとGREになるとは思います。

ですが、細かいところをつくと何ともなぁと言った感じで。

まずGREはα°パルスであり色んな角度のフリップアングルを使えますが、問題から180°を消すとフリップアングルは90°となりGREでは基本的に90°は使用しません。

また180°パルスのすぐ下にあるスライス選択勾配も残っちゃいます。

他にも細かく言うと違う気がするので180°とるだけではGREにはならないと考えました。

追記
あとで気づきましたが選択肢bのTE=Tの2倍についてですが
厳密には赤の2倍がTEとなります。

まとめ

パルスシーケンスに関しての問題でした。全く同じ図が出るとは限りませんし普段仕事をしていて目にすることもないのでとっつきにくいですね。教科書開いてもあまり詳しくは載ってない気がします。僕も得意じゃないので基本的なとこだけ説明しました。

参考書籍・文献

MRI完全解説第2版 P153,589
埼玉放射線 Vol.59 No.3 パルスシーケンスを理解する-Spin Echo法-

 

解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。

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